今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年7月10日(火) 「ドル円再び111円をテストか?」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は上昇し、110円90銭まで買われた。米長期金利の上昇に加え、「ポンド安ドル高」に牽引される格好でドル高が進む。
  • ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。1.17台半ばから後半で取引され、ユーロ円は約1カ月ぶりに130円台に乗せる。
  • 株式市場は大幅に続伸。貿易問題や海外の政治情勢の不透明憾にも関わらず、ダウは320ドルと大幅高。S&P500も1カ月ぶりの高値を記録。
  • 債券相場は反落。株価の上昇を受けて売られる。長期金利は2.85%台まで上昇。
  • 金、原油は小幅に上昇。
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5月消費者信用残高 → 24,559b
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ドル/円 110.43 〜 110.90
ユーロ/ドル 1.1733 〜 1.1790
ユーロ/円 129.47 〜 130.26
NYダウ +320.11 → 24,776.59ドル
GOLD +3.80 → 1,259.60ドル
WTI +0.05 → 73.85ドル
米10年国債 +0.035 → 2.856%

本日の注目イベント

  • 中 中国6月消費者物価指数
  • 中 中国6月生産者物価指数
  • 独 独7月ZEW景気期待指数
  • 英 英5月貿易収支
  • 英 英5月鉱工業生産
  • 加 カナダ6月住宅着工件数
  • 加 カナダ5月建設許可件数

ドル円は値動きが少ない中、昨日のNY市場では110円90銭までドル高が進みました。NY株が3日続伸し、特に昨日はダウが320ドル上昇し、2万4700ドル台を回復し、S&P500は1カ月ぶりの高値を記録しました。長期金利も2.85%台まで上昇したことで、円売り、ドル買いにつながりやすかった面もあります。加えて、英国ではジョンソン外相がEU離脱政策を巡って辞任したことから、メイ首相に退陣圧力が高まる可能性が出てきました。政治的混乱を嫌気してポンドが対ドルで売られたことで、ドル円でも「ドル買い円売り」が出て、ドルを押し上げたものと見られます。

ドル円は111円には届かなかったものの、再び上値を試す雰囲気です。市場全体で円売りが進み、ポンド以外の主要通貨では軒並み「円安」が進んでおり、ユーロや豪ドル、NZドルなどでは約1カ月ぶりの円安水準に至っています。米中の貿易問題を巡る状況に歯止めがかからず、今後はさらにエスカレートする可能性も残っています。本来なら円が買われてものおかしくはない状況ですが、むしろ円は売られる傾向です。

今朝の経済紙にも、ドル安円高が進まない理由に触れていましたが、確かに、需給による『ドル不足』はあるのでしょう。日本は原油消費量のほぼ100%を海外からの輸入に依存しています。WTI原油価格は直近では74ドル台まで上昇し、2014年11月以来の原油高となっています。原油取引はドル建てのため、その分ドルを調達する必要が出てきます。これが、市場でのドル需要を高める一因にはなっているはずです。

ドル円はNY市場で一時110円90銭をつけた後、ほぼ同水準で戻ってきました。NY株高と円安が若干進んだことで、本日の日経平均株価もそこそこの上昇が見込まれます。日経平均株価が予想以上に上昇するようだと、ドル円も111円台に乗せ、111円台前半を試す可能性があると予想します。そうなると再び意識されるのが、5月21日に記録した111円40銭です。この水準をしっかりと上抜けできるようだと、110円を中心に上下1円と見ていたレンジも、上抜けしたと判断できそうです。もちろん、111円前後は何度も試しては押し戻されている水準で、手ごわい水準でもありますが、ここ2週間ほどは110円さえ割り込んでいないのも事実です。ここは注目したいと思います。予想レンジは110円50銭〜111円40銭程度とします。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/6 プラート・ECB理事 「資産買い入れ策の緩やかな巻き戻しを正当化できるだけの十分な進展がこれまでにあったかどうか、この判断を来週の政策委員会で下す必要があるのは明らかだ」ベルリンでの講演で。 ユーロドル1.17台前半から後半へ上昇
6/12 トランプ・米大統領 「金委員長は非常に才能のある人物。」「金委員長と多く会うことになるだろう」米朝会談後に。 ドル円、日経平均株価上昇
6/13 パウエル・FRB議長 「インフレが上振れするとわれわれが考えれば、当然ながら金利を引き上げることになるが、金融当局はそうなると考えていない」FIMC後の記者会見で。 --------
6/19 ドラギ・ECB総裁 「初回利上げ時期の決定について辛抱強い姿勢を維持し、その後の政策調整は段階的に行う」年次フォーラムでの講演で。 ユーロドル1.16台から1.1534まで下落
6/20 パウエル・FRB議長 「失業率が低く、さらなる低下が見込まれ、インフレ率は当局の目標付近にあり、見通しへのリスクはおおよそ均衡していることを踏まええると、FF金利の漸進的な引き上げえお継続する根拠は強い」ECB主催のフォーラムで。 市場はドル買いで反応
6/25 ナバロ・国家通商会議(NTC)委員長 「トランプ政権の通商政策は誤解されており、投資を制限す る計画はない」 下落していたドルと株が買い戻される
6/26 ライアン・下院議長 不公平な貿易慣行に対抗する上で、「関税引き上げよりも良い手段がある」 ドル円109円台後半から110円20銭台に
6/29 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「われわれは経済の潜在成長力を拡大している。従ってインフレ的ではない」 ドル円小幅に下落
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和