2018年7月26日(木) 「米EU貿易戦争回避で合意」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 米EU首脳会談でのリスクが意識され、ドル円はジリジリと値を下げる。110円66銭までドル安が進んだが、貿易戦争回避で合意したとの報道から111円手前まで反発して取引を終える。
- ユーロドルも朝方は売られ、1.1664までユーロ安が進んだが、貿易戦争回避で合意との報に急伸。1.1738前後まで買い戻しが進む。
- 株式市場はひとまずリスク回避が後退したことで大幅に続伸。ダウは172ドル上昇し、2万5400ドル台を回復。ナスダックも91ポイント上昇する。
- 債券相場は続落し、長期金利は上昇。長期金利は6月6日以来となる2.97%台まで上昇。
- 金は3日ぶりに反発。原油は続伸。
6月新築住宅販売件数 → 63.1万件
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| ドル/円 | 110.66 〜 111.11 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1664 〜 1.1738 |
| ユーロ/円 | 129.40 〜 130.27 |
| NYダウ | +172.16 → 25,414.10ドル |
| GOLD | +6.30 → 1,231.80ドル |
| WTI | +0.78 → 69.30ドル |
| 米10年国債 | +0.026 → 2.975% |
本日の注目イベント
- 独 独8月GFK消費者信頼感
- 欧 ECB政策金利発表
- 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 6月耐久財受注
- 米 企業決算 → マクドナルド、インテル、アマゾン、スターバックス
注目されたトランプ大統領とユンケル欧州委員会委員長との会談は、ひとまず貿易戦争回避で合意しました。これにより、トランプ大統領が輸入自動車への関税導入の意向を示して高まっていた緊張が緩和され、一時110円66銭近辺まで売られたドル円は111円近辺まで値を戻し、NYダウは172ドル上昇。さらに米長期金利も2.97%台へ上昇するなど、「リスクオフ」が後退しています。
首脳会談終了後、トランプ大統領とユンケル委員長はホワイトハウスで共同会見を行い、EUが米国産液化天然ガス(LNG)と大豆の輸入を拡大するほか、双方が工業製品の関税を引き下げることで合意したと語っています。トランプ大統領は会見で、「非常に重要な記念すべき日となった」と発言し、米国とEUの関係が「新たな局面」に入ったと成果を強調していました。(ブルームバーグ)
ドル円は、米EU首脳会談前にもかかわらず、トランプ大統領が「関税はすばらしい」とツイートするなど、不穏な雰囲気があったためジリジリと円が買われる展開でした。会談終了前までには110円66銭前後までドル安が進み、今週月曜日に記録したドルの安値を下回る場面もありましたが、ひとまず貿易戦争は回避できたとの報道で急速に「リスクオン」に傾いています。
EUとの通商関係のさらなる悪化は避けられましたが、最大の懸念は対中国との貿易問題です。すでに米中ともに340億ドル(約3兆7700億円)の関税引き上げは発動されており、現在は160億ドル相当の追加関税を巡る公聴会が開かれているところです。この追加関税も来月早々に発動されると見られています。そして、その先には2000億ドル相当規模の引き上げや、場合によっては5000億ドル規模までトランプ氏は口にしています。今回のEUとの合意が前例となって、今後の貿易戦争拡大を回避できればいいのですが、まだまだ楽観できない状況が続きます。
ドル円は昨日110円台半ばまで売られた後、111円近辺まで反発したことで、このまま111円台を回復して上昇基調に戻れば、「Wボトム」を完成させますが、現時点ではまだ予断を許しません。気になるのが、ドル円と米長期金利との相関関係がやや崩れてきたことです。米長期金利は先週まで2.84〜2.86%の間で、極めて静かな動きを続けていましたが、トランプ大統領の「(金融当局の利上げは)うれしくない」発言以来、急速に上昇してきました。従来ならば、これに連動する形で「ドル買い円売り」が見られましたが、今回はドル高を懸念する発言もあったため、「リスク回避」の流れというよりも、トランプ発言に各市場がそれぞれ反応したというふうに理解できます。ただ、米長期金利がこの先緩やかに上昇し、3%に向かうようであれば、ドル円の下支えにはなろうかと思います。
本日のレンジは110円50銭〜111円50銭程度を予想しますが、まだ上値が重い展開は変わっていないと見られます。明日発表予定の米第2QのGDP速報値が、かなり力強いものになると予想されていますが、果たしてドル上昇のきっけになるのか、注目されます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/6 | プラート・ECB理事 | 「資産買い入れ策の緩やかな巻き戻しを正当化できるだけの十分な進展がこれまでにあったかどうか、この判断を来週の政策委員会で下す必要があるのは明らかだ」ベルリンでの講演で。 | ユーロドル1.17台前半から後半へ上昇 |
| 6/12 | トランプ・米大統領 | 「金委員長は非常に才能のある人物。」「金委員長と多く会うことになるだろう」米朝会談後に。 | ドル円、日経平均株価上昇 |
| 6/13 | パウエル・FRB議長 | 「インフレが上振れするとわれわれが考えれば、当然ながら金利を引き上げることになるが、金融当局はそうなると考えていない」FOMC後の記者会見で。 | -------- |
| 6/19 | ドラギ・ECB総裁 | 「初回利上げ時期の決定について辛抱強い姿勢を維持し、その後の政策調整は段階的に行う」年次フォーラムでの講演で。 | ユーロドル1.16台から1.1534まで下落 |
| 6/20 | パウエル・FRB議長 | 「失業率が低く、さらなる低下が見込まれ、インフレ率は当局の目標付近にあり、見通しへのリスクはおおよそ均衡していることを踏まええると、FF金利の漸進的な引き上げえお継続する根拠は強い」ECB主催のフォーラムで。 | 市場はドル買いで反応 |
| 6/25 | ナバロ・国家通商会議(NTC)委員長 | 「トランプ政権の通商政策は誤解されており、投資を制限する計画はない」 | 下落していたドルと株が買い戻される |
| 6/26 | ライアン・下院議長 | 不公平な貿易慣行に対抗する上で、「関税引き上げよりも良い手段がある」 | ドル円109円台後半から110円20銭台に |
| 6/29 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「われわれは経済の潜在成長力を拡大している。従ってインフレ的ではない」 | ドル円小幅に下落 |
| 7/6 | クーレ・ECB理事 | 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 7/8 | ルメール・仏経済・財務相 | 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 | -------- |
| 7/11 | 中国商務省 | 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 | -------- |
| 7/16 | 共和党・マケイン上院議員 | 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 | -------- |
| 7/17 | パウエル・FRB議長 | 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 | ドル高、株高が進む |
| 7/19 | トランプ・米大統領 | 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 | ドル円113円から112円06銭前後まで急落 |
| 7/20 | トランプ・米大統領 | 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 | ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に |
| 7/20 | トランプ・米大統領 | 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 | ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。 |



