今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年7月30日(月) 「米GDP大幅な伸びながらも予想を下回る」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 米第2四半期GDPの発表でドル円は110円80銭まで下げたが、今週発表の日米の金融会合を控え動きは小幅。111円近辺まで反発して越週。
  • ユーロドルは小幅に下落。この日は終始1.16台で推移し、一時は1.1620まで売られたが、1.16台半ばまで戻す。
  • 株式市場は下落。ダウは4日ぶりに反落。ナスダックはインテルの決算発表をきっかに急落した。結局IT関連銘柄が大きく売られことで、114ポイントの大幅安。
  • 債券相場は反発。長期金利は2.95%台へと低下。
  • 金、原油はともに下落。
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 4−6月期GDP(速報値) → 4.1%
 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 97.9
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ドル/円 110.80 〜 111.25
ユーロ/ドル 1.1620 〜 1.1664
ユーロ/円 129.25 〜 129.46
NYダウ −76.01 → 25,457.06ドル
GOLD −2.70 → 1,223.00ドル
WTI −0.92 → 68.69ドル
米10年国債 −0.022 → 2.954%

本日の注目イベント

  • 独 独7月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏7月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏7月消費者信頼感(改定値)
  • 米 6月中古住宅販売件数成約指数

ドル円は先週、一時110円台半ばまで売られる場面があり、これまで緩やかに上昇を続けていたトレンドにやや変化が出てきました。きっかけはトランプ大統領が、利上げは「うれしくない」とツイッターをしたことや、「中国とEUは通貨を操作している」といった、通常、大統領といえども言及することがない金融政策や通貨問題にまで「つぶやいた」ことでした。

さらにドル円の先行きに懸念を生じさせたのが、日銀の金融政策の修正観測が高まったことでした。一部の新聞や通信社が、本日から開催される決定会合で、緩和政策の見直しを検討すると報じたことでした。債券市場では、この報道を受け長期金利が急騰し、1年ぶりに0.1%まで上昇し、さらに先週末には一時0.105%まで上昇しました。日銀は「指し値オペ」を実施し、金利高を容認しない強い姿勢を見せましたが、依然として不透明感は払拭できていません。仮に、金融機関への副作用に配慮して「ゼロ金利解除」や「長期金利の上昇」を容認すれば円が買われ、かなりのスピードで円高が進む可能性が高いと見られます。

ただ、現時点では金融政策の変更は考えづらく、あるとすれば、現行の緩和姿勢を維持しながら、その副作用に配慮するコメントを発する程度ではないかと予想しています。2%の物価上昇が達成できていない中、円高が進めばさらに輸入物価を押し下げることになり、「逆風」となります。さらに、9月には自民党総裁選もあり、安倍現首相の3選が濃厚と見られており、そうなれば、「アベノミクスよ、もう一度」と考えるのは自然なことです。また、円高が進み株価の下落につながれば、来年10月からの消費税引き上げにも影響を与えることになります。

このような「思惑」や「期待」も入り混じった中で、本日から金融政策決定会合が行われ、明日その結果が発表され、その後いつものように黒田総裁の記者会見が行われます。久しぶりに注目を浴びる日銀会合ですが、今週は米国でもFOMCがあり、さらに英国でも金融政策会合があり、さしずめ今週は「中銀ウイーク」の様相です。

米4−6月期のGDP速報値は4.1%と発表されました。前期の2.0%に比べ倍の結果でしたが、予想より低かったため、市場はドル売りで反応しました。GDPの7割を占める個人消費がけん引したものと思われますが、これは昨年末の大型減税による影響かと思います。焦点は、この勢いが来期以降も続くのかどうかという点です。好調な米経済指標にも、住宅関連指標にはぼちぼち、スローダウンを示す数字も出てきています。トランプ政権の強硬な保護主義政策の行方とも関係しますが、この先、「米国一人勝ち」がどこまで続くのかをしっかり見極めていく必要があります。その結果次第では、現時点では「FRBによる利上げは年内あと2回」というシナリオが下方修正される可能性もないとは言えないからです。

本日のドル円は110円50銭〜111円30銭程度を予想していますが、どちらかと言えば「下方リスク」の方が高いと見ていますが、本日は、日本の10年物国債の動きにも注意したいところです。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/6 プラート・ECB理事 「資産買い入れ策の緩やかな巻き戻しを正当化できるだけの十分な進展がこれまでにあったかどうか、この判断を来週の政策委員会で下す必要があるのは明らかだ」ベルリンでの講演で。 ユーロドル1.17台前半から後半へ上昇
6/12 トランプ・米大統領 「金委員長は非常に才能のある人物。」「金委員長と多く会うことになるだろう」米朝会談後に。 ドル円、日経平均株価上昇
6/13 パウエル・FRB議長 「インフレが上振れするとわれわれが考えれば、当然ながら金利を引き上げることになるが、金融当局はそうなると考えていない」FOMC後の記者会見で。 --------
6/19 ドラギ・ECB総裁 「初回利上げ時期の決定について辛抱強い姿勢を維持し、その後の政策調整は段階的に行う」年次フォーラムでの講演で。 ユーロドル1.16台から1.1534まで下落
6/20 パウエル・FRB議長 「失業率が低く、さらなる低下が見込まれ、インフレ率は当局の目標付近にあり、見通しへのリスクはおおよそ均衡していることを踏まええると、FF金利の漸進的な引き上げえお継続する根拠は強い」ECB主催のフォーラムで。 市場はドル買いで反応
6/25 ナバロ・国家通商会議(NTC)委員長 「トランプ政権の通商政策は誤解されており、投資を制限する計画はない」 下落していたドルと株が買い戻される
6/26 ライアン・下院議長 不公平な貿易慣行に対抗する上で、「関税引き上げよりも良い手段がある」 ドル円109円台後半から110円20銭台に
6/29 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「われわれは経済の潜在成長力を拡大している。従ってインフレ的ではない」 ドル円小幅に下落
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和