今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年8月6日(月) 「米経済指標悪化でドル円111円台前半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は雇用統計を受け下落。賃金が伸びておらず、ISM非製造業景況指数も軟調だった、さらに長期金利も低下したことで111円11銭まで売られる。
  • ユーロドルも売られ、一時1.1560と、1カ月ぶりの安値を記録。ユーロ圏のPMIが予想を下回ったことがユーロ売りにつながった。
  • 株式市場は3主要指数が揃って上昇。雇用統計は予想を下回ったものの、3カ月平均でみれば引き続き好調との見方も。ダウは136ドル上昇し、S&P500は 5週連続で上昇。
  • 金は3日ぶりに反発。原油は反落。
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 7月失業率 → 3.9%
 7月非農業部門雇用者数 → 15.7万人
 7月平均時給 (前月比) → 3.3%
 7月平均時給 (前年比) → 2.7%
 7月労働参加率 → 62.9
 6月貿易収支 → −46.3bドル
 7月ISM非製造業景況指数 → 55.7
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ドル/円 111.11 〜 111.63
ユーロ/ドル 1.1560 〜 1.1610
ユーロ/円 128.67 〜 129.41
NYダウ +136.42 → 25,462.58ドル
GOLD +3.10 → 1,223.20ドル
WTI −0.47 → 68.49ドル
米10年国債 −0.037 → 2.949%

本日の注目イベント

  • 日 6月景気動向指数
  • 欧 企業決算 → HSBC

7月の雇用統計では、失業率が3.9%と、予想通り前月から改善していました。一方、非農業部門雇用者数は15.7万人と、予想を下回りましたが、6月分と5月分がそれぞれ上方修正され、その数、合わせて5万9000人でした。結局、直近3カ月平均で見れば、22万4000人となり、引き続き好調な雇用環境が続いています。ブルームバーグは、バークレイズのエコノミストのコメントを紹介しており、それによると、「現時点では、関税を巡る懸念は本当にただの懸念でしかない」、「企業が雇用や支出の方法を変える兆候はない」と語っています。

この日は、ドル円は売られて111円11銭まで下落しましたが、それでも111円台は維持しています。さらに株価の方はダウは136ドル上昇し、S&P500に至っては、先週プラスで終わったことで、5週連続の上昇です。これらを見る限り確かに米中貿易戦争の影響は微塵も見られません。しかし、週末には中国が新たな対抗処置を発表し現時点では中国側は一歩も引く構えは見せていません。

中国は3日、米国から輸入する約600億ドル(約6兆7000億円)分の製品に最大で25%の追加関税をかける報復措置を発表しました。この措置は、現在トランプ政権が検討している2000億ドルの中国製品に対する関税が実施されたら、ただちに発動するとしているものです。米中の報復合戦は泥沼化し、もしこの両措置が実施されたら、まさに貿易戦争状態と言えるし、あらたな段階に入ったとも言えるでしょう。中国側もそうですが、トランプ大統領も一歩も譲る構えは見せておらず、大統領側近も「中国はトランプ大統領のやり通す決意を侮ってはいけない」(ボンペオ国務長官)など、過激な発言をしています。

トランプ大統領は5日にもツイートし、「どの国も米国から富を奪いたがっていて、常にわれわれの不利益となる」とし、「こちらへやってくるなら、それに課税しろということだ」と発言しました。このような発言を考えると、トランプ政権は結局最後は自動車問題に焦点を当ててくる可能性が十分あります。そうなれば、日本も本格的に貿易戦争に巻き込まれることになります。最大の懸念事項である米中貿易問題に終息の兆しが全く見えない中、市場は極めて楽観的なのが気になりますが、「ただの懸念」で終わってくれることを願いたいと思います。本日のドル円は110円70銭〜111円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
7/31 黒田・日銀総裁 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 ドル高進む
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和