2018年8月24日(金) 「ドル円続伸し111円台を回復」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は続伸し、111円32銭までドル高が進む。豪ドル/米ドルで米ドルが買われたことや、今夜のパウエルFRB議長の講演も「タカ派的」に落ち着くとの見方が広がりドルを押し上げた。
- ユーロドルは1.15台でもみ合い。1.16台に近付くと高値警戒感も出て、上値を抑えた。
- 株式市場は続落。米中間の貿易対立に緩和の兆しが見えないことを嫌気し、ダウは76ドル下げる。
- 債券相場は引き続き小動き。前日比やや軟調だったことで、長期金利は小幅に上昇。
- 金と原油は小幅に反落。
新規失業保険申請件数 → 21.0万件
6月FHFA住宅価格指数 → 0.2%
7月新築住宅販売件数 → 62.7万件
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| ドル/円 | 110.78 〜 111.32 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1530 〜 1.1591 |
| ユーロ/円 | 128.21 〜 128.76 |
| NYダウ | −76.62 → 25,656.98ドル |
| GOLD | −9.30 → 1,194.00ドル |
| WTI | −0.03 → 67.83ドル |
| 米10年国債 | +0.007 → 2.826% |
本日の注目イベント
- 日 7月消費者物価指数
- 独 独4−6月期GDP(改定値)
- 米 7月耐久財受注
- 米 パウエル・FRB議長講演(ジャクソンホール)
今週火曜日には、2カ月ぶりに110円を割り込み、一時109円77銭までドル安が進みましたが、その後は現在まで一度も109円台を覗くことはなく、昨日のNYでは111円32銭までドルが買い戻されています。再び元の鞘に戻ったドルですが、「底堅い」という印象です。個人的には、一時的とはいえ、110円を割り込んだ意味合いは大きいと考えていましたが、どうやらそれは「杞憂」に終わる気配になってきました。
昨日のドル高の背景は、オーストラリアのタンブル首相に辞任圧力が高まり、豪ドルが対米ドルで大きく売られたことで、ドル高の流れがドル円にも波及した形でした。さらに今夜のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を巡って、ダラス連銀のカプラン総裁は「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」と述べ、今週トランプ大統領がFRBの利上げ政策に「不満」を述べたことで、議長の講演内容にも圧力がかかるのではないかとする市場の懸念を一蹴しました。さらにカプラン総裁は「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で、3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」(ブルームバーグ)とも語り、今後も緩やかな利上げスタンスは変わらないことに改めて言及した形になりました。
トランプ大統領自身が指名したパウエルFRB議長が、意に反して利上げを続けていることに「嬉しくない」と述べ、異例の批判をしたこともあり、今夜の議長の講演内容が注目されていましたが、今回のカプラン総裁の「援護射撃」で、トランプ大統領に対する「忖度」は最早考えられないと思います。もっとも、カプラン総裁の発言がなくても、FRBの独立性が揺るぐことはなく、パウエル議長は毅然とした姿勢を示すものと予想していました。
ワシントンでは米中通商協議が行われている中、両国は関税引き上げ合戦第2弾となる、160億ドル(約1兆8000億円)の関税引き上げを発動しました。通商協議からは現時点では成果は見られず、出口の見えない貿易戦争へと突入しそうな気配です。昨日のホワイトハウスでの会議でも、トランプ大統領は「米国は長い間中国に対して甘すぎた」と述べ、強硬姿勢を崩していません。このままいけば2000億ドルという大規模な追加関税も来月9日以降には発動される可能性が高まってきました。貿易戦争に勝者がいないのは事実ですが、足元の米中貿易の実態を見ると、このままエスカレートすれば、中国に不利なことは明らかです。これがトランプ氏の強気姿勢の背景の一つになっていると見られますが、それだけにこれ以上の悪化を避けるには、中国側の譲歩が不可欠と言えます。
今週最後のレポートもトランプ大統領に関する記事で終わりたいと思います。トランプ氏はFOXテレビとのインタビューで、自身が議会に弾劾される理由は見当たらないとしながらも、「もし自分が弾劾されるようなことになれば、(株式)市場は崩壊すると思う。国民全員が非常に貧しくなる。弾劾されなければその逆の、信じられないような数字が実現するのだから」と述べています。(ブルームバーグ)皆さんはこの発言を聞いてどのように感じるでしょうか?
ドル円は元の水準に戻っては来ましたが、今後上昇するには、ここからが正念場です。これまでにも述べてきたように、111円半ばを中心に上下30銭がレジスタンスゾーンになっています。今夜のパウエル講演でこの水準を上抜けできるのかどうかが、非常に興味深いところです。予想レンジは110円70銭〜111円70銭程度とします。
日本国内の自動車販売台数は、約530万台程度です。一方、今や米国を抜き、世界で最も自動車が売れる国中国では、3000万台を超えています。そのため、将来の政治的リスクが排除できない状況下にも関わらず、ここに来てトヨタを始め、日本の自動車メーカーは中国での生産を一気に増やす計画を相次いで発表しています。主戦場中国で今後の鍵を握るのが「電気自動車」(EV)がどれだけ売れるかです。昨日の新聞で、「日中でEV充電規格を統一」との記事が大きく報じられました。充電規格を巡っては、日本では「チャデモ」、欧米では「コンボ」と、それぞれ異なった規格を採用しており、状況は日本の規格が劣勢でした。世界最大の自動車市場である中国と共通の規格が出来れば、一気に優位に立つことができそうです。因みに、この「チャデモ」の名前の由来ですが、「お茶でも飲んでいる間に充電を」ということのようです。良い週末を・・・・・。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/6 | クーレ・ECB理事 | 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 7/8 | ルメール・仏経済・財務相 | 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 | -------- |
| 7/11 | 中国商務省 | 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 | -------- |
| 7/16 | 共和党・マケイン上院議員 | 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 | -------- |
| 7/17 | パウエル・FRB議長 | 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 | ドル高、株高が進む |
| 7/19 | トランプ・米大統領 | 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 | ドル円113円から112円06銭前後まで急落 |
| 7/20 | トランプ・米大統領 | 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 | ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に |
| 7/20 | トランプ・米大統領 | 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 | ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。 |
| 7/31 | 黒田・日銀総裁 | 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 | ドル高進む |
| 8/3 | 中国商務省 | 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 | -------- |
| 8/14 | エルドアン・トルコ大統領 | 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 | -------- |
| 8/16 | ムニューシン・米財務長官 | 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 | -------- |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 | ドル円110円台半ばから下落 |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 | -------- |
| 8/23 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 | ドル円110円台から111円台に上昇。 |



