今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年8月29日(水) 「ドル円水準変わらず111円台前半」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は前日と同じような展開が続き、111円を割り込んだものの勢いはなく反発。8月の消費者信頼感指数が予想を大きく上回ったことや、米長期金利が上昇したことで111円24銭までドルが上昇。
  • ユーロドルはさらに水準を切り上げ、1.1734まで買われ、約1カ月ぶりのユーロ高水準をつける。
  • 米国株は上昇の勢いは衰えたものの主要3指数ともに揃って続伸。メキシコとの貿易協定の合意や、経済指標の上振れが支援材料となり、ダウは14ドル高。S&P500は3日連続で最高値を更新。
  • 債券相場は続落。消費者信頼感指数が2000年以来の高水準だったことで売られた。長期金利は2.88%台まで上昇。
  • 金と原油は揃って反落。
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 6月ケース・シラ−住宅価格指数 → 6.3%
 8月消費者信頼感指数 → 133.4
 8月リッチモンド連銀製造業指数 → 24
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ドル/円 110.95 〜 111.24
ユーロ/ドル 1.1691 〜 1.1734
ユーロ/円 129.97 〜 130.27
NYダウ +14.38 → 26,064.42ドル
GOLD −1.60 → 1,214.40ドル
WTI −0.34 → 68.53ドル
米10年国債 +0.034 → 2.880%

本日の注目イベント

  • 独 独9月GFK消費者信頼感
  • 米 4−6月GDP(改定値)
  • 米 7月中古住宅販売件数成約指数

ドル円は前日と同じような展開が続き、111円を割り込んでも直ぐに切り返して、結局昨日と同じ水準で戻って来ました。午前中は、貿易や為替操作を巡る米当局者の発言を受けてドルは軟調に推移していましたが、その後、8月の消費者信頼感指数が「133.4」と発表されたことで、ドルは徐々に上昇に転じました。同指数は2000年以来となる高水準を記録しましたが、好調な個人消費に支えられ、ドルが堅調な理由の一つになっています。

消費者信頼感指数が予想を上回ったことで、このところ低下傾向だった米10年債利回りも上昇し、こちらは2週間ぶりに2.88%台まで上昇し、ドルを支えています。米中貿易問題では一向に解決の糸口が見えず、このままでは2000億ドル(約22兆円)の制裁関税第3弾も発動される可能性が高まっています。また米朝問題でも、ポンペオ国務長官の訪朝が突然中止されるなど、ややリスク回避を促す材料も溜まってきました。それでもドル円が堅調に推移しているのは、上述のように、米経済の好調さであり、日米金利差が縮小しないことにあるようです。

米中貿易問題の交渉を巡って、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は昨日FOXテレビとのインタビューで、「ノーとばかり言う人は交渉できない」、「中国から肯定な言葉は聞いたことがない」などと述べ、中国との協議では全く成果がないと述べています。貿易問題では、メキシコとの間で新たな貿易協定を締結し、カナダに圧力をかけています。トランプ大統領は「カナダとも協議するが、自動車に関税を課すことになるのか、ディールを結ぶのかどちらかだ」と語っており、カナダは選択を迫られている状況です。

ユーロの戻しが予想以上に進んでいる印象です。ユーロドルは昨日、1.1734まで買われ、直近安値から既に400ポイント以上値を戻しています。またユーロ円も124円台後半から一方的に上昇し、昨日は130円台前半までユーロ高が進んでいます。ドイツの経済指標が好転してきてはいますが、いずれもショートカバーが主因だと思われます。ユーロの難しいところは、一旦トレンドが出ると、予想以上にその傾向が続いてしまうところです。上昇する時も、下落する時もその傾向が強く、ドル円と同じような感覚で取り引きを行っていると、損失が急速に膨らむことがあるので注意が必要です。本日は、米GDP改定値以外は重要な経済指標はありません。ドル円はストレスの溜まる展開が続いていますが、いましばらくは我慢が必要です。本日のレンジは110円70銭〜111円50銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
7/31 黒田・日銀総裁 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 ドル高進む
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和