今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年8月30日(木) 「ドル円111円台後半まで上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は111円台半ばを超え、111円83銭まで続伸。米株式市場が堅調なことに加え、4−6月期のGDP改定値が4.2%と上方修正されたことでドルが買われた。
  • ユーロドルは小幅に反落したが、1.17を挟む展開に。ユーロ円が130円台後半まで上昇したことも、ユーロドルの下落を支えた。
  • ポンドが急伸。英国がEUからの離脱を巡る問題で、合意に達するとの観測が広がり、対ドルで1.28台後半から1.30台に乗せる。
  • 株式市場は4日続伸。米国がメキシコに次ぎカナダとも貿易協定の合意が近いとの見方が広がり、ダウは60ドル高。S&P500は3日連続で最高値を更新。
  • 債券相場は小幅ながら続落、長期金利は2.88%台半ばで取り引きを終える
  • 金は続落し、原油は反発。
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 4−6月GDP(改定値) → 4.2%
 7月中古住宅販売件数成約指数 → −0.7%
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ドル/円 111.24 〜 111.83
ユーロ/ドル 1.1656 〜 1.1710
ユーロ/円 129.67 〜 130.85
NYダウ +60.55 → 26,124.57ドル
GOLD −2.90 → 1,211.50ドル
WTI +0.98 → 69.51ドル
米10年国債 +0.004 → 2.884%

本日の注目イベント

  • 独 独8月失業率
  • 独 独8月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏8月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏8月消費者信頼感(確報値)
  • 英 英7月消費者信用残高
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 7月個人所得
  • 米 7月個人支出
  • 米 7月PCEコアデフレータ
  • 加 カナダ4−6月期GDP

ドル円は堅調に推移し、レンジ相場の上値のメドであった111円台半ばを上抜けし、111円83銭までドル高が進みました。この水準は約1カ月ぶりの水準となり、現時点で断定はできないものの、しばらく続いていたレンジ相場を上抜けした可能性が出て来ました。

前日までは一目均衡表(日足)の雲の上限で上昇を抑えられていたドル円は、昨日の続伸で、今朝は雲の上からローソク足が出現しており、雲抜けを完成させた形になっています。ただ、日足のMACでは「シグナル」が依然として「マイナス圏」に留まっていることから、今後MACDに収れんされる形でドル円も落ちてくる可能性もありますが、クロス円全般で「円売り」が進んでいることから、この水準でのもみ合いを経て上昇する可能性があると予想します。

トランプ政権は、メキシコとの貿易協定大筋合意を完了させたことで、今度はカナダとのNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉に乗り出しました。カナダとは、自動車に関する協定は受け入れられる可能性がありますが、乳製品ではまだ大きな溝があると伝えられています。カナダのトルドー首相も、「適切な取引」を結ぶという目標を犠牲にすることはないと述べてはいるものの、週内の合意を目指して取り組んでいることを明らかにしています。(ブルームバーグ)

4−6月期米GDP改定値が発表されました。速報値の「4.1%」から上方修正され、2014年第3四半期以来の高い伸びとなる「4.2%」でした。個人消費の伸びは予想を下回ったものの、知的財産投資が大きく伸び、全体を牽引した格好です。これらを材料に好調な米株式市場はさらに買われ、これで4日続伸です。S&P500とナスダックは最高値を更新し、ダウも最高値は更新してはいないものの、連日上昇が続き、最高値更新も視野に入ってきたようです。

米長期金利も、先週2.81%台まで低下しましたが、ジリジリと上昇に転じ、昨日は2.88%台半ばまで金利高が戻ってきました。懸念された「逆イールドカーブ」も、やや遠のいた状況です。活況な株式市場に比べ、ドル円は盛り上がりません。それでも昨日のNYでの動きは、今後の変動率の上昇を予感させるようなところもありました。来週からは9月です。米中貿易問題も、米国が第3弾の追加関税引き上げを発動させる可能性が高まっており、中国側の出方がさらに注目されます。また9月開催のFOMCでは利上げが確実視されており、国内に目を向ければ自民党総裁選も20日に予定されています。ドル円も今のような「だんまり」を決め込むわけにはいかないでしょう。本日の予想レンジは111円30銭〜112円程度とします。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
7/31 黒田・日銀総裁 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 ドル高進む
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和