2018年8月31日(金) 「ドル円続伸できず反落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は111円台半ばから反落。トランプ大統領が中国からの輸入品に2000億ドル相当の関税を発動したいとの考えを示したことや、アルゼンチンペソなど、新興国通貨が再び値下がりしたことで、円が買われた。ドル円は一時110円95銭まで下げる。
- ユーロドルは小幅に下落。1.16台後半を頭に、1.1642まで売られる。
- 株式市場は5日ぶりに反落。米中の貿易を巡る報道を手がかりに売りものが優勢となる。ダウは137ドル下落し、その他の主要株価指数も揃って反落。
- リスク回避の流れが強まり、債券は買われる。長期金利は2.85%台まで低下。
- 金は続落。原油価格は続伸し、1カ月ぶりに70ドル台に乗せる。
新規失業保険申請件数 → 21.3万件
7月個人所得 → 0.3%
7月個人支出 → 0.4%
7月PCEコアデフレータ → 2.0%
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| ドル/円 | 110.95 〜 111.47 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1642 〜 1.1696 |
| ユーロ/円 | 129.41 〜 130.36 |
| NYダウ | −137.65 → 25,986.92ドル |
| GOLD | −6.50 → 1,205.00ドル |
| WTI | +0.74 → 70.25ドル |
| 米10年国債 | −0.029 → 2.855% |
本日の注目イベント
- 日 8月東京都区部消費者物価指数
- 日 7月失業率
- 日 7月鉱工業生産
- 中 8月製造業PMI(速報値)
- 中 8月非製造業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏7月失業率
- 欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
- 米 8月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 8月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
昨日のコメントでドル円に上昇の余地が出てきたと予想しましたが、結果は真逆の動きでした。東京時間では堅調だったドル円は、NY市場に入ると111円台半ばを頂点にジリジリと下げ、111円を割り込む水準までドル安が進行しました。前日111円83銭までドル高が示現したことで、111円台半ばのレジスタンスゾーンを抜け、日足で「雲抜け」も完成させていましたが、MACDでは「シグナル」が依然としてマイナス圏に留まっていることに警戒感はありましたが、指摘していたように、MACDに収れんされる形でドル円が押し戻されました。111円台半ばでは、もう少し踏ん張れるものと予想していましたが、ここは見事に外してしまいました。
ドル売りのドライバーになったのが、今回もトランプ大統領の発言でした。既に手続きが進行中でもあり、周知のことではありましたが、トランプ氏が改めて中国への追加関税を発動したいと考えていると、一部の報道が伝えたことが円買いを促しました。またメキシコとの貿易協定には大筋合意しましたが、その協定文書には、輸入自動車に対する数量規制が盛り込まれていることが判明し、これも円買い材料になっています。
メキシコからの輸入自動車が一定の数量を超えた場合には25%の関税を適用するというものです。一定数とは240万台と見られており、今すぐに適用されるものではありませんが、メキシコからの自動車輸入は着実に増加しており、数年後には240万台に達すると見られています。問題は、トランプ政権が同じことを日本に対しても行ってくると見られていることです。米国の自動車販売台数は今年に入ってからは伸びず、やや頭打ちです。それでも昨年日本からは170万台もの自動車が米国に輸出されています。日本の自動車メーカーが、軸足を米国から中国にシフトしているとはいえ、今後この問題が公にテーブルに載るようだと、円が買われることになりそうです。
アルゼンチンペソなど、新興国通貨が再び下落基調を強めてきました。昨日は、アルゼンチンペソと、インドルピーが過去最安値を更新しており、ブラジルレアルも大きく下げています。一旦6.00近辺まで上昇したトルコリラも、再び下げ足を早め、6.90近辺まで売られています。このように、新興国通貨が下落すると、それらの国に対するエクスポージャーが多い欧州の銀行などの株が売られ、ユーロなどの下落にも波及します。ドル円は再び元のレンジに戻った可能性もありますが、ここから先は上述の米中貿易問題と自動車関税の動向次第です。円が買われたとはいえ、まだ111円前後での動きです。依然として、明確な方向を見つけるのに苦労する展開は変わりません。本日のレンジは110円60銭〜111円50銭程度を予想します。
8月は今日で終わります。まだ夏が終るわけではありませんが、振り返ってみれば8月は、「異常な暑さ」と「新興国通貨の急落」が記憶に残ります。南アフリカのランドもその一つですが、ドルに対して年初から13%下落しています。ブルームバーグ・ニュースによると、このランド安の影響から、南アフリカの「サファリツアー」に訪れる観光客が大賑わいだとか。アフリカ最大規模の野生動物保護区であるクルーガ国立公園では外国人の増加割合が過去最高だそうです。国民は通貨安によるインフレで苦しんでいる一方、通貨安を巧に利用している人もいるわけです。・・・・通貨の変動が人々の行動様式をも変えるといったらオーバーでしょうか。良い週末を・・・・・。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/6 | クーレ・ECB理事 | 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 7/8 | ルメール・仏経済・財務相 | 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 | -------- |
| 7/11 | 中国商務省 | 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 | -------- |
| 7/16 | 共和党・マケイン上院議員 | 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 | -------- |
| 7/17 | パウエル・FRB議長 | 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 | ドル高、株高が進む |
| 7/19 | トランプ・米大統領 | 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 | ドル円113円から112円06銭前後まで急落 |
| 7/20 | トランプ・米大統領 | 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 | ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に |
| 7/20 | トランプ・米大統領 | 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 | ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。 |
| 7/31 | 黒田・日銀総裁 | 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 | ドル高進む |
| 8/3 | 中国商務省 | 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 | -------- |
| 8/14 | エルドアン・トルコ大統領 | 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 | -------- |
| 8/16 | ムニューシン・米財務長官 | 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 | -------- |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 | ドル円110円台半ばから下落 |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 | -------- |
| 8/23 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 | ドル円110円台から111円台に上昇。 |
| 8/24 | パウエル・FRB議長 | 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 | ドル安、株高が進む |



