今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年9月3日(月) 「新興国通貨の下落一服」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 110円台半ば近辺まで売られたドル円は小幅に反発。米国とカナダとのNAFTA再交渉は合意に至らなかったが、引き続き5日から再開されることで、市場への影響は軽微。前日急落したトルコリラなど新興国通貨が値を戻したこともあり、111円13銭までドルが買い戻される。
  • ユーロドルは緩やかに下落。一時は1.160を割り込み、1.1585まで売られる。
  • 株式市場は高安まちまちながら、全体としては横ばい。ダウは22ドル続落したが、ナスダックは21ポイントの上昇。
  • 債券相場はほぼ横ばい。長期金利は2.86%台に。
  • 金は4日ぶりに反発し、原油は反落。
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 8月シカゴ購買部協会景気指数 → 63.6
 8月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 96.2
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ドル/円 110.69 〜 111.13
ユーロ/ドル 1.1585 〜 1.1655
ユーロ/円 128.55 〜 129.14
NYダウ −22.10 → 25,964.82ドル
GOLD +1.70 → 1,206.40ドル
WTI −0.45 → 69.80ドル
米10年国債 +0.005 → 2.860%

本日の注目イベント

  • 中 8月財新製造業PMI
  • 欧 ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
  • 英 英8月製造業PMI
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演

上値の重くなった東京市場の流れを受けたドル円は、NY市場では110円69銭までドル安が進みましたが、結局今回もそれ以上の下値を試すこともなく、111円台まで値を戻しています。ドルの底値が硬いのか、あるいは上値が重いのか、判断しづらい展開が続いています。NY時間では相変わらずトランプ大統領を中心とした情報が相場の撹乱要因で、この日はカナダとのNAFTA再交渉の行方でした。メキシコとの交渉では大筋合意にこぎつけたものの、カナダのトルドー首相との交渉は、結局8月末期限までには合意に至らず、今週5日から再交渉の余地は残しているものの、楽観はできない状況です。

トランプ大統領はさらにカナダに対して圧力をかけ続け、1日のツイッターでは「新たなNAFTAの取り決めにカナダをとどめておく政治的な必要性はない。何十年にも及ぶ地位の乱用があった後で、われわれが米国にとって公正な合意を結ぶことにならなければ、カナダが出て行くことになる」と主張し、「議会はこの交渉に介入すべきではない。さもなければ私はNAFTAを完全に終わらせる。そのほうがずっと良い状態になるだろう」(ブルームバーグ)と述べ、NAFTAの制度そのものを撤廃することにも言及しました。再交渉は5日に再開されますが、交渉は数日間ではなく、数週間単位で続く可能性があるようです。

先週木曜日に再び急落したトルコリラなどの新興国通貨が反発しています。トルコリラでは、トルコ当局がドル建ての預金に課す税率を引き上げる一方、リラ建てに対しては1年超の預金についてこれまで10%だった税率をゼロにし、リラ預金の方が有利になる措置をしたことが効いたようです。しかし、この小手先の措置がリラの下落を止めるとも思えません。この措置は、利息に対する税率をゼロにしたものと思われますが、1日で20%も値下がりするリラが、預金利息に対して10%軽減されても、それほど意味はありません。

そもそも直近のインフレ率が16%近いわけですから、本来は、政策金利を大幅に引き上げ、まずはインフレを封じ込める必要があるはずですが、国民に手持ちの金やドルを売って、リラを買うように要請するなど、今回の措置も含めて、政策が手詰まりであることを物語っているようです。8月の消費者物価指数は本日発表されますが、事前予想では「17.60%」と、さらにインフレが加速していると予想されています。

本日のドル円は110円60銭〜111円40銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
7/31 黒田・日銀総裁 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 ドル高進む
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
8/30 トランプ・米大統領 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和