今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年9月4日(火) 「トルコ8月のCPIは15年ぶりの高水準」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場

  • NY市場がレーバーデーによる休場のため、ドル円は小動き。110円95銭近辺から111円17銭での動き。
  • ユーロドルは1.16を挟み、上値は1.1628前後までユーロ高が進む。
ドル/円 110.96 〜 111.17
ユーロ/ドル 1.1596 〜 1.1628
ユーロ/円 128.76 〜 129.15
NYダウ ------ → 25,964.82ドル
GOLD ------ → 1,206.40ドル
WTI ------  → 69.80ドル
米10年国債 ------ → 2.860%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 豪 豪4−6月期経常収支
  • 欧 ユーロ圏7月生産者物価指数
  • 米 8月ISM製造業景況指数
  • 米 8月自動車販売台数演

NY市場が祝日で休場だったことで、為替は動きがありません。昨日の東京時間では上値が重く、株価も軟調だったことで、111円台から緩やかに下落し、110円80銭前後までドル安が進みましたが、欧州市場に入ると、今度は緩やかに上昇し、111円17銭までドルが買い戻されています。注目は新興国通貨の動きでしたが、昨日はトルコの8月の消費者物価指数が発表されました。

事前予想は「17.6%」と、既に高めの予想でしたが、「17.9%」と発表され、予想を上回っていました。今年4月には12%を下回っていたものが、わずか4カ月で6%の上昇です。トルコリラはこの発表後売られましたが、トルコ中銀が声明を発表したことで下げ幅は縮小しています。トルコ中銀は、「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」と表明しました。

インフレが急速に進んでおり、市場では物価の安定には5%以上の利上げが必要だとの観測もありますが、エルドアン大統領が利上げどころか、「利下げ」を望んでいることから、中銀もその意向を無視できない状況が続いています。インフレが加速しているにもかかわらず利上げができないことで、通貨リラがさらに売られ、これがインフレをさらに上昇させるという「悪循環」に陥っています。ここはトルコ中銀がむしろサプライズを演出するくらいでないと、この「悪循環」を断ち切れません。トルコはロシア寄りの姿勢を示していることから、対米国との関係も悪化し、先月にはトルコに売却予定であった「ステルス戦闘機」を、トランプ大統領は売却凍結を指示したばかりです。米国人牧師がトルコに拘束されていることもあり、トランプ大統領はさらなる制裁を発動するかもしれません。来週13日の中銀政策発表が注目されます。

本日も東京時間中は余り動きがないものと思われます。米国株に比べ上値の重い日経平均株価も、ドル円の上昇を抑えそうです。ただ、今週末の雇用統計を皮切りに、今月は内外でイベントが多く予定されているため、さすがのドル円も動きが出るものと予想しています。早ければ今週末から来週にも発動予定が発表される可能性のある、中国に対する「制裁関税第3弾」が最大の焦点になりそうです。

本日のレンジは110円70銭〜111円50銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
7/31 黒田・日銀総裁 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 ドル高進む
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
8/30 トランプ・米大統領 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和