今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年9月6日(木) 「ドル円上値を試すも伸びきれず」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は上値が重いものの堅調に推移。アジア市場の流れを引き継ぎ、111円76銭までドルが買われた。
  • ユーロドルは前日より小幅に上昇。英国のEU離脱交渉を巡って英国とドイツが主要な要求を取り下げたと伝わり、ポンドとユーロが買われた。ユーロドルは1.1640まで上昇し、ポンドドルも1.2908まで買われる。
  • 株式市場はまちまち。アップルなどIT株が下げ、ナスダックは96ポイントの下落。一方ダウは22ドルの上昇で取引を終える。
  • 債券相場には大きな動きは見られず、小幅に下落。長期金利はやや上昇し、2.90%台に乗せる。
  • 金は反発し1200ドル台を回復。原油価格は1ドルを超える大幅反落。
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 7月貿易収支 → −501億ドル
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ドル/円 111.44 〜 111.76
ユーロ/ドル 1.1572 〜 1.1640
ユーロ/円 129.08 〜 129.99
NYダウ +22.51 → 25,974.99ドル
GOLD +2.20 → 1,201.30ドル
WTI −1.15 → 68.72ドル
米10年国債 +0.004 → 2.902%

本日の注目イベント

  • 豪 豪7月貿易収支
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 8月ADP雇用者数
  • 米 8月ISM非製造業景況指数
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 加 カナダ7月建設許可件数

昨日の東京時間朝方に111円71銭まで上昇したが、その後111円40銭前後まで押し戻されたドル円は、NY市場では再び上値を試し、111円76銭と、東京での高値を若干ですが上回る場面がありました。短期的な動きを示す「1時間足」を見ても、先月末に記録した110円70銭前後を底値に下値を切り上げる動きになっています。米中貿易問題では、今週中にもトランプ大統領が中国に対して追加関税第3弾を発動するのではないかという懸念が高まっていることで、上値を大きく超えていく展開ではありませんが、これまでの動きとはやや異なってきたというのが大方の印象でしょう。

NY市場の引け値は111円台半ばと、高値からはやや反落して取引を終えていますが、111円台前半でショートを振った投資家にとっては落ちつかない動きが続いています。中国に対する追加関税が発動されれば、市場はまずドル売りで反応すると予想され、ショートポジションをうまく手仕舞うことができそうですが、そのタイミングが分かりません。引き続きレンジ内での動きで、「そのレンジの上限を試しているところ」と、見られなくはありませんが、もしこの先もドルが緩やかに上昇するようなら、メドは8月1日につけた112円15銭ということになります。ここから徐々に下げる可能性もありますが、米中貿易問題に加え、明日は雇用統計もあり注意が必要です。

ドル円はテクニカル面でも非常に重要な局面にいます。NYで111円76銭を記録したとはいえ、引け値で下げていることで、まだ完全に日足の雲抜けが完成されたわけではありません。今朝の時点では、雲の上限は111円50銭をやや下回ったところに位置しています。本日の引け値がここを下回って引けるようだと、結局高値を抜けずに押し戻されたことになり、再び「弱気相場入り」となる可能性もあります。もっとも、その場合でも雲の中段にある「転換線」が111円26銭近辺にあるため、ここを下回らなければ、上昇基調は維持されていると判断できます。

また「MACD」でも同じように、「マックD」はプラス圏に入り、上昇をうかがわせていますが、「シグナル」はゼロの軸にかかっており、まだプラス圏に入ったとは言えず、こちらも微妙なレベルにいます。「移動平均線」でも同様に、中期線として見ている「120日線」が、現在長期線の「200日線」と交わっているところで、「120日線」がもう一段上昇すると、下から「200日線」、「120日線」そして短期線として見ている「52日線」が順列に並び、ドル高トレンドを完成させることになります。8月1日に記録した112円15銭に達すれば、上記テクニカルは全て強気サインを点灯すると見られます。

このように、今週に入りジリジリと上昇してきたドル円は、米中貿易問題を引きずりながらも112円方向に向かってきました。ドル円がこの先、再び元の鞘に戻るのか、あるいはここから明確な上昇トレンドを形成して行くのか、分水嶺になります。本日のレンジは111円10銭〜112円程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
7/31 黒田・日銀総裁 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 ドル高進む
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
8/30 トランプ・米大統領 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和