今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年9月7日(金) 「ドル円110円台半ばまで下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は大幅反落。ADP雇用者数が予想を下回り、長期金利が低下した。さらにトランプ大統領が日本との貿易関係に不満との報道が円買いを加速させ、110円51銭までドル安が進む。
  • ドルが売られたことでユーロも上昇。ユーロドルは1.1655まで買われ、終始1.16台で推移。
  • 株式市場は前日と同じような動きを見せたが、この日はダウが小幅ながら20ドル上昇し、ナスダックは続落。
  • 債券相場は反落。長期金利も低下し、2.87%台に。
  • 金は3日続伸。原油価格は4日続落し68ドルを割り込む。
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 新規失業保険申請件数 → 20.3万件
 8月ADP雇用者数 → 16.3万人
 8月ISM非製造業景況指数 → 58.5
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ドル/円 110.51 〜 111.34
ユーロ/ドル 1.1606 〜 1.1655
ユーロ/円 128.49 〜 129.65
NYダウ −20.88 → 25,995.87ドル
GOLD +3.00 → 1,204.30ドル
WTI −0.95 → 67.77ドル
米10年国債 −0.029 → 2.873%

本日の注目イベント

  • 日 7月景気動向指数
  • 中 中国 8月外貨準備高
  • 独 独7月鉱工業生産
  • 独 独7月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏4−6月期GDP(確定値)
  • 米 8月雇用統計
  • 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 加 カナダ8月就業者数
  • 加 カナダ8月失業率

ドル円は結局「元の鞘」に戻ったようです。個人的にはこれまでの流れにやや変化が出たことで、ドル高の可能性を意識していましたが、昨日はドルが大きく売られ、今回も震源地はトランプ大統領でした。トランプ大統領は日本の指導者とは良好な関係だとしながらも、「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」と述べと、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝え、トランプ大統領が依然として対日貿易に悩まされているようだと報じたことで、ドル売り円買いが強まり、110円台半ばまで円高が進みました。

対中国への追加関税発動が近いのではとの観測が高まっていますが、米国の貿易赤字解消という点では、日本との貿易赤字の改善を図ることは避けて通れません。対中国との制裁関税がひと段落すれば、日本を「口撃」してくることは十分予想されます。WSJが伝えたトランプ大統領の発言から判断する限り、大統領は日本のトップとの良い関係を維持してはいますが、心の中ではいつ「本題」を切り出そうか考えているようです。

本日は8月の雇用統計が発表されます。昨日発表されたADP雇用者数が予想を下回ったことで、今日の数字も下振れするのではないかといった観測も出てきましたが、この両者の相関関係はそれほど強くはありません。予想では、失業率がさらに改善していて「3.8%」、非農業部門雇用者数は先月の17万人から「19.4万人」に増えると予想されています。このところ、雇用統計の結果では為替は動きません。予想より多少多くても少なくても、為替への影響は限定的で、基本的には「米景気は好調」との見方はぶれないということでしょう。ただそれでも、為替へは最も影響力のある経済指標であることに変わりはありません。用心するにこしたことはありません。

昨日のこの欄で、NYで111円76銭までドル高が進んだ後、軟調な動きになっても111円26銭前後にある日足の「転換線」を上回っていれば、まだ上昇の余地があると書きましたが、足元ではこの水準を大きく下回ってしまいました。この結果、再び111円台半ばが重い展開になるものと予想されます。本日の下値のメドはまずは110円台半ばが意識されます。昨日までの上昇で、結局「日足の雲の上限」が抜け切れないため反落しましたが、今度は同じ雲の「下限」が抜けるかどうかです。一目均衡表の「雲」は抵抗帯です雲がローソク足よりも下にある時は下落を支え、上にある時は上昇を抑える役目をします。もちろん、絶対に抜けないということではなく、「抜けにくい」ということです。仮に110円50銭を明確に下抜けした場合は、110円台前半と、109円80−90銭あたりが次のメドと予想しています。本日のレンジは110円10銭〜111円10銭程度でしょうか。土日に、中国への追加関税第3弾がニュースにならなければいいのですが。


先月25日に81歳で亡くなった米共和党の重鎮、ジョン・マケイン氏の葬儀が先週ワシントンで行われました。葬儀には、オバマ氏、ブッシュ(子)氏に、クリントン氏と、歴代大統領が参列しましたが、トランプ大統領は欠席して、長女イバンカ氏と彼女の夫クシュナー氏が代理で参列しました。オバマ氏とブッシュ氏は、マケイン氏の功績を称える一方、トランプ氏には批判的な挨拶を行っていました。マケイン氏は同じ共和党員ながら、今年7月の米ロ首脳会談でのトランプ大統領を「記憶にある限り米大統領として最も恥ずべき行為だ」と痛烈に批判しました。式の最後に遺族を代表して挨拶にたったマケイン氏の長女は、「米国を再び偉大にする必要はない。米国は常に偉大だからだ」と述べると、大きな拍手が湧き起こったそうです。トランプ大統領にこの声は届いたのでしょうか・・・?良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 クーレ・ECB理事 「(米国の保護主義を受けて)これまでのところ、われわれが見てきたことが景気回復を妨げる恐れはない」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
7/8 ルメール・仏経済・財務相 「(トランプ政権に対して)仮に、あなた方がわれわれを再び攻撃し、自動車メーカーに関税を課すようなことがあれば、われわれは報復すると警告しておく」経済フォーラムで。 --------
7/11 中国商務省 「国家と人民の利益を守るため、中国は必要な反撃をせざるを得ない」米国の2000億ドルの追加関税発表に対して。 --------
7/16 共和党・マケイン上院議員 「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」米ロ首脳会談について。 --------
7/17 パウエル・FRB議長 「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」議会証言で。 ドル高、株高が進む
7/19 トランプ・米大統領 「(金融当局の利上げに関して)うれしくない。景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」」CNBCとのインタビューで。 ドル円113円から112円06銭前後まで急落
7/20 トランプ・米大統領 「(中国人民元)石のように落ちている」「米国の通貨は上昇している、これにより、われわれが不利な立場に置かれているといわざるを得ない」CNBCとのインタビューで。 ドル円112円60銭付近からから112円28銭まで急落。日経平均プラス100円からマイナス204円に
7/20 トランプ・米大統領 「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」ツイッターで。 ドル円112円30銭付近からから111円38銭まで急落。
7/31 黒田・日銀総裁 「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する。物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」政策決定会合終了後の記者会見で。 ドル高進む
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
8/30 トランプ・米大統領 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和