2018年9月10日(月) 「好調な米雇用統計でもドル円伸びず」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 8月の雇用統計が予想を上回ったことで、ドル円は111円25銭まで上昇。その後トランプ大統領が中国への関税をさらに拡大する発言を行ったことで、110円74銭まで反落。引けにかけては111円台に乗せ111円05−10銭で越週。
- ユーロドルは雇用統計発表後、1.151台半ばまで売られたがその後は反発。1.1622前後まで上昇。
- 株式市場は下落。トランプ大統領が対中関税拡大を警告したことが嫌気された。ダウは79ドル下げ、S&P500は4日続落。
- 良好な雇用統計を受け債券は売られる。長期金利は大幅に上昇し、2.93%台後半で引ける。
- 金と原油は小幅に反落。
8月失業率 → 3.9%
8月非農業部門雇用者数 → 20.1万人
8月平均時給(前月比) → 0.4%
8月平均時給(前年比) → 2.9%
8月労働参加率 → 62.7%
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| ドル/円 | 110.74 〜 111.25 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1551 〜 1.1622 |
| ユーロ/円 | 128.01 〜 128.83 |
| NYダウ | −79.30 → 25,916.54ドル |
| GOLD | −3.90 → 1,200.40ドル |
| WTI | −0.02 → 67.75ドル |
| 米10年国債 | +0.066 → 2.939% |
本日の注目イベント
- 日 4−6月GDP(改定値)
- 日 7月国際収支
- 日 8月景気ウオッチャー調査
- 中 中国 8月消費者物価指数
- 中 中国 8月生産者物価指数
- トルコ 4−6月期GDP
- 英 英7月貿易収支
- 英 英7月鉱工業生産
- 米 7月消費者信用残高
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
8月の雇用統計は概ね良好でしたが、特に平均時給の伸びが目を引き、発表直後はドルが買われました。平均時給は前月比で「+0.4%」、前年比で「+2.9%」と、2009年以来の高水準でした。賃金の上昇が消費を拡大させ、インフレにつながるという連想から、今後も利上げが続くといった思惑が働きドルが買われました。もっとも、今月25−26日に開催されるFOMCでは利上げが確実視されており、市場の焦点は12月FOMCでの利上げの有無に移っています。
上値の重かったドル円は、雇用統計発表後に111円25銭までドル高が進みましたが、その後、再びトランプ大統領の貿易に関する発言でドルが売られています。トランプ氏は「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」と遊説先に向かう大統領専用機の中で報道陣に語りました。すでに500億ドルが実施され、さらに2000億ドルの追加関税が発動されるのも「時間の問題」となっている状況の中、さらに強気の発言を行っています。仮に、この分までも実施されるようだと、中国からの全輸入品に対して関税を引き上げることになり、このままでは市場が予想しているよりもさらに厳しい状況になりそうです。トランプ大統領が仕掛けた「貿易戦争」に終わりは見えそうもありません。
大統領はさらに、前日に続き日本に対してもじわじわと攻撃しています。大統領は7日、日本との貿易協議について「合意に達しなければ日本は大変な問題になる」と述べ、合意がなければ報復することを示唆しました。さらに大統領は「日本との貿易協議に本腰を入れてこなかった唯一の理由は、中国と協議していたことだ」と説明しています。日米貿易協議は今月下旬に行われるようですが、トランプ政権はいよいよ日本も標的にし始めたと思われます。
今回の雇用統計で、米景気の良さが再確認されました。昨年末の大規模減税に加え、株高による資産効果、さらには今回確認された賃金上昇と、個人消費を拡大させる材料に事欠きません。4−6月期のGDPも「4.2%」と上方修正され、やはりG20諸国内では頭一つ抜けていることは疑う余地もありません。米国発の好景気が世界の景気に好影響を与えることで、世界景気が巡航速度を保って伸びていけば、米国が好景気の牽引車ということになりますが、この先は不透明です。貿易戦争がさらにエスカレートすれば、米国自身もその影響を避けることはできません。好調だった米IT株が低迷しているのは、対中貿易の不透明感がその理由の一つです。アップルのiPhoneは、基本部分の設計は米国内で行い、日本の素材を用いて中国で生産し、世界中に輸出していると言われています。先週6日に締め切られた、中国への2000億ドルの追加関税公聴会では、アップルは正式に反対意見を述べています。
今週は上記2000億ドルの追加関税がどこで発動されるのか、あるいは中国側が何か妥協案を示してくるのかが最大の焦点でしょう。好調な米経済でもドル円の上値が抑えられていますが、トランプ政権が日本に対する圧力をさらに強めてくるようだと、ドル円が水準を変えてくることも予想されます。本日の予想レンジは110円40銭〜111円30銭程度と見ます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/3 | 中国商務省 | 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 | -------- |
| 8/14 | エルドアン・トルコ大統領 | 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 | -------- |
| 8/16 | ムニューシン・米財務長官 | 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 | -------- |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 | ドル円110円台半ばから下落 |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 | -------- |
| 8/23 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 | ドル円110円台から111円台に上昇。 |
| 8/24 | パウエル・FRB議長 | 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 | ドル安、株高が進む |
| 8/30 | トランプ・米大統領 | 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 9/3 | トルコ中銀 | 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 | トルコリラ下げ幅を縮小 |
| 9/6 | トランプ・米大統領 | 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 | ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ |
| 9/7 | トランプ・米大統領 | 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 | ドル円111円台から110円74銭へ |
| 9/7 | トランプ・米大統領 | 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 | -------- |



