今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年9月11日(火) 「英国のEU離脱に前向きな発言でポンド上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は小幅に上昇したものの、111円25銭で上昇がストップ。不透明な通商問題がドルの上値を抑える。その後111円台で推移しながら、111円05−15銭で取引を終える。
  • ユーロドルは1.16の攻防から抜けきれず、この日も上値、下値とも限定的だった。
  • 株式市場はまちまち。ダウは59ドル安だったが、S&P500とナスダックは5日ぶりに反発。
  • 債券相場はほぼ変わらず。長期金利は2.93%台で推移。
  • 金と原油はともに続落。
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 7月消費者信用残高 → 16.640b
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ドル/円 111.03 〜 111.25
ユーロ/ドル 1.1569 〜 1.1617
ユーロ/円 128.53 〜 129.07
NYダウ −59.47 → 25,857.07ドル
GOLD −0.60 → 1,199.80ドル
WTI −0.21 → 67.54ドル
米10年国債 −0.007 → 2.931%

本日の注目イベント

  • 独 独9月ZEW景況感指数
  • 独 独9月ZEW景気期待指数
  • 英 英8月雇用統計
  • 加 カナダ8月住宅着工件数

再び動きの鈍くなったドル円は、111円を挟む展開となり、先週と同じ水準を維持しています。昨日の朝方には110円87銭前後までドル売りが進みましたが、その後はもみ合い、NY市場ではドルが買われましたが、111円25銭で上昇が止まっています。この水準は、先週末の雇用統計発表直後にドル高が進んで記録した水準とまったく同じレベルです。上にも行けず、さりとて下にも行けないドル円は、次の材料を待っている状況です。

昨日は全般的に好材料が出て、「リスクオン」の流れに傾いた印象でしたが、それでもドルの上値は「貿易戦争」という壁に阻まれているようです。北朝鮮の金正恩委員長がトランプ大統領との2回目の首脳会談を要請したとのニュースがありました。会談の目的は明らかにされてはいませんが、ホワイトハウスは「非常に温かく、非常に前向きなようだ」として、米国側も既に調整のプロセスにあることを発表し、実現に向けて会談場所などの選定を行っているようです。(ブルームバーグ)

昨日はさらに、英国のEU離脱が現実に近づいてきたようなニュースもありました。EUのバルニエ交渉官は昨日スロベニアで、「なおいくつかの問題は残っているものの、英国のEU離脱に関する合意を8週間以内に結ぶことは現実的」との認識を示しました。この発表を受けポンドドルは1.29台半ばから100ポイントほど上昇しています。また財政赤字の拡大が懸念されるイタリアでは、トリア財務相が成長促進のために債務削減と財政赤字抑制が必要であることを政府は理解していると発言しています。

これらはいずれもドル買い材料と見られますが、今週は特に中国に対する追加関税の発動が予想され、これがドルの上値を抑える展開です。加えて、トランプ大統領は先週あたりから日本に対する貿易不均衡にも言及し始めており、今月下旬に予定されている日米貿易協議の結果次第では、さらに日本に対しては一段と厳しい「口撃」をしてくる可能性があります。方向感のないドル円は、先週はほぼ雲の中(日足)に留まっており、上下とも抜け切れない状況です。米長期金利が再び3%を目指す動きになっていることがドルの下値を支えてはいますが、111円台半ばを抜け112円に行くには、どうしても不透明な貿易問題に一筋の光が差し込む必要があります。ここは我慢するしかありません。本日の予想レンジは110円70銭〜111円40銭程度でしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
8/30 トランプ・米大統領 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和