今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年9月13日(木) 「ドル円上値も下値も限定的」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 昨日の東京時間に111円65銭まで上昇したドル円は引き続き貿易問題への懸念からジリジリと値を下げる。111円12銭まで売られ、111円台はキープしたものの、依然として上値を抜け切れない展開が続く。
  • ユーロドルもレンジに変化はなく、1.16を中心に推移。1.1650まで上昇したが勢いはなく押し戻される。
  • 株式市場は朝方は上昇したものの、その後はまちまち。ダウは27ドル上昇したが、引け値では2万6000ドルに届かず。
  • 債券相場は反発。長期金利は2.96%台へと小幅に低下。
  • 金は続伸。原油も大幅に買われ、70ドル台を回復。
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 8月生産者物価指数 → −0.1%
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ドル/円 111.12 〜 111.49
ユーロ/ドル 1.1579 〜 1.1650
ユーロ/円 128.93 〜 129.72
NYダウ +27.86 → 25,998.92ドル
GOLD +8.70 → 1,210.90ドル
WTI +1.12 → 70.37ドル
米10年国債 −0.013 → 2.963%

本日の注目イベント

  • 豪 豪8月雇用統計
  • トルコ 金融政策決定会合
  • 独 独8月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
  • 欧 IEA月報
  • 英 BOE金融政策発表
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 8月消費者物価指数
  • 米 8月財政収支
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

ドル円は上値を試したものの、今回も一目均衡表の「雲の上限」を抜け切れず、押し戻されています。先週から今週にかけては111円25銭を2度付け、その後押し戻され、今回はその水準を抜け、111円65銭までドルが買われ、「今回こそ」との期待もありましたが、この水準も2度記録した後、111円台前半まで再び押し戻されています。

米中貿易問題だけではなく、日本に対しても圧力を強めてきたトランプ大統領の「口撃」が次第にエスカレートする中、好調な米景気という材料だけではドルの一段高を望むのは簡単ではないようです。一方でドルの下値の方も、110円台半ば辺りが底堅く、足元では111円前後も徐々に固めているようにも見えます。どちらに抜けるか判断の難しい展開が続いていますが、ここはめげずに市場と対峙するしかありません。

NY時間には米中貿易問題に関するやや明るいニュースも出ています。関係者が明らかにしたところによると、米国は中国との貿易関係のさらなる悪化を回避するため、中国に新たな通商交渉を行うことを提案したとのことです。ブルームバーグは、ムニューシン財務長官を中心とする米政府当局者が、中国の当事者に協議を申し入れたと報じています。先週には、6日に公聴会を終えればトランプ大統領はすぐにでも中国に対する2000億ドル(約22兆円)の追加関税を発動するとの観測があり、為替や、株式市場などは、それに備える動きを見せる場面もありましたが、まだ発動はされておらず、上記のように、できれば更なる悪化は避けたいといった「水面下の交渉」も行われているようです。

ただ相手はトランプ大統領です。そう簡単に振り上げた刀をおさめることはないでしょう。特に中間選挙に向けて支持率を落とし、予備選挙でも苦戦を強いられているところに発売された「内幕本」でさらに苦境に立たされています。「FEAR」(恐怖)と題した本は、皮肉なことにトランプ大統領がよく批判しているアマゾンでは、売り上げがトップになっているようです。小生も是非手にとって読んでみたいと思いますが、本はトランプ氏の大統領としての資質に大きな疑問を投げかけているとのことです。トランプ氏も、さらに大きな成果を上げ、国民の注目を引く必要があり、貿易問題がさらにエスカレートすることも考えられます。

本日は、ドル円以外の通貨が動きそうです。ユーロ圏と、イギリス、トルコでは政策金利の発表があり、オーストラリアでは雇用統計の発表があります。クロス円を通じて、ドル円にも影響があるかもしれませんが、ドル円は111円台を維持できるかどうかが注目されます。111円をしっかりと割り込むようだと、再び下値を試しに行く可能性があると見ています。大きくは、110−112円のレンジを抜け切るまでは「逆張り」に分があるようです。予想レンジは110円80銭〜111円60銭程度と見ています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
8/30 トランプ・米大統領 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和