2018年9月19日(水) 「ドル円112円台半ばまで上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は続伸し、2カ月ぶりとなる112円39銭までドル高が進む。中国への追加関税では、関税率が10%であったことから、今後も交渉の余地があるとの見方や、米長期金利が3%を大きく上回ったことでドル買いが膨らんだ。
- ユーロドルも続伸し、ユーロ高が進む。ユーロ円の上昇に伴って1. 1725までユーロ高が進み、ユーロ円も131.50銭前後まで買われ、7月18日以来の水準に。
- 株式市場は大幅に上昇。中国への追加関税第3弾が発表されたが、日本を含むアジア市場の株式が堅調だったことで、米株も上昇。ダウは184ドル上昇し、2万6200ドル台に。
- 債券相場は「リスクオン」の傾向がさらに強まったことで大きく売られる。長期金利は3.05%台まで上昇。
- 金は反落し、原油は反発。
9月NAHB住宅市場指数 → 67
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| ドル/円 | 112.03 〜 112.39 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1652 〜 1.1725 |
| ユーロ/円 | 130.87 〜 131.50 |
| NYダウ | +184.84 → 26,246.96ドル |
| GOLD | −2.90 → 1,202.90ドル |
| WTI | +0.94 → 69.85ドル |
| 米10年国債 | +0.068 → 3.055% |
本日の注目イベント
- 豪 豪4−6月期経常収支
- 日 8月貿易収支
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 黒田日銀総裁記者会見
- 欧 ドラギ・ECB総裁講演
- 英 英8月物価統計
- 米 8月住宅着工件数
- 米 8月建設許可件数
- 米 経常収支(4−6月)
トランプ政権は、昨日中国に対する追加関税第3弾を発表し、24日に発動することを決めましたが、市場の反応は朝方の東京時間限定でした。ドル円は111円67銭前後まで売られましたが、直ぐに切り返し、昼ごろには112円台に乗せました。日経平均株価が朝方のマイナスから徐々に買われ、プラスに転じたこともドル買いにつながったようですが、株価は300円を超える上昇で引けています。関税率が当初の25%ではなく、10%であったことから、米中は今後も交渉の余地があるといった見方や、「これでひとまず材料が出尽くした」といった見方が「リスクオン」に向かわせたようです。
市場は、今回の追加関税に関しても筆者が考える以上に楽観的のようです。実際に昨日の市場の反応は、円が主要通貨に対して全面安の展開となり、リスクが高まった際に買われる傾向のある金や米国債は売られています。とりわけ米10年債は大きく売られ、5月に記録した3.12%に次ぐ高水準まで長期金利は上昇しました。
今回の追加関税の特徴は、その対象品目に消費財が多いことです。家具やかばんなど生活に関連する品目が多いことから、24日の発動までには個人が生活防衛のために消費を活発にすることが予想されます。中国側も米国に対して600億ドル(約7兆2000億円)の報復関税を24日に発動することを発表しており、昨日のメディアの言葉を借りれば「泥沼化」してきたと思われ、貿易戦争は「長期化」する可能性が高まってきました。個人的には足元の「ドル高・株高」を基本とするリスク選好の流れは、直ぐではないとしても、どこかで逆流する場面があると考えています。
ただドル円は112円台半ばまで上昇したことで、チャートでは明らかにドル高を示唆しています。「日足」では雲抜けを完成させ、「週足」でも、2015年6月を頂点に描けるトレンドラインを抜けてきました。これで目先のレジスタンスは「120週線」が示す、113円台前半まで目立ったものはありません。「日足」では7月に記録した113円20銭という、直近高値がありますが、これは上記「120週線」とほぼ同じ水準と考え、113円〜113円30銭あたりが、次の重要なレジスタンスかと思われます。
追加関税第3弾の発表が終わり、今度は注目材料が国内に移ります。明日は、結果は見えていますが、「自民党総裁選」があります。すでに体勢は決まっているようですが、問題は「勝ち方」でしょう。安倍さんが圧勝しないと、求心力が問われ、今後の政権運営に支障が出てくる可能性があります。一方、石破さんの劣勢は避けられないようですが、どこまで支持票を伸ばせるのかといったところでしょう。安倍さんが圧勝すれば再び「アベノミクス」に関心が移り、何らかの景気刺激策が浮上することも考えられ、その場合、株価の上昇を通じてドル円の支援材料になる可能性があります。そして、明日からは日米通商協議も始まり、安倍さんが勝利した場合には、25日には日米首脳会談も予定されているようです。今回の会談では、トランプ大統領も「外交的な対応」でなく、「本音」で貿易不均衡を議題にしてくることも予想されます。ドル高傾向とはいえ、このままどんどんドルが買われる地合いではなさそうです。本日の予想レンジは111円80銭〜112円80銭程度と見ます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/3 | 中国商務省 | 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 | -------- |
| 8/14 | エルドアン・トルコ大統領 | 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 | -------- |
| 8/16 | ムニューシン・米財務長官 | 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 | -------- |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 | ドル円110円台半ばから下落 |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 | -------- |
| 8/23 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 | ドル円110円台から111円台に上昇。 |
| 8/24 | パウエル・FRB議長 | 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 | ドル安、株高が進む |
| 8/30 | トランプ・米大統領 | 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 9/3 | トルコ中銀 | 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 | トルコリラ下げ幅を縮小 |
| 9/6 | トランプ・米大統領 | 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 | ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ |
| 9/7 | トランプ・米大統領 | 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 | ドル円111円台から110円74銭へ |
| 9/7 | トランプ・米大統領 | 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 | -------- |



