今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年9月28日(金) 「ドル円年初来高値を更新」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続伸し、今年1月に記録した113円38銭を上回り、年初高値となる113円47銭まで上昇。株価が反発し、経済指標も良好だったことでドル買いが加速。
  • ユーロドルでもドル高ユーロ安が進む。イタリアの財政懸念からユーロが売られ、1.1639まで下落。
  • 株式市場は反発。耐久財受注などの経済指標が上振れしたこともあり、ダウは4日ぶりに54ドル上昇。ナスダック、S&P500も揃って反発。
  • 債券相場は小幅に反落し、長期金利は3.05%台へとやや上昇。
  • ドル高の影響から金は11ドル下げ、1187ドル台に。原油価格は反発。
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 新規失業保険申請件数 → 21.4万件
 4−6月GDP(確定値) → 4.2%
 8月耐久財受注 → 4.5%
 8月中古住宅販売件数成約指数 → −1.8%
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ドル/円 112.84 〜 113.47
ユーロ/ドル 1.1639 〜 1.1713
ユーロ/円 131.89 〜 132.52
NYダウ +54.65 → 26,439.93ドル
GOLD −11.70 → 1,187.40ドル
WTI +0.55 → 72.12ドル
米10年国債 +0.004 → 3.052%

本日の注目イベント

  • 日 8月失業率
  • 日 8月鉱工業生産
  • 日 9月東京都区部消費者物価指数
  • 中 9月財新製造業PMI
  • 独 独9月失業率
  • 欧 ユーロ圏9月消費者信頼感(速報値)
  • 英 英4−6月期経常収支
  • 英 英4−6月期GDP(確定値)
  • 米 8月個人所得
  • 米 8月個人支出
  • 米 8月PCEコアデフレータ
  • 米 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 米 9月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

ドル円は昨日の東京時間では株価の大幅下落に伴って、一時112円55銭前後まで下落しましたが、海外市場に入ると切り返し、NYでは113円47銭までドル高が進みました。これでドル円は、直近高値や、今年1月の高値だけではなく、一時的には「200週移動平均線」も上抜けし、年初来高値を記録したことになります。

ドル円の動きは前日と同じで、東京時間では売られましたが下げ切れずに、その後反発する展開です。異なったのは、昨日は日本株が大きく売り込まれたにもかかわらず、海外市場ではドルが大きく買われたことです。昨日は特にユーロドルでもドル高が進み、ユーロドルは1週間ぶりに1.16台半ばまで下落しました。ドルに対しては、ユーロの下落幅が大きかった分、ユーロ円も131円台まで売られています。さらに昨日は金も大幅に売られ、1190ドル台を割り込んで取引を終えており、昨日に限って見れば、ドル全面高の様相でした。

ドル高の背景はこれまで述べてきたように、好調な景気にあります。昨日発表された8月の耐久財受注は、事前予想の「2.0%」を大きく上回る「4.5%」でした。貿易戦争を仕掛けている米国ですが、依然として景気拡大が続いていると見られ、米中関税引き上げ合戦も泥沼化していますが、その影響が出るのはまだ先のようです。また、懸念された日米貿易協議(FFR)では2国間協議である「日米物品協定」の交渉開始で合意し、最悪の事態である自動車への25%の関税引き上げは回避できています。これも、ドル円の支援材料として市場は受け止めたはずです。ただ自動車への関税問題は、「協議が行われている間は追加関税は課さない」という確認事項に過ぎず、今後協議が難航し決裂した場合には、その可能性は一気に高まってくることになります。

中国への追加関税第3弾が発動され、日米貿易協議も終え、さらにはFOMCも利上げは予想通りだったものの、声明文ではやや「ハト派的」だったにもかかわらず、ドル円は下げるどころか、年初来高値をつけてきました。トランプ大統領自身がドル高を望んでいないため、今後どこで「ドル高けん制発言」が飛び出すのかわかりませんが、少なくともそこまでは警戒感を維持しながらも、ドル高が続くと予想するしかありません。水準が水準だけに追いかけて買うのは難しい局面ですが、下げたところでは拾う展開が続きそうです。一方で、ドルの上昇はあっても引き続きそのスピードは緩慢で、緩やかなものになると予想しています。本日のレンジは113円〜113円70銭程度を予想します。


今月15日に亡くなった女優の樹木希林さんに密着取材した「NHKスペシャル」が今週放映されました。5年前にがんをわずらい、当初は「乳がん」だったようでしたが、それをピンポイントで放射線治療を行い、治癒したかにみえましたが、その後がんが全身に転移していることが判明。番組でも、その時のPET検査を行った後の画像を見せていましたが、まさに体全身に黒い部分が見て取れ、驚きました。取材を受けながらも、常に「自然体」でカメラに向かい、時にはNHKの記者を気遣う場面も。もともと薬が嫌いなせいか、最後まで抗がん剤治療を拒否。この番組を観て、樹木希林さんの聡明さが非常に良く伝わってきました。見事な生き様でした。合掌。よい週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
8/3 中国商務省 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 --------
8/14 エルドアン・トルコ大統領 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 --------
8/16 ムニューシン・米財務長官 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 --------
8/20 トランプ・米大統領 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 ドル円110円台半ばから下落
8/20 トランプ・米大統領 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 --------
8/23 カプラン・ダラス連銀総裁 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台から111円台に上昇。
8/24 パウエル・FRB議長 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 ドル安、株高が進む
8/30 トランプ・米大統領 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
9/19 李克強・中国首相 「輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」天津での世界経済フォーラムでの講演で。 新興国通貨、豪ドルなどが上昇
9/24 ドラギ・ECB総裁 「ひっ迫しつつある労働市場が賃金の伸びを加速させる中で、向こう数カ月に基調的なインフレ率はさらに上昇する見込みだ」「域内の価格圧力は強まりつつあり、裾野を広げている」講演で。 ユーロドル1.1750〜1.1815まで上昇
9/25 王受文・中国商務次官 「中国はナイフをのどに突き付けられての交渉を行うことはできない」米中貿協議に関して。 --------
9/26 パウエル・FRB議長 「米企業からの貿易懸念の『声の高まり』を耳にしている。FRBは貿易政策に責任がないが、長期間にわたる広範囲な関税は米国にとってよくないだろう」FOMC後の会見で。 --------
9/26 トランプ・米大統領 「残念ながら、FRBが今しがた利上げをした。私はそれに不満だ。私は彼らが利上げを好んでいる様子だという事実を懸念している」FOMCでの利上げに関して。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和