2018年10月4日(木) 「米長期金利一段と上昇しドル全面高」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 東京時間に113円52銭前後まで売られたドル円は急反発。好調な米経済指標や長期金利が急騰したことを手がかりに、114円54銭までドル高が進み、今年の最高値を更新。
- ユーロドルは続落し、一時は1.1465まで売られる。その後、イタリアが財政赤字目標を引き下げる方針を示したことでユーロは小幅に反発。
- 株式市場は良好な経済指標を好感し続伸。ダウは5日続伸し、連日で最高値を更新。ナスダックも25ポイント上昇し8000ポイントの大台を回復。
- 債券相場はADP雇用者数の上振れや、ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことで急落。10年債利回は3.18%台まで上昇。
- ドル高から金は反落。原油は反発し76ドル台に。イランからの供給が減少との予測はあるものの、投機的な資金の流入が価格を押し上げる。
9月ADP雇用者数 → 23.0万人
9月ISM非製造業景況指数 → 61.6
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| ドル/円 | 113.80 〜 114.54 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1465 〜 1.1554 |
| ユーロ/円 | 131.25 〜 131.83 |
| NYダウ | +54.45 → 26,828.39ドル |
| GOLD | −4.10 → 1,202.90ドル |
| WTI | +1.18 → 76.41ドル |
| 米10年国債 | +0.118 → 3.181% |
本日の注目イベント
- 豪 豪8月貿易収支
- 日 ラガルドINF専務理事が記者会見(都内)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 クオールズ・FRB副議長講演
- 米 パウエル・FRB議長講演
ドル円は再び114円台に乗せ、114円台半ばまで上昇し、年初来高値を更新しました。昨日の朝方には、日本株の調整を手がかりに113円52銭前後まで売られ、短期的な動きを示す「1時間足」では「雲の下抜け」を見せたものの、そこから切り返しての上昇でした。この動きは、先月27日と同じ展開で、結局「上昇トレンド」が基調となっていることを表しているということです。
昨日のドル高のドライバーは「米長期金利」でした。3.18%台まで急伸し、約7年ぶりの金利高(価格は下落)となっています。一部債券保有者がロングのポジションを解消したと思われ、金利急騰を引き起こしています。債券売りを促したのは、引き続き好調な経済指標でした。この日発表された9月のADP雇用者数は、予想の「18.4万人」に対して「23.0万人」と大きく上振れしました。また、9月のISM非製造業景況指数に至っては「61.6」と、手元の資料では確認できないため、ブルームバーグデータで調べたところ、1997年8月以来の高水準で、実に21年ぶりの数字でした。
良好な経済指標を背景に、FRBが年内に「もう一回利上げ」をするのではないかとの見方も強まっています。日米金利差がさらに拡大していることから、機関投資家は一段とリスク選好姿勢を強め、ドルを積み上げているようです。ドル円は、すでに年初来高値を更新しており、114円台半ばまで上昇したことで昨年11月の114円74銭にも手が届きそうです。115円も視野に入ってきましたが、ドルに対してさらに強気の人は、2016年11月にトランプ氏が大統領選で勝利した後に記録した、118円台半ばも「口にする」かもしれません。
ただ米金利上昇が常にドル高につながることにならないことは、今年2月に十分経験したはずです。連日最高値を更新していたダウが、2月2日の取引で665ドルの大幅安を見せました。そしてさらに、5日には1175ドルという記録的な下げを演じ、8日にも1032ドル下げるなど、坂道を転げ落ちるかのように下げ続けました。米長期金利の上昇を嫌気したものでしたが、その長期金利は、前日の2.78%から2日には2.84%台まで上昇し、21日には2.95%まで上昇しました。本来高金利を嫌う株式市場ですが、この時はまさに「教科書通りの反応」を示したわけです。109円台後半で推移していたドル円は、1カ月後には105円台まで円高が進んだことを記憶している方も多いのではないかと思います。もちろん、当時とは企業業積や経済環境は異なってはいますが、今後ドル円が115円を超えていくと予想される中でも、警戒感を持って望むことは必要です。米国発の貿易戦争は進行中です。ドル円がドル高に進めば進むほど、トランプ大統領からの「口撃」の可能性は高まります。本日のドル円は114円〜115円程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/3 | 中国商務省 | 「米側が企業や消費者の利益を省みず事態をエスカレートさせており、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」600億ドルの報復関税発表にあたって。 | -------- |
| 8/14 | エルドアン・トルコ大統領 | 「トルコに攻撃を仕掛け者はコストを支払うことになる」TV演説で。 | -------- |
| 8/16 | ムニューシン・米財務長官 | 「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」CNNテレビで。 | -------- |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで。 | ドル円110円台半ばから下落 |
| 8/20 | トランプ・米大統領 | 「トルコに譲歩することはない」ロイター通信とのインタビューで。 | -------- |
| 8/23 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で3−4回の利上げが必要になるという意味だと思う」CNBCとのインタビューで。 | ドル円110円台から111円台に上昇。 |
| 8/24 | パウエル・FRB議長 | 「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」「利上げを急げば景気後退のリスを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」「(物価上昇は)2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」ジャクソンホールでの講演で。 | ドル安、株高が進む |
| 8/30 | トランプ・米大統領 | 「米中貿易摩擦で中国が米国より長く生きることはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 9/3 | トルコ中銀 | 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 | トルコリラ下げ幅を縮小 |
| 9/6 | トランプ・米大統領 | 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 | ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ |
| 9/7 | トランプ・米大統領 | 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 | ドル円111円台から110円74銭へ |
| 9/7 | トランプ・米大統領 | 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 | -------- |
| 9/19 | 李克強・中国首相 | 「輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」天津での世界経済フォーラムでの講演で。 | 新興国通貨、豪ドルなどが上昇 |
| 9/24 | ドラギ・ECB総裁 | 「ひっ迫しつつある労働市場が賃金の伸びを加速させる中で、向こう数カ月に基調的なインフレ率はさらに上昇する見込みだ」「域内の価格圧力は強まりつつあり、裾野を広げている」講演で。 | ユーロドル1.1750〜1.1815まで上昇 |
| 9/25 | 王受文・中国商務次官 | 「中国はナイフをのどに突き付けられての交渉を行うことはできない」米中貿協議に関して。 | -------- |
| 9/26 | パウエル・FRB議長 | 「米企業からの貿易懸念の『声の高まり』を耳にしている。FRBは貿易政策に責任がないが、長期間にわたる広範囲な関税は米国にとってよくないだろう」FOMC後の会見で。 | -------- |
| 9/26 | トランプ・米大統領 | 「残念ながら、FRBが今しがた利上げをした。私はそれに不満だ。私は彼らが利上げを好んでいる様子だという事実を懸念している」FOMCでの利上げに関して。 | -------- |
| 10/1 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 | -------- |



