今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年10月5日(金) 「米株価、原油下げ、ドル円反落。」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は反落。米株式市場で、株価が大きく下落したことで利益確定のドル売りが優勢となり、113円64銭までドルが売られる。為替以外の市場でも、持ち高を解消する動きが目立ち、これまでの楽観ムードも一服。
  • ユーロドルは反発。ドルが売られたことや、EU大統領が、「英国のEU離脱での合意を真剣に考えている」と述べたことなどが材料となり、1.1542まで上昇。
  • 株式市場は急落。中国が米企業をハッキングしていたとのブルームバーグの報道が売り材料となった。ダウは350ドルほど下げる場面があったが、引け値はマイナス200ドル。ナスダックも大きく売られ、前日比145ポイント下げる。
  • 債券相場は小幅ながら続落。長期金利はやや上昇し、3.187%前後で引ける。
  • 金は続落。原油価格は利益確定の売りに押され大幅安に。前日比2.08ドル売られ、74ドル台に。
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 新規失業保険申請件数 → 20.7万件
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ドル/円 113.64 〜 114.21
ユーロ/ドル 1.1493 〜 1.1542
ユーロ/円 130.74 〜 131.57
NYダウ −200.91 → 26,627.48ドル
GOLD −1.30 → 1,201.60ドル
WTI −2.08 → 74.33ドル
米10年国債 +0.006 → 3.187%

本日の注目イベント

  • 豪 豪8月小売売上高
  • 独 独8月生産者物価指数
  • 米 9月雇用統計
  • 米 8月貿易収支
  • 米 8月消費者信用残高
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 加 カナダ8月貿易収支
  • 加 カナダ9月就業者数
  • 加 カナダ9月失業率

順調に上昇を続けていたドル円は、久しぶりに「調整らしい調整」を見せました。昨日の朝方には114円55銭までドルが買われたものの、上値の重さを感じながらも底堅い動きでしたが、NY市場では株価が大幅な下落を見せたことをきっかけにドルが売られ、114円台を割り込んでからは、ポジションを解消する動きも出て、113円64銭までドル安が進行しました。この日の高値からは90銭ほど下げる、今回の上昇局面では久しぶりの下落となりました。積み上げたポジションの利益を確定する動きもドルを押し下げたようです。

米長期金利は小幅に上昇していることで、ドル売り材料にはなっておらず、ドル下落の引き金を引いたのは、株価の大幅下落でした。その株価の下落も、これといった明確な材料が見つけにくい状況でしたが、ブルームバーグの報道が一つのきっかけであったことは確かなようです。ブルームバーグは、中国がマイクロチップを使って米企業をハッキングしていたとの記事を伝えています。さらに米中関係にも緊張が高まっている兆しが見られます。ペンス副大統領は昨日、中国が米国の選挙に介入していると、異例の発言を行っています。

NY株式市場の急落をきっかに、為替、原油市場など、これまでリスク選好の高まりに伴って買われたものが、巻き戻されたという格好です。76ドル台まで上昇したWTI原油価格は昨日2ドルを超える下げに転じています。問題は、これでリスク選好の流れが変わり、楽観ムードが収束に向かうのかどうかという点です。クドロー国家経済会議(NEC)委員長はホワイトハウスで、「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる」と述べています。また「ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」とも述べており、足元のドル高を容認するような発言を行っています。

昨日この欄で、今年2月には株価急落に伴い円高ドル安が進んだことに付いて触れましたが、昨日のNY市場の動きはこれに似ているような気もしますが、単なる杞憂に終わると思っています。ただ相場というものは、特段の理由がなくても、緩やかな下げが続き、その後に大きな下げが発生し、トレンドが変わることもあります。引き続き市場の微妙な変化には注意したいところです。

本日は、日本株の調整は避けられないでしょう。焦点は、その際にドル円がどこまで下値を試すのかという点です。テクニカルでは113円47銭前後に「200時間線」があり、「4時間足」の雲の上限もこの前後にあることから、113円40−50銭辺りが目先のサポートと考えます。また、来週月曜日は祝日で、東京市場は3連休になります。加えて、今夜は恒例の「雇用統計」があります。今日中に、「利益を確保しておきたい」、そう考えるにも意外性はありません。同時に、「雇用統計でドルが上にはねたところを売りたい」と考える人も多いはずです。そういった「売り」がどの程度出てくるのかにも注目です。本日のレンジは113円30銭〜114円50銭と、上記材料を考慮してやや広めに予想します。


トランプ大統領が「恋に落ちた」(fell in love)と、自らの言葉で告白しました。「うわぁ!またスキャンダルか!!」と思いきや、その相手は北朝鮮の金正恩委員長でした。トランプ氏は先週、ウエストバージニア州の集会で、「金委員長が素敵な手紙を何通もくれた」「それはすばらしい手紙だ、われわれは恋に落ちた」と述べました。ポンペオ国務長官が7日に北朝鮮を訪問し、2回目となる米朝首脳会談を準備を整えることになっていますが、トランプ氏自信、このような表現で「秋波」をおくっています。これも11月の中間選挙までには何としても「成果」がほしい、トランプ流外交術なんでしょうか。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
9/19 李克強・中国首相 「輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」天津での世界経済フォーラムでの講演で。 新興国通貨、豪ドルなどが上昇
9/24 ドラギ・ECB総裁 「ひっ迫しつつある労働市場が賃金の伸びを加速させる中で、向こう数カ月に基調的なインフレ率はさらに上昇する見込みだ」「域内の価格圧力は強まりつつあり、裾野を広げている」講演で。 ユーロドル1.1750〜1.1815まで上昇
9/25 王受文・中国商務次官 「中国はナイフをのどに突き付けられての交渉を行うことはできない」米中貿協議に関して。 --------
9/26 パウエル・FRB議長 「米企業からの貿易懸念の『声の高まり』を耳にしている。FRBは貿易政策に責任がないが、長期間にわたる広範囲な関税は米国にとってよくないだろう」FOMC後の会見で。 --------
9/26 トランプ・米大統領 「残念ながら、FRBが今しがた利上げをした。私はそれに不満だ。私は彼らが利上げを好んでいる様子だという事実を懸念している」FOMCでの利上げに関して。 --------
10/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 --------
10/3 パウエル・FRB議長 「金利は依然緩和的だ。中立的な水準へとわれわれは徐々に向かっている。われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和