今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年10月12日(金) 「NYダウ大幅続落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は、NY市場の朝方は株価が戻す場面もあり112円台半ばまで買われたものの、その後株価が下げに転じると112円を割り込む。111円83銭まで下落し、112円台に戻して取引を終える。
  • ユーロドルでも引き続きドル売りユーロ買いが優勢となり、10日ぶりとなる1.160まで上昇。
  • 株式市場は大幅続落。朝方はプラスで始まったが、徐々に下げに転じ、結局ダウはマイナス545ドルと大幅に続落。ナスダック、S&P500も同様に大きく下げる。
  • 債券はリスク回避の流れが続き続伸。長期金利は3.15%台まで低下する。
  • ドルが連日売られたことで、金は大幅に続伸。前日比34ドル買われ、8月以来となる1220ドル台を回復。原油は大幅に続落し、70ドル台に。
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 9月消費者物価指数 → 0.1%
 新規失業保険申請件数 → 21.4万人
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ドル/円 111.83 〜 112.53
ユーロ/ドル 1.1546 〜 1.1600
ユーロ/円 129.54 〜 130.21
NYダウ −545.91 → 25,052.83ドル
GOLD +34.20 → 1,227.60ドル
WTI −2.20 → 70.97ドル
米10年国債 −0.013 → 3.150%

本日の注目イベント

  • トルコ トルコで軟禁中の米国人牧師ブランソン氏の審理
  • 欧 IEA月報
  • 中 中国 9月貿易収支
  • 独 独9月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ユーロ圏8月鉱工業生産
  • 米 10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 米 企業決算 → JPモルガン、ウェルズファーゴ、シティーグループ

米国発の株価の急落が世界の株式市場に伝播し、日本を含む主要株式市場を大きく揺り動かしています。特に東京株式市場はその動揺が大きく「米国がくしゃみをすれば、風邪をひく」とまで言われるほど「虚弱体質」です。前日831ドル下げたNYダウでしたが、昨日の日経平均株価は915円も下げました。前日に続きダウは昨日も545ドルの大幅安です。本日の日本株の下げがどの程度になるのか、注目されます。

米国発の株安が日本の株安につながり、リスク回避の動きが加速していることで安全通貨の「円」に買戻しが入っている状況です。もっとも、株価の下落幅の割には、ドル円の下落幅は小幅にとどまっていますが、注意は必要です。米国債が買い戻され、長期金利は低下してきているとは言え、それでも足元の水準は3.15%で、高水準です。これがドル円の下落を抑制している一因とも言えます。

今回の米国発の株価の急落は、長期金利の上昇と、米中貿易戦争が長期化し、さらにエスカレートする可能性のあることが主な要因です。これまで株価の上昇を自分の「成果」として誇ってきたトランプ大統領にとって、これ以上の株価の下落は、中間選挙まで残り時間が少ないこともあり、何としても避けたいところです。そのため、連日FRBの利上げを批判し、10日の演説では「FRBは狂ってしまった。連邦準備制度は常軌を逸した」と、厳しい批判の声をあげています。また今朝の報道では、11月のG20会合でトランプ氏が習近平中国主席と会談する予定があると、米メディアが報じていることも、その打開策の一環と捉えことができます。

もっとも、今回の株価急落の原因をつくったのは、トランプ氏自身であることは論を待ちません。景気の拡大を図り金利上昇を招いたのは、財政規律を無視しても実施した大型減税であり、「自国主義」を掲げ、自分から仕掛けた「アメリカファースト」が、世界を貿易戦争に巻き込んだことは明白です。

独立性の強いFRBがこの批判の声で、今後の金融政策を変更することはないとは思いますが、ここは、敢えてうがった見方をすれば、FRBの利上げスタンスがやや変わってくる可能性もあると予想しています。昨日発表された9月のCPIは「0.1%」でした。FRBはインフレ率の判断基準としては、「PCEデフレータ」をより重要視していると言われていますが、現時点ではインフレ率が2%を大きく超えて上昇する気配はありません。今後FRB高官が利上げペースの鈍化を示唆する発言を行うことは、十分想定できると思います。

NY市場で111円83銭まで売られたドル円は、ほぼ昨日と同じ水準で戻ってきました。上でも述べたように、本日は日本株がどこでまで下げるのか、あるいは粘り腰を見せてこの悪い雰囲気を変える「ムード・チェンジャー」になれるのか、注目です。ドル円は昨日コメントしたように、「日足」の「52日線」近辺で下げ止まっています。もしこのレベルを抜くようであれば、「雲の上限」である111円46銭前後がサポートになると予想しています。予想レンジは111円70銭〜112円70銭程度とします。


NY株式市場の急落をうけて、昨日の日系平均株価は午後には1000円を越える下げを演じる場面もありました。ドル円も一時は112円を割り込んでいました。「まだまだ上がると思えば下がるし、まだまだ下がると思えば上がる」相場というものは、思い通りにはいかないものです・・・・・。その難しい相場に関して、オマハの賢人と言われる、ウォーレンバフェットは「恐怖におびえているだけでは多くの利益を得られない。逆に、市場が陶酔状態の時は、恐怖を覚えて売るべきだ」参考になればいいと思います。よい週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
9/19 李克強・中国首相 「輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」天津での世界経済フォーラムでの講演で。 新興国通貨、豪ドルなどが上昇
9/24 ドラギ・ECB総裁 「ひっ迫しつつある労働市場が賃金の伸びを加速させる中で、向こう数カ月に基調的なインフレ率はさらに上昇する見込みだ」「域内の価格圧力は強まりつつあり、裾野を広げている」講演で。 ユーロドル1.1750〜1.1815まで上昇
9/25 王受文・中国商務次官 「中国はナイフをのどに突き付けられての交渉を行うことはできない」米中貿協議に関して。 --------
9/26 パウエル・FRB議長 「米企業からの貿易懸念の『声の高まり』を耳にしている。FRBは貿易政策に責任がないが、長期間にわたる広範囲な関税は米国にとってよくないだろう」FOMC後の会見で。 --------
9/26 トランプ・米大統領 「残念ながら、FRBが今しがた利上げをした。私はそれに不満だ。私は彼らが利上げを好んでいる様子だという事実を懸念している」FOMCでの利上げに関して。 --------
10/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 --------
10/3 パウエル・FRB議長 「金利は依然緩和的だ。中立的な水準へとわれわれは徐々に向かっている。われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」講演で。 --------
10/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる。ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」ホワイトハウスで。 --------
10/4 ラガルド・IMF専務理事 「貿易戦争は(経済成長の)機会損出だ。世界経済は引き続き安定的に成長しているが、半年前よりリスクは高まっている」。日経新聞とのインタビューで。 --------
10/9 トランプ・米大統領 「(FRBの利上げに)私は気に入らない。そう急ぐ必要はないと思う」「私は低金利が好きだ」ホワイトハウスで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和