今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年10月16日(火) 「ドル円111円台半ばまで下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続落し、一時は111円67銭までドル安が進む。日本株が再び大幅に下落したことや、サウジ記者を巡る情報緊迫から円が買われた。ドル円は終始111円台で推移しこの日の高値は111円94銭前後。
  • ドイツの政局不安とドル安の綱引きだったが、ドル安に引っ張られユーロドルは1.1606まで上昇。
  • 株式市場は比較的落ち着いた取引だったが、サウジとの関係悪化や小売売上高が予想を下回ったことなどが材料視され、結局3主要指数とも下落。
  • 債券は小幅に上昇。長期金利はほぼ変わらず3.15%台で推移。
  • 金は反発し1230ドル台に。原油は続伸。
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 10月NY連銀製造業景況指数   → 21.1
  9月小売売上高         →  0.1%
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ドル/円 111.67 〜 111.94
ユーロ/ドル 1.1574 〜 1.1606
ユーロ/円 129.33 〜 129.80
NYダウ −89.44 → 25,250.55ドル
GOLD +8.30 → 1,230.30ドル
WTI +0.44 → 71.78ドル
米10年国債 −0.006 → 3.156%

本日の注目イベント

  • 中 中国 9月消費者物価指数
  • 中 中国 9月生産者物価指数
  • 独 独10月ZEW景況感指数
  • 英 英9月失業率
  • 欧 ユーロ圏8月貿易収支
  • 米 9月鉱工業生産
  • 米 9月設備稼働率
  • 米 10月NAHB住宅市場指数
  • 米 企業決算 → IBM、ブラックロック、J&J、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックス

昨日は日経平均株価が再び大幅な下落をみせ、先週末比423円も下げました。株価の行方に翻弄されているドル円は、徐々に上値が重くなり、夕方にはこれまでのサポートゾーンだった111円80銭台を抜け、NYでは111円67銭までドル安が進みました。夕方のドル売り優勢の勢いを見たら、NYではもう一段下げ、111円台前半もあり得ると思っていましたが、NY市場は為替、株ともに比較的落ち着いた動きでした。

ダウは89ドル安と小幅な下げに留まりましたが、昨日は新たにサウジアラビアとの関係が悪化する事態がドル円の戻りを抑えた形です。CNNは、サウジアラビア政府は失踪したとされるサウジアラビアのジャーナリストについて、取調べを誤った結果死亡したとの報告を準備していると報じました。これまで関与を否定していたサウジアラビア政府が、関与を認めることになりそうです。これに対してトランプ大統領は、失踪の背後には「ならず者の殺人者たち」が存在する可能性を指摘し、ポンペオ国務大臣をサウジに派遣し、サルマン国王と会談させるとツイッターに投稿しました。(ブルームバーグ)

ユーロ圏でも混乱の芽がゆっくりと育っている印象です。イタリアの連立政権は15日の閣議で、2019年度予算案を承認しました。この案は欧州委員会の審査を受けるため送付されますが、EUの財政ルールを巡りEUと対立する可能性が残っています。 予算案の内容はまだ公表されていないようですが、イタリアが19年度財政赤字目標をGDPの2.4%にしているようだと、欧州委員会が承認しないことも予想され、混乱の火種になりかねません。

混乱はドイツでも起きそうな気配です。ドイツでは州議会選挙が行われ、保守の牙城だったバイエルン州議会選挙で政権与党のキリスト教社会同盟(CSU)が大敗しました。CSUはメルケル連立政権の支持基盤の一つであり、国民は難民問題を巡る政策に対してメルケル首相に「NO!」を突きつけた形です。ユーロ圏は、上記2つの問題に加え、英国のEUからの離脱問題でも手を焼いています。ユーロドルは先月1.18台まで上昇しましたが、ちょうど1カ月で400ポイントほど売られたことになります。1.13が強力なサポートになっていますが、折からのドル安傾向で、1.15台では粘り腰を見せていますが、再びドル高傾向に戻ったら、1.13テストもないとはいえません。

本日は引き続き株価次第ですが、昨日のような大幅安はないと予想します。ドル円は111円40−50銭近辺が目先下値のサポートと見られますが、市場参加者の「相場観」も、徐々に「緩やかな円高方向」にシフトしてきているようです。本日のレンジは111円30銭〜112円20銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
9/19 李克強・中国首相 「輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」天津での世界経済フォーラムでの講演で。 新興国通貨、豪ドルなどが上昇
9/24 ドラギ・ECB総裁 「ひっ迫しつつある労働市場が賃金の伸びを加速させる中で、向こう数カ月に基調的なインフレ率はさらに上昇する見込みだ」「域内の価格圧力は強まりつつあり、裾野を広げている」講演で。 ユーロドル1.1750〜1.1815まで上昇
9/25 王受文・中国商務次官 「中国はナイフをのどに突き付けられての交渉を行うことはできない」米中貿協議に関して。 --------
9/26 パウエル・FRB議長 「米企業からの貿易懸念の『声の高まり』を耳にしている。FRBは貿易政策に責任がないが、長期間にわたる広範囲な関税は米国にとってよくないだろう」FOMC後の会見で。 --------
9/26 トランプ・米大統領 「残念ながら、FRBが今しがた利上げをした。私はそれに不満だ。私は彼らが利上げを好んでいる様子だという事実を懸念している」FOMCでの利上げに関して。 --------
10/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 --------
10/3 パウエル・FRB議長 「金利は依然緩和的だ。中立的な水準へとわれわれは徐々に向かっている。われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」講演で。 --------
10/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる。ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」ホワイトハウスで。 --------
10/4 ラガルド・IMF専務理事 「貿易戦争は(経済成長の)機会損出だ。世界経済は引き続き安定的に成長しているが、半年前よりリスクは高まっている」。日経新聞とのインタビューで。 --------
10/9 トランプ・米大統領 「(FRBの利上げに)私は気に入らない。そう急ぐ必要はないと思う」「私は低金利が好きだ」ホワイトハウスで。 --------
10/11 トランプ・米大統領 「FRBは制御不能だ」「(利上げは)必要ないというのが私の意見だ。私のほうが彼らよりこの点を分かっていると思う」ホワイトハウスで。 --------
10/13 ムニューシン・米財務長官 「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはしない」G20後に記者団に。 --------
10/14 茂木・経済・再生担当大臣 「日米首脳会談を受けた共同声明でも為替の話はなかった」NHK「日曜討論」で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和