今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年10月29日(月) 「ドル円111円半ばを割り込んだがその後反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は再び米国株の大幅下落に引っ張られる形で111円38銭まで下落。その後株価が下落幅を縮小したことで111円台後半まで買い戻される。
  • ユーロドルも上値は重く、1.1338まで売られ、約3カ月ぶりのユーロ安水準を記録。ユーロは対円でも126円台半ばまで下落。
  • 株式市場は大幅に反落。アマゾンの決算が市場予想に届かなかったことが、市場全体のセンチメントを悪化させ下げを牽引。ダウは296ドル安となり、ナスダック指数は2%を超える下げに。
  • 株価の下落に伴い債券は反発。長期金利は大きく低下し、3.07%台に。
  • 金は小幅に買われ、原油価格も上昇。
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 7−9月GDP(速報値) → 3.5%
 10月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 98.6
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ドル/円 111.38 〜 112.20
ユーロ/ドル 1.1338 〜 1.1421
ユーロ/円 126.63 〜 127.76
NYダウ −296.24 → 24,688.31ドル
GOLD +3.40 → 1,235.80ドル
WTI +0.26 → 67.59ドル
米10年国債 −0.041 → 3.076%

本日の注目イベント

  • 英 英9月消費者信用残高
  • 英 英9月マネーサプライ
  • 米 9月個人所得
  • 米 9月個人支出
  • 米 9月PCEコアデフレータ
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演

米株式市場は、アマゾンなどIT株の下落が市場全体の地合を悪化させ、ダウは一時500ドルを超える下げを見せるなど、相変わらず不安定な動きをしています。ドル円も株価の下落に歩調を合わせるように売られ、111円台半ばを割り込み、111円38銭までドル安が進みました。これまでは、111円台半ばから後半が強いサポートゾーンとして機能して来ましたが、この水準を割り込んだことで、市場参加者の目線もやや下方に傾いてきた可能性があります。

ドル円が111円38銭まで売られたのは、9月13日以来となり、111円台半ば〜113円のレンジを下方に抜けたことになります。その後株価が反発し、下落幅が縮小したことで111円台後半までドルが買い戻されてはいますが、軟調な地合が続く株式市場を考えると、ドルの上値が徐々に重くなってきており、下値を切り下げる展開が予想されます。

ドル円はテクニカルでは「日足」の雲の下限で下落が抑えられた形です。現在111円40銭前後にある、この雲の下限を明確に下抜けすれば、株価の動きに比べ、かなり緩慢な動きが続いているドル円も本来の活発な動きに戻る可能性がありそうです。ただ気をつけたいのは、これと似た動きが8月にもあり、この時は雲抜け後に反発しています。8月21日には110円を割り込み、109円77銭までドル安が進みました。チャートを見ると完全に「日足の雲を下抜け」しており、ドルの下落を示唆する動きでしたが、結局そこを底値に反転して今月は初旬には114円台まで上昇しました。いわゆる「だまし」だったということになります。今回も111円台40銭近辺をしっかり抜け、111円前後までドル安が進んだ場合、前回のこの動きを意識しておくべきでしょう。

ドイツではヘッセン州の議会選挙が行われ、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と、国政での連立与党である社会民主同盟(SPD)が共に大敗し、メルケル政権の基盤が不安定になってきました。連立与党は今月14日に行われたバイエルン州議会選挙でも大敗しており、得票率を大きく減らしたSPDのナーレス党首は記者団に対し、「連立政権の現状は受け入れ難い」とのコメントを残しています。(ブルームバーグ)メルケル与党としては、連立政権維持のため、他の政党を連立に加える必要が出てきそうです。12月にはCDUの党大会を控えており、メルケル首相は党首再選を目指しているようです。

本日も、米国株の大幅安を受け再び日本株が大きく下げる「負の連鎖」になるのか、注目されます。今週からは日本でも企業決算が本確的に始まります。好調だとされる商社の決算発表も11月1日に予定されており、好決算が市場の悪い流れを変えるきっかけになるのかも注目されます。本日のドル円は111円40銭〜112円30銭程度を予想しますが、日経平均が500円も下げるようなら、もう一段の円高方向も予想されますが、そこまで株価は下げないと見ています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
9/19 李克強・中国首相 「輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」天津での世界経済フォーラムでの講演で。 新興国通貨、豪ドルなどが上昇
9/24 ドラギ・ECB総裁 「ひっ迫しつつある労働市場が賃金の伸びを加速させる中で、向こう数カ月に基調的なインフレ率はさらに上昇する見込みだ」「域内の価格圧力は強まりつつあり、裾野を広げている」講演で。 ユーロドル1.1750〜1.1815まで上昇
9/25 王受文・中国商務次官 「中国はナイフをのどに突き付けられての交渉を行うことはできない」米中貿協議に関して。 --------
9/26 パウエル・FRB議長 「米企業からの貿易懸念の『声の高まり』を耳にしている。FRBは貿易政策に責任がないが、長期間にわたる広範囲な関税は米国にとってよくないだろう」FOMC後の会見で。 --------
9/26 トランプ・米大統領 「残念ながら、FRBが今しがた利上げをした。私はそれに不満だ。私は彼らが利上げを好んでいる様子だという事実を懸念している」FOMCでの利上げに関して。 --------
10/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 --------
10/3 パウエル・FRB議長 「金利は依然緩和的だ。中立的な水準へとわれわれは徐々に向かっている。われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」講演で。 --------
10/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる。ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」ホワイトハウスで。 --------
10/4 ラガルド・IMF専務理事 「貿易戦争は(経済成長の)機会損出だ。世界経済は引き続き安定的に成長しているが、半年前よりリスクは高まっている」。日経新聞とのインタビューで。 --------
10/9 トランプ・米大統領 「(FRBの利上げに)私は気に入らない。そう急ぐ必要はないと思う」「私は低金利が好きだ」ホワイトハウスで。 --------
10/11 トランプ・米大統領 「FRBは制御不能だ」「(利上げは)必要ないというのが私の意見だ。私のほうが彼らよりこの点を分かっていると思う」ホワイトハウスで。 --------
10/13 ムニューシン・米財務長官 「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはしない」G20後に記者団に。 --------
10/14 茂木・経済・再生担当大臣 「日米首脳会談を受けた共同声明でも為替の話はなかった」NHK「日曜討論」で。 --------
10/18 ドラギ・ECB総裁 「EUの財政規律が守られないようなら、全てのEU加盟国に悪影響が及ぶ」講演で。 ユーロドル1.14台前半まで下落
10/23 トランプ・米大統領 FRB議長にパウエル氏を指名したことを後悔しているかとの質問に「発言するのは時期尚早だが、多分そう」「(パウエル議長が)利上げでまるでうれしそうに見える」WSJ紙とのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和