今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年10月30日(火) 「ドル円反発し112円台半ばへ」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は先週末の111円台から反発。欧州市場でもドル買いが優勢となり、NY市場では112円56銭までドル高に。その後は株価が大幅に下落したことを受け、112円35銭前後まで押し戻される。
  • ユーロドルは1.13台半ばから1.14で推移。メルケル独首相が党首を退任するとの報道も影響は軽微だった。
  • 株式市場は引き続き乱高下し不安定な取引が続く。ダウは1日の値幅が900ドルを超えたが結局245ドル安。ナスダックは7000を割り込む場面もあったが引け値は116ポイント下落の7050。
  • 債券相場は小幅に反落し、長期金利は3.08%台に上昇。
  • 金と原油はともに反落。
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 9月個人所得 → 0.2%
 9月個人支出 → 0.4%
 9月PCEコアデフレータ → 2.0%
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ドル/円 112.19 〜 112.56
ユーロ/ドル 1.1368 〜 1.1400
ユーロ/円 127.75 〜 128.19
NYダウ −245.39 → 24,442.92ドル
GOLD −8.20 → 1,227.60ドル
WTI −0.55 → 67.04ドル
米10年国債 +0.009 → 3.085%

本日の注目イベント

  • 豪 豪9月住宅建設許可件数
  • 日 9月失業率
  • 独 独10月雇用統計
  • 独 独10月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏7−9月期GDP(速報値)
  • 欧 ユーロ圏10月消費者信頼感指数(確定値)
  • 米 8月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 10月消費者信頼感指数

先週末のNYで111円38銭まで売られたドル円は急反発し、112円56銭までドルが買い戻されています。株式市場では相変わらず乱高下が収まらず、昨日のダウは朝方には買われ、350ドルほど上昇していたものが、午後には下げに転じ、一時560ドルほど下落しました。1日の値幅が900ドルを超える荒っぽい展開でしたが、これもアルゴリズムやAIの影響のようです。このようなシステム売買は「順張り」を基本としており、「相場が下げれば売りに入り」、反対に「上昇すれば買いに入る」というもののようです。その結果「オーバーシュート」が起こり、値幅をより大きなものにします。

株価がこのように乱高下を繰り返しながら下げ続けても、ドル円の動きは緩慢です。安全通貨としての「円」は有事の際に買われる傾向がありますが、今回の世界同時株安局面では、どうやら当てはまりません。貿易戦争や株価の暴落など、投資家はリスク回避の姿勢を強めているにもかかわらず円の上昇は限定的です。トランプ大統領は昨日、11月の米中首脳会談で貿易面での対立を緩和できない場合、米国は中国からの輸入品でこれまでの追加関税の対象となっていなかった品目全てへの関税賦課を、12月初旬までに発表する用意があると、ブルームバーグが報じています。現在2500億ドル(約28兆円)相当の関税引き上げを実施していますが、残りの全てに対しても関税をかけるというものです。昨年の米国の輸入データから算出した場合、総額2570億ドル相当になる可能性があります。

ただ上述のように、為替の反応は限定的でした。トランプ氏が仕掛ける貿易戦争に、市場はもはや慣れてしまった感もあり、このニュースが伝わっても、ドル円はこの日の高値からわずか20銭程度しか下落していません。貿易戦争がさらに激化し、ダウは今月3日の最高値から2400ドルも下げ、ナスダックも高値から1000ポイントの下落を見せているにもかかわらず、為替市場ではゆったりとした流れが続いています。どこかでこの反動が起こるのではないかと懸念しています。

ドル円は結局112円台半ばまで押し戻されたことで、日足の雲抜けには失敗したことになり、再び元のレンジに戻っています。111円台が底堅いのか、それとも112円台後半が重いのか、なかなか判断できない状況です。本日のレンジは111円90銭〜112円80銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
9/3 トルコ中銀 「使い得るあらゆる手段を駆使し、13日の政策会合で金融政策のスタンスを調整する」予想を超えた消費者物価指数発表後の声明で。 トルコリラ下げ幅を縮小
9/6 トランプ・米大統領 「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」日米の貿易問題に関して、WSJが伝える。 ドル円111円40銭レベルから110円台半ばへ
9/7 トランプ・米大統領 「(中国に)新たに2670億ドル(約29兆円)分の関税を課す準備はできている」報道陣に。 ドル円111円台から110円74銭へ
9/7 トランプ・米大統領 「(日米貿易協議が)合意に達しなければ日本は大変な問題になる」 --------
9/19 李克強・中国首相 「輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」天津での世界経済フォーラムでの講演で。 新興国通貨、豪ドルなどが上昇
9/24 ドラギ・ECB総裁 「ひっ迫しつつある労働市場が賃金の伸びを加速させる中で、向こう数カ月に基調的なインフレ率はさらに上昇する見込みだ」「域内の価格圧力は強まりつつあり、裾野を広げている」講演で。 ユーロドル1.1750〜1.1815まで上昇
9/25 王受文・中国商務次官 「中国はナイフをのどに突き付けられての交渉を行うことはできない」米中貿協議に関して。 --------
9/26 パウエル・FRB議長 「米企業からの貿易懸念の『声の高まり』を耳にしている。FRBは貿易政策に責任がないが、長期間にわたる広範囲な関税は米国にとってよくないだろう」FOMC後の会見で。 --------
9/26 トランプ・米大統領 「残念ながら、FRBが今しがた利上げをした。私はそれに不満だ。私は彼らが利上げを好んでいる様子だという事実を懸念している」FOMCでの利上げに関して。 --------
10/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 --------
10/3 パウエル・FRB議長 「金利は依然緩和的だ。中立的な水準へとわれわれは徐々に向かっている。われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」講演で。 --------
10/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる。ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」ホワイトハウスで。 --------
10/4 ラガルド・IMF専務理事 「貿易戦争は(経済成長の)機会損出だ。世界経済は引き続き安定的に成長しているが、半年前よりリスクは高まっている」。日経新聞とのインタビューで。 --------
10/9 トランプ・米大統領 「(FRBの利上げに)私は気に入らない。そう急ぐ必要はないと思う」「私は低金利が好きだ」ホワイトハウスで。 --------
10/11 トランプ・米大統領 「FRBは制御不能だ」「(利上げは)必要ないというのが私の意見だ。私のほうが彼らよりこの点を分かっていると思う」ホワイトハウスで。 --------
10/13 ムニューシン・米財務長官 「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはしない」G20後に記者団に。 --------
10/14 茂木・経済・再生担当大臣 「日米首脳会談を受けた共同声明でも為替の話はなかった」NHK「日曜討論」で。 --------
10/18 ドラギ・ECB総裁 「EUの財政規律が守られないようなら、全てのEU加盟国に悪影響が及ぶ」講演で。 ユーロドル1.14台前半まで下落
10/23 トランプ・米大統領 FRB議長にパウエル氏を指名したことを後悔しているかとの質問に「発言するのは時期尚早だが、多分そう」「(パウエル議長が)利上げでまるでうれしそうに見える」WSJ紙とのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和