今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年11月13日(火) 「ユーロドル1年5カ月ぶりの安値を記録」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は昨日の東京時間に114円台を回復し、114円20銭まで上昇したが、NY市場では株価の大幅下落に上値が重く、113円66銭まで反落。
  • ユーロドルは節目の1.13を割り込んだことで下落が加速し、NY市場では1.1216までユーロ安が進む。域内の景気鈍化や政治的リスクが台頭し、約1年5カ月ぶりとなる安値を記録。
  • 株式市場は大幅下落。アップル株やマレーシアの政府系ファンドの資金流出に関与していたとしてゴールドマン株も大きく売られた。ダウは602ドル下げ、ナスダックも200ポイントを超える下げに。
  • 債券市場は「ベテランズデー」のため休場。
  • 金は3日続落し、WTI原油価格は下げが止まらず11日続落。引け値で60ドルを割り込む。
ドル/円 113.66 〜 113.90
ユーロ/ドル 1.1216 〜 1.1278
ユーロ/円 127.65 〜 128.36
NYダウ −602.12 → 25,387.18ドル
GOLD −5.10 → 1,203.50ドル
WTI −0.26 → 59.93ドル
米10年国債 ------- → 3.180%

本日の注目イベント

  • 独 独10月消費者物価指数(改定値)
  • 独 独11月ZEW景況感指数
  • 英 英10月失業率
  • 米 10月財政収支
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

NY市場では再び株価が大幅に売られ、ドル円は昨日の夕方には114円台に乗せ、一時114円20銭前後までドル高が進んだものの、株価の大幅下落に上値を抑えられ、113円66銭まで反落しています。

ダウは600ドルを超える下げを見せ、ナスダックも200ポイント以上の下げでしたが、特にアップルとゴールドマン株が売られ、この2銘柄だけでダウを185ドル押し下げたようです。アップルはiPhoneに対する需要懸念から売られ、ゴールドマンは、マレーシア財務相が巨額不正疑惑の渦中にある政府系投資会社に関連して、ゴールドマンに対して手数料の全額返還を求めると述べたことが材料視されたようです。またゴールドマンのブランクファイン前CEOの関与も取りざたされているようです。

ドル円は一時114円20銭前後まで上昇し、直近の戻り高値を抜いてきましたが、10月4日に記録した114円55銭には届いていません。もっとも、昨日の夕方の動きは、ユーロドルに引っ張られた側面が強く、ユーロドルが節目の1.13を割り込み、ドル高ユーロ安が加速したことに影響されたと思われます。ユーロドルは1.13近辺では、これまでに何度も跳ね返され「壁」になっていましたが、いずれは抜けると予想していました。昨日の夕方も、1.13前後ではしばらくはもみ合いが続いていましたが、1.13を割り込むと一気にユーロ売りが加速し、1.1270近辺まで下げ、その後のNY市場では1.1216まで売られました。対米国との貿易戦争の影響を受け、ユーロ圏ではドイツを中心に景気の鈍化を示す指標が相次ぎ、加えて、イタリアとドイツでは政治的リスクが高まっていることが、折からの「ドル高傾向」に拍車をかけた格好です。

ドルはユーロやポンド、円に対して上昇する展開が続いています。「米国の一人勝ち」に伴い、「ドル一強」といった状況です。ただ、このままドル高が続けば、トランプ大統領がドル高をけん制する「口撃」をしてくることは想像に難くありません。焦点は米中貿易戦争の行方次第ですが、昨日中国マクロ戦略の専門家の講演を聴く機会があり、筆者も参加してきました。「What will China do ?」(中国はどのように行動するのか?)とのタイトルで講演が ありましたが、米中の貿易戦争には思った以上に楽観的だという印象でした。

中国政府は、サプライチェーン維持のためにビジネス環境を改善し、通貨人民元安を容認し、さらに景気刺激策として法人税減税を行うと、予想していました。また、政府は貿易戦争が米国の消費者と企業に圧力となる状況まで待つという戦略を取るのではないかとの予想も示していました。全体としては、これ以上貿易戦争は激化しないとの見方のようでした。

本日は再び米国株の大幅下落により、日本株も軟調な展開が予想され、ドル円も上値が重いと予想されます。ただ、株価下落に対する「耐性」も徐々に出来ており、それほど深押しは望めないかもしれません。ユーロドルの動きが活発になってきました。こちらの動きにも注意が必要です。本日のレンジは113円30銭〜114円20銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
10/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 --------
10/3 パウエル・FRB議長 「金利は依然緩和的だ。中立的な水準へとわれわれは徐々に向かっている。われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」講演で。 --------
10/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる。ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」ホワイトハウスで。 --------
10/4 ラガルド・IMF専務理事 「貿易戦争は(経済成長の)機会損出だ。世界経済は引き続き安定的に成長しているが、半年前よりリスクは高まっている」。日経新聞とのインタビューで。 --------
10/9 トランプ・米大統領 「(FRBの利上げに)私は気に入らない。そう急ぐ必要はないと思う」「私は低金利が好きだ」ホワイトハウスで。 --------
10/11 トランプ・米大統領 「FRBは制御不能だ」「(利上げは)必要ないというのが私の意見だ。私のほうが彼らよりこの点を分かっていると思う」ホワイトハウスで。 --------
10/13 ムニューシン・米財務長官 「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはしない」G20後に記者団に。 --------
10/14 茂木・経済・再生担当大臣 「日米首脳会談を受けた共同声明でも為替の話はなかった」NHK「日曜討論」で。 --------
10/18 ドラギ・ECB総裁 「EUの財政規律が守られないようなら、全てのEU加盟国に悪影響が及ぶ」講演で。 ユーロドル1.14台前半まで下落
10/23 トランプ・米大統領 FRB議長にパウエル氏を指名したことを後悔しているかとの質問に「発言するのは時期尚早だが、多分そう」「(パウエル議長が)利上げでまるでうれしそうに見える」WSJ紙とのインタビューで。 --------
11/3 トランプ・米大統領 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 株価のマイナス幅が縮小
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和