今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年11月27日(火) 「ドル円113円台半ばを回復」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は米国株が大幅に反発し、原油価格も下げ止ったことを受け上昇。一時は113円65銭までドルが買われ、10日ぶりのドル高水準をつける。
  • ユーロドルは小幅に反発。イタリアが2019年度予算の財政赤字幅を縮小することを検討との報道がユーロを押し上げ、1.1375まで小幅に上昇。
  • 株式市場は反発。ダウは350ドルを超える上昇をみせ、ナスダックも大幅に反発したが、S&P500は17ポイントの下落。
  • 債券相場は反落。長期金利はやや上昇し、3.05%台に。
  • 金は小幅に続落。原油価格は大幅に反発。下げすぎとの見方から買い戻しが入り、前日比1ドル21セントの上昇。
ドル/円 113.22 〜 113.65
ユーロ/ドル 1.1325 〜 1.1375
ユーロ/円 128.57 〜 128.87
NYダウ +354.29 → 24,640.24ドル
GOLD −0.80 → 1,222.40ドル
WTI +1.21 → 51.63ドル
米10年国債 +0.013 → 3.054%

本日の注目イベント

  • 中 中国 10月工業利益
  • 米 9月FHFA住宅価格指数
  • 米 9月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 11月消費者信頼感指数
  • 米 クラリダ・FRB理事講演
  • 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁がパネル討論会に参加

昨日の「週間予想」でも述べましたが、NYで株価が反発すればドル円は113円台半ばまで上昇すると予想しました。昨日の日経平均がプラスで終わったこともあり、NYではダウが久しぶりに350ドルを超える大幅な上昇を見せたことで、ドル円は一時113円65銭前後までドル高が進みました。

債券市場でも債券が売られ、長期金利が上昇したこともドルを支えましたが、まだ、ドルの先行きは不透明です。今週末から来週にかけて行われる「米中首脳会談」の行方が読み切れないことが背景です。今朝のブルームバーグニュースでも、トランプ大統領は、2000億ドル相当の中国製品について、関税25%への引き上げを進めると予想しているとして、「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」と、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙がインタビューを引用して伝えています。トランプ氏はここで、中国からの関税引き上げ留保の要請を受け入れることは「ありそうにない」と述べています。

このようにトランプ大統領は依然として中国に対する強気の姿勢を崩していませんが、一方では先週には「合意の可能性」に楽観的な見方も示しており、蓋を開けてみるまではわかりません。「週間予想」でも書きましたが、株式や原油市場の混乱を考慮して、トランプ氏自身ある程度の譲歩を見せるのではないかと、個人的には予想しています。もし会談が最悪の事態になった場合には、金融市場は再び大混乱に陥る可能性が高いと思われます。世界貿易機構(WTO)も、2018年10−12月は貿易の伸びがさらに鈍化する公算が大きいと指摘していました。

ユーロドルは、イタリア政府が2019年度予算の対GDP赤字幅を縮小することを検討との報道で買い戻しが進みましたが、それでも1.14台を回復できず、依然として上値の重い展開かと思われます。ECBは12月で資産購入プログラムを終了することになっていますが、これについてドラギ総裁は、ユーロ圏の経済減速が少なくとも一部が「一時的な」可能性があるとの認識を示しながらも、ECBが12月で資産購入を終える方針であることをあらためて確認しました。(ブルームバーグ)

「米中首脳会談」という不透明な材料を残しながらも、ドル高、株高、原油高が進み、やや小康状態に戻っています。ドル円もまだこの段階で114円台を回復するには不安材料が多いのが現実のようです。本日のレンジは113円〜113円85銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
10/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「警報が鳴り響いているとは思わないが、かなり多くの黄信号が点滅していると思う」金融安定に関する質問に答えて。 --------
10/3 パウエル・FRB議長 「金利は依然緩和的だ。中立的な水準へとわれわれは徐々に向かっている。われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」講演で。 --------
10/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる。ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」ホワイトハウスで。 --------
10/4 ラガルド・IMF専務理事 「貿易戦争は(経済成長の)機会損出だ。世界経済は引き続き安定的に成長しているが、半年前よりリスクは高まっている」。日経新聞とのインタビューで。 --------
10/9 トランプ・米大統領 「(FRBの利上げに)私は気に入らない。そう急ぐ必要はないと思う」「私は低金利が好きだ」ホワイトハウスで。 --------
10/11 トランプ・米大統領 「FRBは制御不能だ」「(利上げは)必要ないというのが私の意見だ。私のほうが彼らよりこの点を分かっていると思う」ホワイトハウスで。 --------
10/13 ムニューシン・米財務長官 「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはしない」G20後に記者団に。 --------
10/14 茂木・経済・再生担当大臣 「日米首脳会談を受けた共同声明でも為替の話はなかった」NHK「日曜討論」で。 --------
10/18 ドラギ・ECB総裁 「EUの財政規律が守られないようなら、全てのEU加盟国に悪影響が及ぶ」講演で。 ユーロドル1.14台前半まで下落
10/23 トランプ・米大統領 FRB議長にパウエル氏を指名したことを後悔しているかとの質問に「発言するのは時期尚早だが、多分そう」「(パウエル議長が)利上げでまるでうれしそうに見える」WSJ紙とのインタビューで。 --------
11/3 トランプ・米大統領 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 株価のマイナス幅が縮小
11/14 パウエル・FRB議長 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 --------
11/15 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 --------
11/16 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落
11/19 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 --------
11/20 クドロー・米国経済会議(NEC) 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 --------
11/21 マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 市場はドル安・株高で反応
11/26 トランプ・米大統領 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ−で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和