2018年12月5日(水) 「米長期金利2.91%へ急落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は先月20日以来となる112円台半ばまで下落。米株式市場で株価が大きく下げ、長期金利も2.91%まで急低下したことで、ドル売り円買いが加速し112円58銭までドル安が進む。
- ユーロドルではドル円ほどユーロ高が進まず、1.14台に乗せたものの押し戻される。ユーロ円の売りが活発となり、ユーロ円は127円台半ばまで下落。
- 株式市場は急落。米中貿易問題のへの不透明感に加え、債券市場で発生した「逆イールド」が意識され、景気に対する懸念も株価を押し下げる。ダウは800ドルほど下げ、他の主要指数も大きく下落。
- 債券相場は大幅に続伸。リスク回避の流れもあり、利上げ停止観測も高まり、債券に資金が流れる。長期金利は2.91%台まで急低下。
- ドルが売られたことで金は続伸。原油価格は小幅に上昇。
| ドル/円 | 112.58 〜 113.02 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1319 〜 1.1409 |
| ユーロ/円 | 127.61 〜 128.65 |
| NYダウ | −799.36 → 25,027.27ドル |
| GOLD | +7.00 → 1,246.60ドル |
| WTI | +0.30 → 53.25ドル |
| 米10年国債 | −0.060 → 2.910% |
本日の注目イベント
- 豪 豪7−9月期GDP
- 中 中国 11月財新サービス業PMI
- 欧 ユーロ圏11月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏10月小売売上高
- 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
- 加 カナダ中銀政策金利発表
ドル円はNY市場で112円台半ばまでドル安が進み、昨日の日中の水準から1円を超える円高が進みました。米長期金利が急低下し、株価も再び大きく売られる展開から、リスク回避の円買いが強まったわけですが、今回はドル円もそれなりに反応したようです。
予兆はありました。昨日の東京時間には、日経平均株価が特段の理由がないままジリジリと下げ、特に午後に入ると下げが一段と加速し、結局この日の最安値である前日比538円安で引けています。ドル円も歩調を合わせるかのように113円割れ目前の水準までドル安が進んでいました。この流れがNY市場へ伝播した形です。ダウは一時800ドルを超える下げを見せ、長期金利は急低下し2.91%台まで下がり、円を買う材料が整った形です。
債券ディーラーだけではなく、市場全体が注目したのは3年債の利回りと5年債の利回りが逆転する「逆イ−ルド」が起きたことです。通常金利は、短いほうが低く長くなるにつれて高くなるのが一般的です。(順イールド)これが5年債の金利の方が低くなってしまったのです。3年債は短期であることから、政策の影響を受け易いと言われ、FRBが粛々と政策金利を引き上げていることに反応し、緩やかな金利上昇が続いています。今月行われるFOMCでも今年4回目となる利上げは確実視されており、3年債や2年債には金利上昇圧力が続いています。
一方期間の長い債券では、先週から金利の低下が続いており、長期金利は3%の大台を割り込み、昨日のNYでは2.91%まで低下しています。先週パウエルFRB議長はNYのエコノミック・クラブでの講演で、「金利は中立をわずかに下回る」との認識を示し、急速に「ハト派」に変化してきたとの印象を市場に与えました。またパウエル議長に先んじて、クラリダ副議長は、今後の利上げには慎重になるべきだとの立場を示していました。FRBの正副議長以外にも利上げに対する慎重な見方が増えており、ここにきて急速に「利上げ打ち止め論」が広がっており、これが長期金利の低下を促しています。結局、期間の短い金利が上昇し、長いものが低下することで「逆イールド」が発生しています。
今回の逆イーリド現象は2007年以来のこととなり、2年債と10年債との利回りも10ベーシスを切ってきており、急速に縮小しています。2年債と10年債で「イールドカーブの逆転」が起こると、その後ある期間を経て景気後退につながる可能性が高いことは、過去の経験則がわかっているため、来年には米景気の減速を背景に株安、ドル安のシナリオが高まってきます。米経済指標にまだその傾向は明確には出ていませんが、昨日のNY市場での為替、債券、株式市場での動きは、それを織り込む動きだったのかもしれません。
ドル円は112円台半ばまでドル安が進んで、11月20日以来の円高水準です。「週足」の雲の入り口で下落が止められた格好ですが、今後は米中貿易問題だけではなく、米景気の行方や金利にも細心の注意を払う必要があります。本日のレンジは112円20〜113円20程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 11/3 | トランプ・米大統領 | 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 | 株価のマイナス幅が縮小 |
| 11/14 | パウエル・FRB議長 | 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 | -------- |
| 11/15 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 | -------- |
| 11/16 | クラリダ・FRB副議長 | 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 | ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落 |
| 11/19 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 | -------- |
| 11/20 | クドロー・米国経済会議(NEC) | 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 | -------- |
| 11/21 | マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) | 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 | 市場はドル安・株高で反応 |
| 11/26 | トランプ・米大統領 | 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ−で。 | -------- |
| 11/28 | パウエル・FRB議長 | 「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」Economic Club NYで。 | ドル円114円台から113円半ばへ。NYダウ617ドルの急騰 |
| 12/1 | トランプ・米大統領 | 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 | -------- |
| 12/3 | クドロー・米国経済会議(NEC) | 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 | -------- |



