今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年12月7日(金) 「株安と金利低下でドル円続落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は大幅に下落し、112円23銭前後まで下落。ファーウェイの副会長が逮捕されたことで米中関係がさらに悪化するとの見方から円を買う動きが加速。その後はやや値を戻し、112円65−70銭で引ける。
  • ユーロドルでも、ドルが売られたことでユーロが上昇。1. 14台前半までユーロ高が進むも、再び1.13台に押し戻される。
  • 株式市場はアジア株の大幅下落を受け朝方から大幅な下落で始まる。ダウはファーウェイの副会長が逮捕されたこともあり、一時は785ドルの大幅下げに。ただその後は急速に下げ幅を縮小し、79ドル安で引ける。一方ハイテク株が買われたことで、ナスダックは28ポイントの上昇。
  • 債券相場は続伸し、長期金利はさらに低下し、2.89%台に。
  • 金は小幅ながら反発。原油価格はOPECでの減産合意ができずに総会を終了したことで大幅下落。前日比1ドル40セント下落し、51ドル台半ばで取引きを終える。
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 11月ADP雇用者 → 17.9万人
 11月ISM非製造業景況指数 → 60.7
 新規失業保険申請件数 → 23.1万件
 10月貿易収支 → −555億ドル
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ドル/円 112.23 〜 112.82
ユーロ/ドル 1.1346 〜 1.1412
ユーロ/円 127.67 〜 128.31
NYダウ −79.40 → 24,947.67ドル
GOLD +1.00 → 1,243.60ドル
WTI −1.40 → 51.49ドル
米10年国債 −0.022 → 2.892%

本日の注目イベント

  • 日 10月景気動向指数
  • 中 中国 11月外貨準備高
  • 独 独10月鉱工業生産
  • 独 独メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)党首選
  • 欧 ユーロ圏7−9月期GDP(確定値)
  • 米 11月雇用統計
  • 米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 米 10月消費者信用残高
  • 米 ブレイナード・FRB理事講演
  • 加 カナダ11月就業者数
  • 加 カナダ11月失業率

昨日も日本株が下げ止らず、朝方113円台だったドル円は、株価の下落が大きくなるにつれて下落しました。前日に下げ渋ったことで底堅い動きを見せた日本株でしたが、この日はあっさりと500円超える下落に、112円58銭近辺まで円高が進みました。欧州市場では再び113円台に戻す場面もありましたが、NY市場では朝方から株価が大きく売られ、ドル円も112円23銭まで売られています。

中国の通信機器大手ファーウェイの副会長が逮捕されたことで、米中間に「新たな火種」が発生し、今後の貿易戦争にも悪影響を与えかねないといった見方から、NY株式市場の朝方には米国株が大きく売られました。ダウは一時785ドルの下落を見せましたが、その後は急速に下げ幅を縮め、引け値では79ドル安に収まっています。この為、日足チャートでは「長い下ひげ」を示現しています。この「長い下ひげ」は、長ければ長いほど、買い圧力が強かったことを示し、過去の経験則から言えば、短期的な底値を付けた可能性があります。因みにナスダック指数は、プラス28ポイントで取引を終えています。

10月の米国の貿易収支が発表されました。貿易赤字額が555億ドルと前月から拡大しており、対中国との赤字額は過去最高に膨らんでいました。米国の中国製品に対する関税率が25%に引き上げられる可能性があることから、その前に輸入しておこうという、駆け込みの動きが輸入額を拡大させたようです。一方輸出額の方は、中国が米国に対して報復関税を実施していることから減少しており、その結果赤字額が拡大しました。ただ、中国が米中首脳会談直後に米国から大豆とLNGを輸入することを発表しており、駆け込みの反動も見込めることから、来年からは米国の対中貿易赤字額は減少に向かうと予想されます。

ドル円は112円23銭前後で下落を抑えられましたが、これは「日足」の雲の下限が支えた形になっています。「MACD」を見ると、デッドクロスは示しているものの、依然として「プラス圏」での推移です。この先、マックD、シグナルの両線が「マイナス圏」に突入するようだと、ローソク足も上記「雲の下限」を下抜けすることになり、トレンドの転換が意識されることになるため、この水準は重要な値位置と言えます。今夜の雇用統計への期待もありますが、仮に指標が上振れしたとしても、上値は限られそうです。

株価の下げが止らず、頼みの米長期金利も3%を大きく割り込んできている状況下では、市場のセンチメントも徐々にドル安へと傾いてきた印象です。中国から予想外のポジティブなサプライズでも出ない限り、ドルが下値を緩やかに切り下げていく可能性が高まってきました。112円という水準が目先の分水嶺という気もします。仮に112円を割り込むようだと、10月29日以来の111円台ということになります。本日のドル円は112円20銭〜113円20銭程度を予想します。


先日の新聞で「ポケットベル50年の歴史に幕」という記事を見つけました。「まだ、ポケベルがあったのか?」という印象でしたが、国内で唯一サービスを提供していた「東京テレメッセージ」が契約数減少を理由に来年9月末にサービスを終了するというものでした。今や目にすることのなくなった「ポケベル」ですが、1990年代には重宝していました。特に営業マンは、会社からポケベルで呼ばれると、近くの公衆電話に駆け込んだものです。為替ディーラーも当時は「ページャー」というポケベルを進化させたようなものを携帯していました。今夜のように、米国の雇用統計が発表になるまで、居酒屋でポケットから「ぺージャー」を出してはレートをチェックしたものです。今は、懐かしい思い出です。よい週末を・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
11/3 トランプ・米大統領 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 株価のマイナス幅が縮小
11/14 パウエル・FRB議長 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 --------
11/15 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 --------
11/16 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落
11/19 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 --------
11/20 クドロー・米国経済会議(NEC) 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 --------
11/21 マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 市場はドル安・株高で反応
11/26 トランプ・米大統領 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ−で。 --------
11/28 パウエル・FRB議長 「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」Economic Club NYで。 ドル円114円台から113円半ばへ。NYダウ617ドルの急騰
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和