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2018年12月11日(火) 「英議会混迷でポンドドル1年8カ月ぶりの安値に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は急反発。東京市場で112円24銭前後まで売られたドル円は、NY市場ではポンドやユーロが対ドルで大きく下落したことで、円売りも加速。113円37銭まで円安が進みこの日の高値圏で引ける。
  • ユーロドルは1.14台前半から下落。ポンドの下落に歩調を合わせ、1.1351までユーロ安が進行。
  • ポンドは大幅下落。メイ首相が議会での採決を延期すると発表したことで、EUからの「合意なき離脱」の可能性が高まりポンド売りが加速。ポンドドルは1.2509前後まで売られ、約1年8カ月ぶりの安値に。
  • 株式市場はイギリス議会の混迷を嫌気して朝方から大幅に下落。ダウは500ドルを超える下落を見せたが、その後急反発。結局、小幅ながらプラス圏で取引を終える。
  • 債券相場は8日ぶりに反落。長期金利は2.85%台まで上昇。
  • 金は3日ぶりに反落。原油価格は再び大幅に下落。世界景気の減速が蒸し返された。
ドル/円 112.69 〜 113.37
ユーロ/ドル 1.1351 〜 1.1429
ユーロ/円 128.25 〜 128.94
NYダウ +34.31 → 24,423.26ドル
GOLD −3.20 → 1,249.40ドル
WTI −1.61 → 51.00ドル
米10年国債 +0.014 → 2.859%

本日の注目イベント

  • 独 独12月ZEW景気期待指数
  • 英 英11月失業率
  • 米 11月生産者物価指数

ドル円は予想外の反発でした。昨日の東京時間に、日経平均株価が一時500円を超える下げとなった時に、112円24銭前後までドル安が進みましたが、その後は株価がマイナス圏で大きく推移していながらも、ドル円はゆっくりと上昇に向かいました。株価の下げに対する抵抗力がさらに増したよう印象でしたが、海外市場ではさらに買われ、113円37銭まで急反発しています。

昨日は112円台が維持できるかどうかに注目していましたが、同時にその前段階として、先週木曜日につけた112円23銭を抜けるかどうかにも注目していました。結局、この水準で下げ止まり、NY市場での113円台につながったことになります。結果的には、「1時間足」の「120時間移動平均線」に支えられた形で反発しました。ユーロや、ポンドが対ドルで売られたことも、ドル円での円売りにつながった側面もありますが、昨日はドル高と言うよりも、主要通貨が弱かったと言った方が正しいのかもしれません。

予想されたことでしたが、イギリスのメイ首相は本日予定されていたEU離脱に関する議会採決の延期を発表しました、採決をしても承認が得られず、議会が混乱することを避けたようですが、EU側は合意案の再交渉は行わないと明言しており、EUのトゥスク大統領はツイッターで「われわれは合意の再交渉を行わない。しかし、批准をいかにうまく進めるかを議論する用意はある」と述べています。(ブルームバーグ)この発表を受けて市場は、「合意なき離脱」の可能性が高まったとして、ポンド売りを加速させ、ポンドは対ドルで1.26台半ばから150ポイントほど売られました。一時は1.2509前後を付け、2017年4月以来となるポンド安を記録しています。政府が議会に報告する期限である来年1月21日までに合意が取りまとめられない可能性も出てきたようです。

燃料税引き上げに反対して始まったフランスのデモは、隣国ベルギーにも波及したようです。ベルギーの首都ブリュッセルでも1000人規模のデモが8日にあり、約400人が警察に拘束されたようです。マクロン仏大統領は事態収拾のため、労働組合や仏経団連の代表と面会し、協議を行っていると伝えられていますが、これもユーロ売り材料と見られ、昨日はポンドと共に、ユーロも売られました。昨日のNY市場では、朝方から株価が大きく売られ、長期金利は小幅に上昇したものの、ドル円が買われる理由を見つけにくい状況でしたが、やはり、「ドル買い・欧州通貨売り」の波に飲まれて上昇したと見られます。

本日のドル円はそれほど上値を試すとも思えません。ただ、欧州時間にユーロやポンドがさらに売られるようだと、113円台半ばを試す可能性はあります。予想レンジは112円60銭〜113円50銭程度でしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
11/3 トランプ・米大統領 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 株価のマイナス幅が縮小
11/14 パウエル・FRB議長 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 --------
11/15 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 --------
11/16 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落
11/19 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 --------
11/20 クドロー・米国経済会議(NEC) 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 --------
11/21 マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 市場はドル安・株高で反応
11/26 トランプ・米大統領 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ−で。 --------
11/28 パウエル・FRB議長 「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」Economic Club NYで。 ドル円114円台から113円半ばへ。NYダウ617ドルの急騰
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和