今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年12月13日(木) 「欧州通貨対ドルで反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は小動きながら緩やかに下落。米株式市場の反発にも反応せず、113円14銭まで下落。ポンドが対ドルで買われたことによる連れ高の側面が強かった。
  • ユーロドルも同じような展開となり1.1388までユーロの買い戻しが進む。
  • 株式市場は反発したものの、相変わらず荒っぽい動きとなり、一時450ドルを超えて上昇したダウは157ドル高で取引を終える。ナスダックは66ポイントの上昇。
  • 債券相場は3日続落。長期金利は2.91%台まで上昇。
  • 金は3日ぶりに反発。原油価格は50セント安で引ける。
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 11月消費者物価指数 → 0.0%
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ドル/円 113.14 〜 113.43
ユーロ/ドル 1.1340 〜 1.1388
ユーロ/円 128.57 〜 128.87
NYダウ +157.03 → 24,527.27ドル
GOLD +2.80 → 1,250.00ドル
WTI −0.50 → 51.15ドル
米10年国債 +0.031 → 2.910%

本日の注目イベント

  • トルコ トルコ中銀、政策金利発表
  • 独 独11月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 11月輸入物価指数

ここ数日大きく売られていたポンドが、保守党が実施する不信任投票でメイ首相が信任されるとの観測が強まり、対ドルで1.25台前半から1.26台半ばまで100ポイント以上買い戻され、今週に入って下落した半分以上を取り戻した形です。

ユーロドルも結局、1.13を一度も割り込まずに反発し、昨日は1.1388までユーロ高が進みました。いずれも、「ショート筋の買い戻し」の域を出ず、ロングを積み上げるというタイミングではなさそうです。欧州通貨がドルに対して反発したことで、ドル円もその流れの中でゆっくりと下落しており、113円台は維持していますが、113円50銭あたりが壁になる可能性も出てきました。特に昨日の東京タイムでは、久しぶりに株価が大きく上昇し、日経平均株価は450円を超える上昇を見せたものの、ドル円はほとんど反応せずに、むしろじり安の展開でした。昨日に限って言えば、株価の動きは材料にならなかったようです。

NY時間では11月の消費者物価指数(CPI)が発表されました。コアCPIは前月比0.2%の上昇で、前年同月比では2.2%の上昇でした。いずれも市場予想と一致しており、来週のFOMCの政策決定にはニュートラルと見られます。つまり市場予想通り、今年4回目となる0.25%の利上げを決めると見られます。パウエルFRB議長は11月28日の講演で、「金利は中立をわずかに下回る」と発言し、これをきっかけに利上げ観測が急速に後退し、市場では「利上げ停止」も近いのではとの憶測まで出てきました。

パウエル議長は中立金利を「景気を加速させないし、減速もさせない」と「定義」(?)していました。現在政策金利は2%〜2.25%で、このレンジ内にフェデラルファンド(FF)金利を誘導しようというものです。一般的に米国の中立金利は、物価へ影響を与えない自然利子率と同義語とすれば3.0〜3.5%と見られていますが、パウエル議長の発言をヒントにするならば、限りなく3.0%に近いものと推測されます。FF金利の誘導目標上限を基準とすれば、あと0.75%の引き上げで中立金利に達することになります。来週のFOMCで0.25%引き上げれば、2019年に2回金利引き上げが実施されて、「終了」ということになります。3年債利回りと5年債利回りが逆転して「逆イールド」が示現した背景にも、このような観測が強まったことがあります。米金利の上昇が限定的であれば、日米金利差との相関が高いとされるドル円は今後それほど上昇しないということにもなります。今年も実質的には残り2週間となり、2019年度の相場展望が意識される時期になってきました。「2019年には円高が進む」と予想する根拠には、このような見通しに基づいているものが多いと思われます。

このところドル円自体に材料がないため、欧州通貨の動きに連動しやすいドル円ですが、今夜はECBの理事会後のドラギ総裁の会見が重要かと思われます。今月で資産購入プログラムを終了することは決まっていますが、その後の正常な金融政策への道のりがやや不透明になってきました。来年秋口は政策金利引き上げと見込まれていましたが、ユーロ圏ではフランスの大規模なデモをはじめ、混乱が続出している状況です。正常化への道は予想以上に遠いのかもしれません。本日のドル円は112円70銭〜113円60銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
11/3 トランプ・米大統領 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 株価のマイナス幅が縮小
11/14 パウエル・FRB議長 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 --------
11/15 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 --------
11/16 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落
11/19 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 --------
11/20 クドロー・米国経済会議(NEC) 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 --------
11/21 マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 市場はドル安・株高で反応
11/26 トランプ・米大統領 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ−で。 --------
11/28 パウエル・FRB議長 「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」Economic Club NYで。 ドル円114円台から113円半ばへ。NYダウ617ドルの急騰
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和