今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年12月17日(月) 「ユーロドル2週間ぶりに1.13を割り込む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は円買いが優勢になったものの、円の上昇は限定的だった。株価が再び大幅に下げ、長期金利も低下したことからドルが下落。113円21銭までドル安が進んだものの、ユーロドルなどではドルが買われたことで下落幅も限られた。
  • ユーロドルはユーロ圏PMIが4年半ぶりの低水準だったことでユーロ売りが加速。ユーロドルは約2週間ぶりに1.13台を割り込み、1.1270まで売られる。
  • 株式市場は大幅下落。欧州や中国など世界景気が鈍化するとの見方から株価が大きく売られる。ダウは496ドル下げ、2万4100ドル台に沈む。S&P500も50ポイント下げ、4月以来の安値を記録。
  • 債券相場は反発。長期金利は再び2.9%を割り込み、2.889%台に低下。
  • 金と原油は下落。
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11月小売売上高  →   0.2%
11月鉱工業生産  →   0.6%
11月設備稼働率  →  78.5%
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ドル/円 113.21 〜 113.67
ユーロ/ドル 1.1270 〜 1.1308
ユーロ/円 127.98 〜 128.26
NYダウ −496.87 → 24,100.51ドル
GOLD −6.00 → 1,241.40ドル
WTI −1.38 → 51.20ドル
米10年国債 −0.024 → 2.889%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ユーロ圏10月貿易収支
  • 米 12月NY連銀製造業景況指数
  • 米 12月NAHB住宅市場指数

米株式市場が再び大幅な下げを見せ、市場のクリスマス気分を吹き飛ばすような下落幅を記録しています。この日発表された米11月の小売売上高は+0.2%と、市場予想を上回り、さらに先月分も上方修正され、好調な米国の個人消費を裏付けるものでしたが、欧州と中国で景気悪化の指標が相次いで発表されたことに株価は反応しました。

中国の成長が鈍化しているとの懸念がアジア市場で株価の下落を引き起こし、追い討ちをかけるかのように、ユーロ圏のPMIが4年半ぶりの低水準だったことが、米国株の下落に拍車をかけました。中国、欧州に比べ、米景気の好調さが際立っており、ドルが買われる流れにつながっています。ユーロドルは再び1.13のサポートを割り込み、1.1270までドル高ユーロ安が進み、ドル円も一時は売れられたものの、ドル高の流れの中ではドル下落も限定的でした。ここでも、欧州通貨の動きにドル円が引っ張られる展開となり、ドル円自体に動きがないことから、今後も欧州通貨の動きには目配せが必要です。

ECBは先週、計画通り今月で債券購入プログラムの終了を確認しました。この結果、焦点はいつ金利正常化へのスタートができるのかという点に移ってきました。ドラギ総裁は会見の席で、「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」と表明しましたが、域内景気が思っていた以上に冷え込んでいる可能性が出てきたことで、2019年度内の利上げはないのではないかといった見方も出ているようです。

今週は18−19日に今年最後のFOMCが開催されます。すでに街はクリスマスモードに入っており、このFOMCが今年最後の大きなイベントで、その後市場は閑散期に入ると思われますが、今年はそうとも言い切れません。上述のように、先週末には株価が大きく売られ、今後の欧州や中国の経済指標も注目されます。ユーロやポンドの動きが波乱要因となり、ドル円も例年のように「ベタナギ」という訳にはいかないかも知れません。特にドル円は、秋口から動きが少なく、異例とも言える「低ボラティリティー」 が続いています。そのため、市場参加者のストレスも「高水準」だと思われ、何かのきっかけで予想外の大きな動きを見せるかもしれません。可能性は低いでしょうが、突発的な動きに対するいつも通りの慎重なスタンスを維持しておきたいものです。

本日は再びドル円の上値は重い展開が予想されます。先週は一時113円71銭までドル高が進んだものの、株価の下落がややリスクオフにつながって、ドル円を下押ししましたが、引き続き欧州通貨の動きに引っ張られる展開が見込まれます。予想レンジは112円80銭〜113円70銭程度といったところでしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
11/3 トランプ・米大統領 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 株価のマイナス幅が縮小
11/14 パウエル・FRB議長 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 --------
11/15 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 --------
11/16 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落
11/19 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 --------
11/20 クドロー・米国経済会議(NEC) 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 --------
11/21 マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 市場はドル安・株高で反応
11/26 トランプ・米大統領 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ−で。 --------
11/28 パウエル・FRB議長 「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」Economic Club NYで。 ドル円114円台から113円半ばへ。NYダウ617ドルの急騰
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和