今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年12月25日(火) 「米株価大幅続落でドル円110円台前半まで下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は急落。米国株が大幅に続落し、長期金利も急低下。さらに米政府機関の一部が閉鎖され、市場ではリスク回避の流れが急速に強まり、ドル円は110円27銭まで円高が進む。
  • ドル急落の割にはユーロは上昇せず、ユーロドルは1.1438近辺で上げ止まる。ユーロ円は125円台後半まで売られ、8月以来の安値を示現。
  • 株式市場は先週末の大幅安にも関わらず下げ止まらず。ダウは653ドル下げ、2万1792ドル台まで売られる。
  • リスク回避の流れが強まり、債券相場は上昇。長期金利は2.73%台まで低下。
  • ドル安が進んだことで金は続伸し、1271ドル台まで買われる。原油価格は株価の下落に歩調を合わせ大幅下落。先週末比3ドルを超える下げとなり42ドル台に。
ドル/円 110.27 〜 110.98
ユーロ/ドル 1.1397 〜 1.1438
ユーロ/円 125.93 〜 126.53
NYダウ −653.17 → 21,792.20ドル
GOLD +13.70 → 1,271.80ドル
WTI −3.06 → 42.53ドル
米10年国債 −0.052 → 2.738%

本日の注目イベント

  • 日 10月景気動向CI指数(確定値)
  • 日 10月景気一致指数(確定値)

クリスマスムードが吹き飛ぶほどの株価の大幅下落です。昨日のNY株式市場は「短縮取引」だったにも関わらず、株価の下落は止まらず、もはや「暴落」といった方がいいほどの下げを記録しました。ダウは先週末も414ドル下げましたが、昨日はさらに653ドル下げ、ここ4日間で1900ドルほど下落しました。10月3日に記録した引け値の最高値からは実に5036ドル、率にして18.7%も下げています。ナスダックやS&P500指数は、さらに下げがきつく、いずれも最高値からの下落率は20%を超える状況です。ドル円は110円27銭まで円高ドル安が進み、リスクオフが進んだわりには存在感の乏しかった円も、ようやく「安全通貨」の本領を発揮してきた状況になっています。

NY株式市場の「暴落」にはいくつかの要因が重なり、複合的な下落要因を形成していると見られます。FRBの金融政策の不透明さに加え、米議会では暫定予算が承認されず、一部政府機関が閉鎖しています。さらに、予想されてはいましたが、マティス国防長官が辞任し、辞任時期も来年2月末だったものが、1月1日に前倒しとなりました。これはトランプ大統領の意向が働いたとの報道です。

こうした中ムニューシン財務長官は24日、米金融当局と電話協議を行い、金融市場に異常な動きはないとの報告を受けています。週末には米銀行6行のトップと相次いで電話会談を行い、各行の流動性状況を確認しています。(ブルームバーグ)株式相場の「暴落」を受けて、トランプ大統領は株価の下落はFRBが原因だとツイートしています。「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」と批判し、さらにFRBの政策をゴルフにたとえ、「FRBは、力は強いがタッチ(アプローチやパターの感覚)がないためスコアがあがらないゴルファーのようだ。こういう人間はパットなどできない」とコメントしています。

ドル円は「日足の雲」を勢い良く下抜けしており、目先は「週足」チャートでサポートレベルを探すといった状況です。「週足」雲の支えが109円70銭前後にありますが、先ずは110円という節目が維持されるかどうかです。シカゴ日経平均先物は2万円の大台を大きく下回っています。本日の日経平均株価が500円以上下げる計算にはなりますが、これを大きく超えて下落するようだと110円割れを試す展開も予想されます。

本日の株価の下げ具合にもよりますが、予想レンジは109円80銭〜110円80銭程度とみます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
11/3 トランプ・米大統領 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 株価のマイナス幅が縮小
11/14 パウエル・FRB議長 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 --------
11/15 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 --------
11/16 クラリダ・FRB副議長 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落
11/19 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 --------
11/20 クドロー・米国経済会議(NEC) 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 --------
11/21 マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 市場はドル安・株高で反応
11/26 トランプ・米大統領 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ−で。 --------
11/28 パウエル・FRB議長 「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」Economic Club NYで。 ドル円114円台から113円半ばへ。NYダウ617ドルの急騰
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落
12/17 トランプ・米大統領 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 --------
12/18 トランプ・米大統領 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 --------
12/18 ムニューシン・米財務長官 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
12/19 FOMC声明文 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に
12/24 トランプ・米大統領 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和