今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年1月15日(火) 「ユーロドル経済指標に反応し下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は欧州市場で一時108円割れがあったが、NY市場では小動き。108円台前半で推移し、株価の下落に108円05銭までドル安が進む
  • ユーロドルは反落。ユーロ圏の経済指標が悪化していたことを手がかりに、1.1454まで下落。
  • 株式市場は続落。中国景気の鈍化を嫌気し売りが先行する展開に。ダウは86ドル下げ、ナスダックも65ポイント下落。
  • 債券相場はほぼ変わらず。長期金利は2.70%台で推移。
  • 金は続伸し、原油価格は続落。
ドル/円 108.05 〜 108.35
ユーロ/ドル 1.1454 〜 1.1481
ユーロ/円 123.87 〜 124.34
NYダウ −86.11 → 23,909.84ドル
GOLD +1.80 → 1,291.30ドル
WTI −1.08 → 50.51ドル
米10年国債 +0.005 → 2.706%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏11月貿易収支
  • 欧 ドラギ・ECB総裁講演
  • 米 12月生産者物価指数
  • 米 1月NY連銀製造業景況指数
  • 米 企業決算 → JPモルガン、ウェルズファーゴ

ドル円は昨日の海外市場では再び108円台を割り込む場面があり、上値の重い展開になっています。短期的な動きを示す「1時間足」では、再び「雲」を下回り、「雲」が上昇を抑える形を示してきました。米国では、トランプ大統領が依然としてメキシコ国境での壁建設にこだわり、米政府機関の一部閉鎖は過去最長になっています。市民生活や行政にも支障が出ているとの報道もあります。 米政府機関の一部閉鎖はさらに数週間続くとの見方があることに加え、昨日は米国、あるいはドルにとっても悪材料が噴出しました。昨年11月にカリフォルニア州で発生した山火事は同州史上最悪の被害をもたらしましたが、その出火原因の可能性について調査が行われており、カリフォルニア州の公益法人PG&Eは連邦破産法11条の適用を今月29日前後に申請することを発表しました。(ブルームバーグ)同社は2017年に発生した山火事に関連した費用も負担する可能性があり、債務は300億ドル(約3兆2400億円)を上回るとの試算もあります。

12月の中国の貿易収支が中国景気の悪化を示すものだったことで、世界景気への影響を懸念し、ドルが売られ、米株式市場下げの原因の一つにもなった模様です。12月の貿易収支は、輸出入ともに市場の予想を下回るものでした。好調だった国内での自動車販売にもブレイキがかかり、昨年の新車販売は28年ぶりに前年実績を下回っています。昨日はさらに米企業決算発表の先陣を切ってシティーグループが決算を発表し、利益目標には届かず厳しい内容でした。M&Aなどの部門が好調だったことで株価は上昇していますが、今週は大手米銀の決算発表が続き、株価への影響度も大きくなると見られます。

FRBのクラリダ副議長は14日、FOXビジネス・ネットワークとのインタビューで2019年の利上げ回数は、前回のFOMCで予測された2回よりも少なくなる可能性があると述べました。副議長は「米金融当局は極めて辛抱強くなれる」と述べ、米経済については「近い将来にリセッションは予想していない」と語っています。24日目に入った政府機関の一部閉鎖に関しては、影響を受けた省庁が準備する一部データの公表に支障が出ているものの、米金融当局による経済情勢の追跡力を妨げると思わないと、付け加えています。(ブルームバーグ)

FRBによる利上げ停止観測から米株価が反発し、ドル円も104円台の悪夢から立ち直り109円台まで反発しましたが、この材料はすでに市場は織り込んだものと思われます。足元のメキシコ国境の壁問題が目先の懸念材料ですが、今後は徐々に米中貿易問題へと注目が移ると思われます。さらに2回目の米朝首脳会談の実現や、日ロ首脳会談も為替に影響を及ぼす可能性があります。この辺りにも注意を払いながら、本日のドル円は107円70銭〜108円60銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落
12/17 トランプ・米大統領 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 --------
12/18 トランプ・米大統領 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 --------
12/18 ムニューシン・米財務長官 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
12/19 FOMC声明文 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に
12/24 トランプ・米大統領 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 --------
1/3 ティムクック・アップルCEO 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に ドル円108円台から104円台に急落
1/4 パウエル・FRB議長 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰
1/7 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 --------
1/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和