今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年1月16日(水) 「英議会EU離脱案を否決」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は108円台半ばを挟み底堅い動き。英国議会での混乱にも動意はなく、米国株の上昇に108円77銭まで上昇。
  • 英国議会がメイ首相の離脱案を否決したことや、ドラギ発言からユーロドルは下落。1.1387まで売られ、10日ぶりの安値をつける。
  • 離脱案が否決されるとの見方からポンドドルは1.26台半ばまで売られたが、採決後急反発。この日の下落分を埋め、1.28台後半まで上昇。
  • 株式市場は反発。中国が景気対策の実施を表明したことを好感しハイテク株を中心に買いが膨らむ。ダウは155ドル上昇し、ナスダックは117ポイント上昇し、1カ月ぶりに7000の大台を回復。
  • 債券相場は小幅に下落。長期金利は2.71%台と、やや上昇。
  • 金は反落し、原油は反発。
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 12月生産者物価指数 → −0.2%
 1月NY連銀製造業景況指数 → 3.9
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ドル/円 108.33 〜 108.77
ユーロ/ドル 1.1382 〜 1.1455
ユーロ/円 123.39 〜 124.33
NYダウ +155.75 → 24,065.59ドル
GOLD −2.90 → 1,288.40ドル
WTI +1.60 → 52.11ドル
米10年国債 +0.009 → 2.711%

本日の注目イベント

  • 豪 豪1月ウエストパック消費者信頼感指数
  • トルコ トルコ中銀政策金利発表
  • 独 独12月消費者物価指数(改定値)
  • 英 英12月物価統計
  • 米 12月輸入物価指数
  • 米 12月小売売上高
  • 米 1月NAHB住宅市場指数
  • 米 ベージュ・ブック(地区連銀経済報告)
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
  • 米 企業決算 → ゴールドマン、バンク・オブ・アメリカ、ブラックロック

事前予想通り英議会は15日、メイ首相のEU離脱案を否決しました。下院での採決の結果は反対432、賛成202で、票差が60未満であれば、EUが内容修正に協力することで合意に達する可能性も残っていましたが、230票差と、この100年で最大の敗北となりました。(ブルームバーグ)メディアはこの結果を「屈辱的な敗北」との表現で伝えています。メイ首相は採決後議員に対して、「下院がこの合意案を支持していないことは明らかだ。しかし、今晩の採決では、下院が何を支持しているのかは分からない」と述べています。

この結果、3月末に期限の来るEUからの離脱は「合意なき離脱」の可能性が高まり、メイ首相への信任がさらに低下することは必至です。ポンドドルは否決を織り込み、1.28台後半からジリジリと値を下げましたが、結果が判明すると急速に買い戻しが進み、ほぼ元の水準を回復し、結局「往って来い」の展開になっています。ユーロドルも同じように1.14台後半から下落し、100ポイントほど売られましたが、戻りは限定的でした。

ドラギECB総裁は欧州議会で「最近の経済動向は予想よりも弱く、特に世界的な要因に関連する不透明性が依然として顕著だ」と語り、「気を緩めていられる余地はない」と述べています。「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」との認識を示しました。この発言がユーロの上値を抑えた形になっています。

ユーロやポンドなどでドル高が進んだ割には、ドル円ではそれほどドルが上昇していません。昨日の東京市場では、株価が上昇したことに伴ってドル高が進み、108円75銭前後までドルが買われましたが、海外市場でもほぼ同水準で上昇が抑えられています。まだ109円台を回復して、さらに110円を目指す展開でもなさそうです。米国では依然として政府機関の一部閉鎖が続いており、米中通商協議でも不透明感は拭い切れません。先週行われた米中次官級協議の内容についても、ライトハイザーUSTR代表に近い議員は、同氏が、「知的財産権侵害など、重要課題についてはほとんど進展が見られなかったと述べた」と語っています。ただ交渉期限が1カ月半後に迫っていることもあり、両国とも前向きに協議を続ける意向のようです。

本日も材料に乏しく、ドル円は108円台での推移に終始すると予想されます。レンジは108円10銭〜109円程度といったところでしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落
12/17 トランプ・米大統領 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 --------
12/18 トランプ・米大統領 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 --------
12/18 ムニューシン・米財務長官 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
12/19 FOMC声明文 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に
12/24 トランプ・米大統領 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 --------
1/3 ティムクック・アップルCEO 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に ドル円108円台から104円台に急落
1/4 パウエル・FRB議長 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰
1/7 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 --------
1/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/15 ドラギ・ECB総裁 「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」欧州議会で。 ユーロドル1.14台から1.13台後半まで下落
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和