今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年1月23日(水) 「米国株5日ぶりに反落しドル円下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は反落。世界経済の下方修正や中国のGDPが低水準だったことを受け、ドル円は109円14銭まで売られる。株価も大幅に反落し、長期金利が低下したこともドル売り材料となる。
  • ユーロドルは小幅に下落したものの、ECB理事会を控え小動き。1.1336までユーロ安が進み、徐々に下値を切り下げる。
  • 株式市場は5日ぶりに反落。IMFが世界経済の成長率を下方修正したことなどから、中国関連銘柄などが売られる。ダウは300ドルを超える下げとなり、他の主要指数も揃って反落。
  • 債券相場は反発。長期金利は2.71%台まで低下。
  • 金は小幅に反発。原油は1ドルを超える大幅な下げに。
ドル/円 109.14 〜 109.47
ユーロ/ドル 1.1336 〜 1.1374
ユーロ/円 124.04 〜 124.38
NYダウ −301.87 → 24,404.48ドル
GOLD +0.80 → 1,283.40ドル
WTI −1.23 → 52.57ドル
米10年国債 −0.043 → 2.741%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 黒田日銀総裁記者会見
  • 日 12月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏1月消費者信頼感(速報値)
  • 米 12月FHFA住宅価格指数
  • 米 1月リッチモンド連銀製造業指数
  • 米 企業決算 → フォード、P&G
  • 加 カナダ11月小売売上高

ドル円は110円に届かず戻ってきました。昨日この欄で述べたように、米国株は5日続伸とはならず、「5日ぶりに反落」したことで、ドルが売られました。前日IMFが世界経済の見通しを下方修正したことや、中国の10−12月期GDPが28年ぶりの低水準だったことから米株価が軟調になっています。もっとも、ここ4営業日でダウは800ドルを超える上昇を見せていただけに、一旦調整しても当然だとする意見もあります。中国景気の減速を材料に、中国関連銘柄を中心に株価の下げを牽引し、世界経済の鈍化を理由にWTI原油価格も反落しました。

トランプ大統領に関する報道もドルと株式には重石になりました。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、30−31日に予定されている米中通商協議に先立って行はれることになっていた事務協議の開催をトランプ大統領が拒否したと報じました。ただこの報道はその後、クドロー国家経済会議(NEC)委員長によって否定されています。委員長はCNBCのインタビューで「今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が非常に重要であり、決定的なものになるだろう」と述べました。(ブルームバーグ)

クドロー委員長の言葉のように、この会合は非常に重要なものとなり、米中通商協議の結末がある程度見えてくるのではないかと予想しています。米国にとっては目先の政府機関の一部閉鎖の方が、より深刻な問題かもしれません。閉鎖期間は1カ月にも及んでおり、空港での混乱や、税関での人手不足から輸出入にも影響が出ているようです。このまま閉鎖が続けば、米国のGDPを押し下げることにもなります。昨日のNHKのニュースでは、ワシントンの政府機関に勤める男性がインタビューに応じ、公務員のため政治的な発言は避けたいとしながらも、「たった一人の人間のため自宅待機を強いられ、給与が受け取れず、ローンの返済など、生活が苦しい」とはき捨てるように語っていたのが印象的でした。

メキシコ国境の壁問題は一旦棚上げし、予算案に署名すれば済む話ですが、トランプ氏はなおも「壁建設」に固執しているようで、現時点で閉鎖解除のメドはたっていません。トランプ氏は1月29日に行う予定であった「一般教書演説」でも民主党との間でもめています。ペロシ下院議長は、政府機関の一部閉鎖による警備上の懸念を理由に演説を延期するよう提案していますが、トランプ氏はこれに反発しており、トランプ氏と下院議長との対立がさらにエスカレートしていると、ブルームバーグは伝えています。

ドル円は「1時間足」チャートでは1週間ぶりに雲を下抜けしてきました。現在は、雲の下限が上昇を抑える抵抗帯として機能していますが、再び雲の中に入り上昇できるかどうかといったところです。ただ本日は昨日に引き続き、日本株が軟調に推移すると見られ、ドルが売られ易い展開が予想されます。下値では109円台が維持出来るかどうかです。レンジは108円80銭〜109円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落
12/17 トランプ・米大統領 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 --------
12/18 トランプ・米大統領 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 --------
12/18 ムニューシン・米財務長官 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
12/19 FOMC声明文 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に
12/24 トランプ・米大統領 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 --------
1/3 ティムクック・アップルCEO 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に ドル円108円台から104円台に急落
1/4 パウエル・FRB議長 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰
1/7 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 --------
1/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/15 ドラギ・ECB総裁 「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」欧州議会で。 ユーロドル1.14台から1.13台後半まで下落
1/22 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が非常に重要であり、決定的なものになるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドルと株価が小幅に反発
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和