今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年1月24日(木) 「ドル円3週間ぶりに110円を付けた後反落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は株価の上昇や日銀による緩和策維持が支えとなり110円まで上昇。ただその後はポンドがドルに対して急上昇したことでドル円でも円買いが加速し、109円台半ばまで下落。
  • ユーロドルは前日から大きな動きはなく、1.13台半ばから後半で推移。
  • 合意なき離脱が避けられるとの見方が強まったことからポンドドルが急伸。1.29台半ばから1.3080までポンド高に。
  • 株式市場は良好な企業決算を好感し反発。IBMやP&Gなどが上昇を牽引しダウは171ドル高。
  • 債券相場はほぼ変わらず。長期金利は2.74%台でやや上昇。
  • 金は続伸し、原油価格は続落。
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 12月FHFA住宅価格指数 → 0.4%
 1月リッチモンド連銀製造業指数 → −2
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ドル/円 109.40 〜 110.00
ユーロ/ドル 1.1351 〜 1.1394
ユーロ/円 124.60 〜 124.91
NYダウ +171.14 → 24,575.62ドル
GOLD +0.60 → 1,284.00ドル
WTI −0.39 → 52.62ドル
米10年国債 +0.003 → 2.743%

本日の注目イベント

  • 豪 豪12月雇用統計
  • 欧 ユーロ圏1月総合PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏11月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏1月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 12月景気先行指標総合指数
  • 米 企業決算 → スターバックス、インテル

昨日の東京時間でのドル円は粘り越しを見せ堅調な動きでした。前日のNYでは株価が大きく下落し、日経平均株価も大幅な下げで追随するのではと予想していましたが、ザラ場ではプラスに転じる場面もあり、ドル円もじり高の展開でした。日銀が政策会合で、予想通り金融政策据え置きを決めると、ドル円は上昇を強め、109円77銭前後まで買われました。海外でもその流れは続き、NY時間には110円ワンタッチまでドルが買われ、昨年末以来となる110円を示現しています。ただそこからはドルが急速に下げ足を早め、109円台半ばまで売られ、結局「往って来い」の展開になっています。

米政府機関の一部閉鎖や中国経済の鈍化などが重石となり、さらにドルがポンドに対して大きく売られたことでドル円も連れ安したものと思われます。大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は「米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期は経済成長がゼロになる可能性がある」と警告を発しています。またJPモルガンのダイモンCEOは、「米政府機関の一部閉鎖は政治的な問題以外の何者でもなく、閉鎖が長引けば成長がゼロになる恐れがある」と、こちらもハッセット委員長と同じ論調で警告しています。ダイモン氏はさらに「閉鎖が続くかどうかはわからないが、見通しは楽観視できない」と電話インタビューで答えています。(ブルームバーグ)

スイスで開催されている「ダボス会議」は、トランプ大統領やマクロン仏大統領、さらにメイ英首相などが参加を取りやめたことで、いまひとつ盛り上がりに欠けていますが、中国から参加した王岐山副主席は講演でトランプ大統領の経済政策を批判する発言を行いました。トランプ大統領の名前には触れることはなかったものの、「単独行動主義と保護主義、ポピュリズムに脅かされている」とし、「弱いものいじめや、自国至上主義に基づく行動は拒絶する」と発言し、ブルームバーグは、「これはトランプ氏の米国第一主義を指しているのは明らかだ」と報じています。

メキシコ国境での壁建設資金を巡って混迷が続いている米議会ですが、ブルームバーグにとると、本日24日に上院では2つの異なる採決を実施するとのことです。1つは、国境の壁建設資金57億ドル(約6250億円)を盛り込んだトランプ大統領の計画に関する採択で、2つ目は、国境警備を強化する方法について両党がコンセンサスを模索する間、2月8日まで政府機関を再開するという民主党の法案のようです。ただ、トランプ氏はこれまで十分な壁建設資金を含まない予算案には拒否権を行使すると警告しています。政府機関一部閉鎖はすでに1カ月を超えており、市民生活や実態経済にも影響が出始めています。それでも壁建設にこだわるトランプ氏・・・・常識ではなかなか理解できない状況になっています。

昨日のNYで110円まで上昇したものの、結局昨日の水準に戻ってきたドル円です。ドルにとって悪材料が多い中、健闘していると言えます。この状況で、仮に米政府機関閉鎖解除のニュースが飛び込んできたらドル円は再び110円台に乗せ、110円50銭程度まで上昇する余地はありそうです。ただその可能性については上述のように、全く不透明です。本日は109円〜110円程度のレンジを予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落
12/17 トランプ・米大統領 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 --------
12/18 トランプ・米大統領 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 --------
12/18 ムニューシン・米財務長官 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
12/19 FOMC声明文 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に
12/24 トランプ・米大統領 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 --------
1/3 ティムクック・アップルCEO 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に ドル円108円台から104円台に急落
1/4 パウエル・FRB議長 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰
1/7 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 --------
1/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/15 ドラギ・ECB総裁 「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」欧州議会で。 ユーロドル1.14台から1.13台後半まで下落
1/22 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が非常に重要であり、決定的なものになるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドルと株価が小幅に反発
1/23 ハセット・大統領経済諮問委員会(CEA)委員長 「米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期は経済成長がゼロになる可能性がある」。 ドル円と株価を下押し
1/23 王岐山・中国副主席 「単独行動主義と保護主義、ポピュリズムに脅かされている。弱いものいじめや、自国至上主義に基づく行動は拒絶する」ダボス会議の講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和