今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年1月29日(火) 「市場は米中協議待ちで小動き」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は小幅な下落ながら109円台は維持。株価の下落と長期金利の低下にドル円は109円17銭まで売られたが、明日から始まる米中通商協議の結果を見極めたいとのセンチメントに動きづらい展開に。
  • ドルが小幅に売られたことで、ユーロドルは1.1444まで上昇し、この日は終始1.14台で推移。
  • 株式市場は大幅に反落。キャタピラーやエヌビディアの決算発表に失望し、市場全体が軟調となりダウは208ドル安。
  • 債券相場は反発。株価の下落から債券が買われ、長期金利は2.74%台へと低下。
  • 金は続伸し、昨年6月以来となる1300ドル台乗せに。原油価格は反落。
ドル/円 109.17 〜 109.49
ユーロ/ドル 1.1405 〜 1.1444
ユーロ/円 124.65 〜 125.01
NYダウ −208.98 → 24,528.20ドル
GOLD +5.00 → 1,303.10ドル
WTI −1.70 → 51.99ドル
米10年国債 −0.016 → 2.742%

本日の注目イベント

  • 米 11月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 1月消費者信頼感指数
  • 米 企業決算 → ファイザイー、3M、ベライゾン、アップル

今年前半の相場を占う上で最も重要なイベントと見られる「米中通商協議」がいよいよ明日からワシントンで行われます。今週の「Weeklyコメント」でも書きましたが、1カ月後に交渉期限が迫っている中、ある程度の合意に近いものが出てくるのではと、期待が高まってはいますが、両国の交渉責任者である、ライトハイザー米通商代表部(USTR)委員長と中国劉鶴副首相はともに、これまで記者団には多くを語らないことから合意内容の詳細が見えにくく、結局共同声明からその内容を得るしかありません。

さらに最終的な合意は、仮にあるとしてもトランプ大統領と習近平主席が首を縦に振るまでにも時間を要します。中国側は米国からの輸入を大幅に拡大させ、2024年までの6年間で合計1兆ドル(109兆円)以上増やし、同年までに対米貿易黒字を解消させることを提案しており、米国もこの件についてはおおむね了承している模様です。ただ、米国側がこだわっている「知的財産権の侵害問題」や「構造改革問題」では議論の進展はほとんどないことが伝えられており、焦点はこの辺りになろうかと思います。 協議に先立ち、中国は昨日代表団をワシントンに到着させており、その中には劉鶴副首相だけではなく、中国人民銀行総裁など主要な人物も同行していることが報じられています。残された時間が少ない中、中国側の合意に向けた「本気度」は評価されることでしょう。

中国は、景気減速に対応するため積極的に景気刺激策にも力を入れています。今朝の経済紙によれば、市場への資金供給を増やすだけではなく、減税も1.3兆元(約21兆円)を超える規模で行い、インフラ投資も12月単月で7838億元(12兆7000億円)と高水準で、さらには付加価値税の減額も検討しているようです。中国の昨年のGDPは6.6%と、28年ぶりの低水準でした。米中通商協議が万が一合意に至らなかった場合には、景気に与える影響はさらに深刻なものになることが予想され、早めの対策に打って出たということのようです。

もっとも、万が一決裂するようなことになれば、その悪影響は米中だけには留まらずに、世界中に伝播すると見られます。先日中国での販売失速を理由に業績見通しを下方修正した日本電産の永守会長の言葉が印象的でした。永守会長は「11月、12月に尋常でない変化が起きた」と述べ、「46年間経営をやってきて、月単位でこんなに落ち込んだのは初めてだ」と語っていました。これは日本電産だけのことではなく、他の製造業にも言えることでしょう。今週から始まる、日本企業の第3四半期決算発表で、そのことが明らかになると考えています。

経済規模で世界第一位の米国と第二位の中国が貿易問題で大きな障害を抱えることになれば、その影響は大きな波となって真っ先に日本を襲うことになると思います。その先に見えるものは、中国関連銘柄を中心に日本株が売られ、リスク回避が急速に進み、円が買われるという構図です。1月3日早朝のドル円の急落は、その予兆だったのかもしれません。本日のドル円は108円80銭〜109円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落
12/17 トランプ・米大統領 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 --------
12/18 トランプ・米大統領 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 --------
12/18 ムニューシン・米財務長官 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
12/19 FOMC声明文 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に
12/24 トランプ・米大統領 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 --------
1/3 ティムクック・アップルCEO 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に ドル円108円台から104円台に急落
1/4 パウエル・FRB議長 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰
1/7 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 --------
1/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/15 ドラギ・ECB総裁 「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」欧州議会で。 ユーロドル1.14台から1.13台後半まで下落
1/22 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が非常に重要であり、決定的なものになるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドルと株価が小幅に反発
1/23 ハセット・大統領経済諮問委員会(CEA)委員長 「米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期は経済成長がゼロになる可能性がある」。 ドル円と株価を下押し
1/23 王岐山・中国副主席 「単独行動主義と保護主義、ポピュリズムに脅かされている。弱いものいじめや、自国至上主義に基づく行動は拒絶する」ダボス会議の講演で。 --------
1/24 ロス・米商務長官 「米国と中国は貿易戦争の終結を強く願っているが、結末がどうなるかは中国が経済改革を深化させ、市場を一段と開放するかどうかにかかっている」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
1/24 ドラギ・ECB総裁 「成長リスクは下方方向に転じた。特に地政学的要因に関する不透明感の持続と保護主義の脅威がセンチメントの重しとなっている」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.1375水準1.1290前後まで下落
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和