今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年1月31日(木) 「FOMCを受けドル安・株高・債券高進む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円はFOMC声明文とパウエル議長の会見を受け急落。108円81銭前後までドル安が進み約2週間ぶりの水準を記録。
  • ユーロドルでもドル安ユーロ高が進み、一時は1.15台にに乗せる。
  • 株式市場は揃って大幅上昇。パウエル議長の会見から利上げ観測がさらに後退。ボーイングやアップル株が上昇を牽引。ダウは前日比434ドル上昇し、2万5千ドルの大台を回復。
  • 利上げ観測が大きく後退したことから債券は買われ、長期金利は2.67%台まで低下。
  • 金は小幅ながら4日続伸。原油価格も続伸し54ドル台に。
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 1月ADP雇用者数 → 21.3万件
 12月中古住宅販売件数成約指数 → −2.2%
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ドル/円 108.81 〜 109.75
ユーロ/ドル 1.1406 〜 1.1501
ユーロ/円 124.74 〜 125.15
NYダウ +434.90 → 25,014.86ドル
GOLD +0.30 → 1,315.50ドル
WTI +0.92 → 54.23ドル
米10年国債 −0.032 → 2.677%

本日の注目イベント

  • 日 12月鉱工業生産
  • 中 1月製造業PMI(速報値)
  • 中 1月非製造業PMI(速報値)
  • 独 独1月失業率
  • 欧 ユーロ圏12月失業率
  • 欧 ユーロ圏10−12月期GDP(速報値)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 12月PCEコアデフレータ
  • 米 10−12月雇用コスト指数
  • 米 1月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米 企業決算 → ブラックストーン、GE、UPS、アマゾン

ドル円は109円台を割り込み、米国株は大幅高。債券は買われ金利は低下。昨日この欄で、パウエル議長がハト派的な発言をすれば、株と債券が買われドル円が下落する可能性があると書きましたが、予想通りの展開になっています。

FRBは今朝方のFOMCで、政策金利据え置きを決め、声明文で将来の金利変更の判断においては「辛抱強くなる」(Committee will be patient )とし、バランスシートの縮小については柔軟な対応をする考えを示しました。パウエル議長は会合後の記者会見で「経済と国外の不確実性が相反する中で、視界が一段とよくなるのを辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという常識的なアプローチを取る」と語りました。(ブルームバーグ)

今回のFOMCでは政策金利の据え置きや、今後の政策運営の柔軟化はある程度予測できましたが、会見でバランスシートの縮小にも柔軟に対応するとした部分が「ハト派的」と受け止められ、株価と債券の急騰につながったと思われます。今後米金利が上昇しにくくなるという見方から、ドルにとっては支援材料が一つ無くなり、ドル円はレンジを下抜けし108円81銭前後まで売られました。今週は109−110円のレンジを抜けると予想していましたが、これでドルの上値は徐々に重くなることも予想されます。

もっとも、ドル円は必ずしも金利だけで動いているわけでもなく、金利の低位安定が定着すれば、昨日のように株価にとっては好材料となり、今後株価の上昇が見込まれるようなら、「株価の上昇=リスクオン」ということで低金利の円が売られる展開もないとは言えません。これはドル円の支援材料になるはずです。それでも、今後米国の景気減速がより鮮明になると、株価も下落基調を強め、場合によっては「金融緩和策」が必要な状況にもなり、株価の下落と長期金利の低下が同時に進む懸念もあります。その場合はドル円が大きく下落する可能性があり、今後米景気の「実態」も見極めていく必要があります。幸い昨日発表されたADP雇用者数は市場予想を大きく超えており、現時点では労働市場は依然として好調と見られ、明日の雇用統計にも期待が持てそうです。

ドル円は108円81銭前後まで売られたことで、「4時間足」の雲の下限まで落ちてきました。米国株が大幅高を演じたことで、本来なら日本株も大きく上昇してもおかしくないはずですが、円高が進んだ分上昇力が相殺されます。ただ、それでもこの状況ではマイナスで引けることは考えにくく、ドルのサポート要因になると予想しています。予想レンジは108円50銭〜109円40銭程度を見ています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
12/1 トランプ・米大統領 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 --------
12/3 クドロー・米国経済会議(NEC) 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 --------
12/4 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 --------
12/5 トランプ・米大統領 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 ドル円は小幅に上昇
12/11 トランプ・米大統領 FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 ドル円は小幅に下落したが限定的
12/12 ドラギ・ECB総裁 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 ユーロドル下落
12/17 トランプ・米大統領 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 --------
12/18 トランプ・米大統領 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 --------
12/18 ムニューシン・米財務長官 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
12/19 FOMC声明文 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に
12/24 トランプ・米大統領 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 --------
1/3 ティムクック・アップルCEO 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に ドル円108円台から104円台に急落
1/4 パウエル・FRB議長 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰
1/7 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 --------
1/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/15 ドラギ・ECB総裁 「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」欧州議会で。 ユーロドル1.14台から1.13台後半まで下落
1/22 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が非常に重要であり、決定的なものになるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドルと株価が小幅に反発
1/23 ハセット・大統領経済諮問委員会(CEA)委員長 「米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期は経済成長がゼロになる可能性がある」。 ドル円と株価を下押し
1/23 王岐山・中国副主席 「単独行動主義と保護主義、ポピュリズムに脅かされている。弱いものいじめや、自国至上主義に基づく行動は拒絶する」ダボス会議の講演で。 --------
1/24 ロス・米商務長官 「米国と中国は貿易戦争の終結を強く願っているが、結末がどうなるかは中国が経済改革を深化させ、市場を一段と開放するかどうかにかかっている」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
1/24 ドラギ・ECB総裁 「成長リスクは下方方向に転じた。特に地政学的要因に関する不透明感の持続と保護主義の脅威がセンチメントの重しとなっている」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.1375水準1.1290前後まで下落
1/30 パウエル・FRB議長 「経済と国外の不確実性が相反する中で、視界が一段とよくなるのを辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという常識的なアプローチを取る」FOMC後の会見で。 ドル円大幅に下落。株価と債券は急騰
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和