今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年2月12日(火) 「ドル円1ヵ月半ぶりに110円台半ばへ」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は110円台を回復し、110円46銭までドル高が進む。ユーロドルが1.13を割り込み、ユーロ安が進んだことで円もつれ安となる。この日のドル円は終始110円台で推移。
  • ユーロドルは1.13を割り込み、一時は1.1267までユーロ安が進む。英国のGDPが悪化していたこともあり、ユーロ圏の景気に弱気の見方がユーロ売りにつながる。
  • 株式市場はまちまち。ダウは53ドル安と、3日続落。一方ナスダックは9ポイント上昇。
  • 債券相場は小幅に下落。長期金利は2.65%台へとやや反発。
  • 金と原油はともに下落。
ドル/円 110.20 〜 110.46
ユーロ/ドル 1.1267 〜 1.1314
ユーロ/円 124.41 〜 124.88
NYダウ −53.22 → 25,053.11ドル
GOLD −6.60 → 1311.90ドル
WTI −0.31 → 52.41ドル
米10年国債 +0.018 → 2.652%

本日の注目イベント

  • 米 パウエル・FRB議長講演
  • 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演

ドル円は昨年末以来となる110円台半ばまでドル高が進んできました。これまで110円台を何度かテストしたものの、全て押し戻されていましたが、今回はしっかりと110円台で安定し、半ばまで上昇しました。110円台を固めることができるのかどうかが焦点になりますが、1カ月半ぶりのドル高水準であることから、110円台半ばから上ではドル売り注文も多く出ると見られますが、それでも110円台を維持することができれば、上昇トレンドを明確にすることができるかもしれません。

昨日のドル円の上昇は特に円を売る材料があったわけではありません。ユーロ安に引っ張られたことが背景と見られます。ユーロドルは1.1267前後まで売られ、昨年11月28日以来となるユーロ安をつけています。ユーロは域内の景気減速が鮮明で、先週欧州委員会は、2019年域内の実質経済成長率の見通しを昨年11月に発表した1.9%から0.6ポイント低い1.3%に下方修正しました。

域内のけん引役であるドイツの低迷がユーロ圏全体の成長を押し下げていると見られています。またイタリアの成長率も1.2%から0.2%へ引き下げられており、ドイツやフランスで政治的な不安定さも顕著になってきている中、経済成長の鈍化がユーロ売り、ドル買いを加速させているようです。1.12台半ばまで売られたユーロドルですが、ここからは昨年11月12日に記録した1.1216前後を割り込み、1.11台まで売られるのかどうかが注目されます。1.11台へ突入するようだと、ドル円でもさらにドル高が進む可能性があります。ただその場合でも、ユーロドルの下落よりもドル円の上昇スピードの方が遅いと見られ、ユーロ円が緩やかに下落すると予想しています。英国が合意なき離脱に追い込まれるのかどうかも、ユーロにとっては重要な変動要因です。3月に向けて、いよいよユーロの動きが活発になる可能性が高まって来ました。

米中次官級協議は14日から15日の予定で行われます。日程後半では米国側の交渉責任者であるライトハイザーUSTR代表やムニューシン財務長官も交えて協議になるようですが、先週突然トランプ大統領は習近平国家主席との会談は行わないことを示唆しています。交渉期限まで3週間を切ったことを考えると、今回の協議が合意に向けてはかなり重要な会合になるのではないかと思われます。

今週は再び米政府機関閉鎖が焦点になります。メキシコ国境の壁建設費用を巡って15日までに予算が決まらないと、再び政府機関の一部が閉鎖されることに加えて、債務上限の適用が3月上旬に再開されるのに伴い、より大きなリスクが生じる見通しも強まっているとブルームバーグは伝えています。米法定債務上限の適用期限は3月1日で、それ以降も閉鎖が続くようだとさらに交渉が複雑化すると見られています。このような状況になると、ドルの上値も限られるかもしれません。本日のドル円は109円90銭〜110円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
1/3 ティムクック・アップルCEO 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に ドル円108円台から104円台に急落
1/4 パウエル・FRB議長 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰
1/7 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 --------
1/9 ブラード・セントルイス連銀総裁 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/15 ドラギ・ECB総裁 「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」欧州議会で。 ユーロドル1.14台から1.13台後半まで下落
1/22 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が非常に重要であり、決定的なものになるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドルと株価が小幅に反発
1/23 ハセット・大統領経済諮問委員会(CEA)委員長 「米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期は経済成長がゼロになる可能性がある」。 ドル円と株価を下押し
1/23 王岐山・中国副主席 「単独行動主義と保護主義、ポピュリズムに脅かされている。弱いものいじめや、自国至上主義に基づく行動は拒絶する」ダボス会議の講演で。 --------
1/24 ロス・米商務長官 「米国と中国は貿易戦争の終結を強く願っているが、結末がどうなるかは中国が経済改革を深化させ、市場を一段と開放するかどうかにかかっている」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
1/24 ドラギ・ECB総裁 「成長リスクは下方方向に転じた。特に地政学的要因に関する不透明感の持続と保護主義の脅威がセンチメントの重しとなっている」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.1375水準1.1290前後まで下落
1/30 パウエル・FRB議長 「経済と国外の不確実性が相反する中で、視界が一段とよくなるのを辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという常識的なアプローチを取る」FOMC後の会見で。 ドル円大幅に下落。株価と債券は急騰
2/5 長井・元日銀国際局 「米中貿易摩擦や中国経済への懸念などから円相場が今年前半に1ドル=95円程度まで円高になる可能性があり、その時は安倍政権との関係からも、日銀が何もやらないというのはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/5 トランプ・米大統領 「私は中国の習近平国家主席に多大な敬意を抱いており、米政権は現在、中国との新たな通商合意に向けて作業をしている」「しかし、合意には不公正な貿易慣行を終わらせ、米国の恒常的赤字を減らし、米国民の雇用を守るように、本物の構造改革が盛り込まれる必要がある」一般教書演説で。 ドル円大幅に下落
2/6 イエレン前・FRB議長 「次の行動が利下げになる可能性は確かにあるが、利下げ・利上げ両方の可能性がある」CNBCとのインタビューで。 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和