2019年2月14日(木) 「ドル円続伸し111円台を示現」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は続伸し、111円06銭までドル高が進む。米中通商協議の進展や、米政府機関再閉鎖が回避できるとの見方から、円売りが加速。
- ユーロドルは再び1.13を割り込み、1.1260まで下落。ユーロ圏の鉱工業生産が予想を下回り、ユーロ圏の景気鈍化が確認されたことでユーロ売りが再燃。
- 株式市場は政府機関閉鎖のリスクが低下したことを材料に続伸。ダウは117ドル上昇し、2カ月半ぶりに2万5500ドル台を回復。
- 債券相場は4日続落し、長期金利は2.70%台に。
- 金と原油はともに続伸。
1月消費者物価指数 → 0.0%
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| ドル/円 | 110.70 〜 111.06 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1260 〜 1.1309 |
| ユーロ/円 | 124.99 〜 125.22 |
| NYダウ | +117.51 → 25,543.27ドル |
| GOLD | +1.10 → 1315.10ドル |
| WTI | +0.80 → 53.90ドル |
| 米10年国債 | +0.014 → 2.702% |
本日の注目イベント
- 日 10−12月GDP(速報値)
- 中 中国 1月貿易収支
- 独 独10−12月期GDP(改定値)
- 欧 ユーロ圏10−12月期GDP(改定値)
- 英 英議会、離脱案修正の審議採決
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 1月生産者物価指数
- 米 12月小売売上高
市場環境が好転してきたことで、リスク回避の流れが後退してきたというよりも、昨日の動きを俯瞰すると、「リスクオン」に向かっているような印象を受けます。米国株は続伸し、ダウは2万5500ドル台を回復し。出遅れていた日本株も連日で大幅高を演じ、ここ両日の日経平均は800円を超える上昇を記録しています。ドル円は昨日のNY市場で111円台に乗せる場面もあり、昨年12月27日以来となるドル高を記録しています。米長期金利が2週間ぶりに2.7%台まで上昇し、ドル高に一役かっていますが、リスクのある資産と通貨が買われ、安全な資産と通貨が売られる展開です。明日に迫った米政政府機関再閉鎖の可能性が低下したことが背景です。
トランプ大統領は国境警備に関する超党派合意を不本意ながら受け入れ、予算案に署名するとの見方が強まってきました。トランプ氏は昨日ホワイトハウスの執務室で、「私は政府機関の閉鎖を見たくない」、「政府機関を閉鎖する理由は見つからない」(There is no reason to shutdown)と発言し、期限の15日までには予算案に署名する見通しとなりました。ただあくまでもメキシコ国境の壁建設にこだわるトランプ氏は、署名したとしても直ちに大統領権限を利用して国境警備を強化する追加措置の資金を確保する公算が大きいと見られています。(ブルームバーグ)まだ15日の期限を迎えてみないと分かりませんが、どうやら政府機関再閉鎖という最悪の事態は避けられる見通しになったようです。
もうひとつの懸念材料である「米中通商協議」についても、明るい見通しが優勢となってきました。米国と中国との貿易戦争を解決するための協議は順調に進んでいると伝えられていますが、トランプ氏は「極めて順調に進行していると思う」と述べ、「彼らはわれわれに大きな敬意を払っている」と付け加えています。今朝の情報では、習近平国家主席も、最後にこの会合に出席するのではとの報道もあるようです。3つの懸念材料のうち2つに明るい見通しが出てきたことで、投資家は楽観的な投資姿勢にシフトしつつあります。特に最大の懸念材料である「米中通商協議」で中国に対する関税引き上げが回避できれば、中国はもとより米国や日本にとっても大きな好材料になります。
これら朗報に加え、米国の景気に対する楽観的な見通しもFRB高官から報告されています。クリーブランド連銀のメスター総裁は「(米景気は)非常に良好な状態」と表現し、カンザスシティー連銀のジョージ総裁も「極めて良好な状態」と評価し、先に「米経済は良好な状態」と述べたパウエルFRB議長の認識と、足並みをそろえた形です。さらにアトランタ連銀のポステック総裁は、「全てが予想通りに展開すれば、私は2019年に1回の利上げを予想する」とし、「経済は2018年ほど力強くはならないが、長期の潜在成長率は上回るというのがわれわれの予想だ」と語り、(ブルームバーグ)「今年の利上げはゼロ」とする市場のコンセンサスよりも「タカ派寄り」の認識を示しています。日米欧を比較した場合、これまでほどではないとしても、依然として「米国の一人勝ち」は続いており、成長率や金利水準の差がそれを物語っていると見られます。
本日も米国株が上昇し、円安が進んだことから日本株は続伸すると予想します。111円台に乗せたドル円は111円20−25銭にある「200日線」あたりが目先のレジスタンスと見ていますが、ここを明確に抜けると輸出を中心とする実需筋には相当な「余裕」が生まれ、ドル売り注文を手控えることも予想されます。110円台を固めたようにも見えますが、ここは110円を挟んだレンジを形成していると見ておいた方が無難でしょう。予想レンジは110円50銭〜111円40銭程度でしょうか。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/3 | ティムクック・アップルCEO | 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に | ドル円108円台から104円台に急落 |
| 1/4 | パウエル・FRB議長 | 「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」AEAの年次会合で。 | ドル円小幅に上昇。NYダウ6746ドルの急騰 |
| 1/7 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「今年に入る前、1年前に私は、2019年の利上げ回数を2回とみていた。今では19年は1回だとみる」アトランタのロータリークラブの講演で。 | -------- |
| 1/9 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「これ以上利上げをした場合、米国経済はリッセンションに陥る恐れがあることを懸念している。」WSJ紙とのインタビューで。 | -------- |
| 1/15 | ドラギ・ECB総裁 | 「域内の価格圧力をさらに高め、総合インフレ率の中期的な展開を後押しするため、大規模な金融緩和が依然必要」欧州議会で。 | ユーロドル1.14台から1.13台後半まで下落 |
| 1/22 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が非常に重要であり、決定的なものになるだろう」CNBCとのインタビューで。 | ドルと株価が小幅に反発 |
| 1/23 | ハセット・大統領経済諮問委員会(CEA)委員長 | 「米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期は経済成長がゼロになる可能性がある」。 | ドル円と株価を下押し |
| 1/23 | 王岐山・中国副主席 | 「単独行動主義と保護主義、ポピュリズムに脅かされている。弱いものいじめや、自国至上主義に基づく行動は拒絶する」ダボス会議の講演で。 | -------- |
| 1/24 | ロス・米商務長官 | 「米国と中国は貿易戦争の終結を強く願っているが、結末がどうなるかは中国が経済改革を深化させ、市場を一段と開放するかどうかにかかっている」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 1/24 | ドラギ・ECB総裁 | 「成長リスクは下方方向に転じた。特に地政学的要因に関する不透明感の持続と保護主義の脅威がセンチメントの重しとなっている」理事会後の記者会見で。 | ユーロドル1.1375水準1.1290前後まで下落 |
| 1/30 | パウエル・FRB議長 | 「経済と国外の不確実性が相反する中で、視界が一段とよくなるのを辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという常識的なアプローチを取る」FOMC後の会見で。 | ドル円大幅に下落。株価と債券は急騰 |
| 2/5 | 長井・元日銀国際局 | 「米中貿易摩擦や中国経済への懸念などから円相場が今年前半に1ドル=95円程度まで円高になる可能性があり、その時は安倍政権との関係からも、日銀が何もやらないというのはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
| 2/5 | トランプ・米大統領 | 「私は中国の習近平国家主席に多大な敬意を抱いており、米政権は現在、中国との新たな通商合意に向けて作業をしている」「しかし、合意には不公正な貿易慣行を終わらせ、米国の恒常的赤字を減らし、米国民の雇用を守るように、本物の構造改革が盛り込まれる必要がある」一般教書演説で。 | ドル円大幅に下落 |
| 2/6 | イエレン前・FRB議長 | 「次の行動が利下げになる可能性は確かにあるが、利下げ・利上げ両方の可能性がある」CNBCとのインタビューで。 | -------- |



