今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年3月7日(木) 「ユーロドルやや水準下げるもECB会合待ち」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は小動き。ADP雇用者数や貿易収支の結果にも反応せず、111円台半ばから後半で推移。米長期金利がやや低下したことで、111円62銭まで売られる。
  • ユーロドルは水準をやや下げ、1.1286まで下落。本日のECB会合で、景気見通しを引き下げるとの観測が重石に。
  • 株式市場は続落。米中通商協議にメドがたったことや、景気見通しが下方修正されたことが手がかりとなり、ダウは133ドル下落し、3日続落。
  • 債券相場は続伸。世界景気の見通しが下方修正され、株価も軟調だったことから債券は買われた。長期金利は2.7%台を割り込む。
  • 金は8日ぶりに反発。原油は続落。
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 2月ADP雇用者数 → 18.3万件
 12月貿易収支 → −598億ドル
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ドル/円 111.62 〜 111.85
ユーロ/ドル 1.1286 〜 1.1324
ユーロ/円 126.17 〜 126.53
NYダウ −133.17 → 25,673.46ドル
GOLD +2.90 → 1287.60ドル
WTI −0.34 → 56.22ドル
米10年国債 −0.025 → 2.692%

本日の注目イベント

  • 豪 豪1月貿易収支
  • 豪 豪1月小売売上高
  • 中 中国 2月外貨準備高
  • 欧 ユーロ圏10−12月期GDP(確定値)
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 10−12月期家計純資産
  • 米 1月消費者信用残高

ドル円は2月のADP雇用者数や、政府機関の一部閉鎖で送れていた12月の貿易収支の発表にもほとんど反応せず、111円台後半でもみ合いました。

2月のADP雇用者数は事前予想とほぼ一致しており材料にはならず、12月の貿易収支は、短月としては10年ぶりの貿易赤字額でした。特に対中国の貿易赤字額は財のみで過去最高の4192億ドル(約46兆9千億円)でした。米中貿易戦争の影響で中国側からの駆け込み輸出が拡大したものと思われます。また、対メキシコとEUでも過去最大の赤字額を記録しています。この結果通年でも6210億ドル(約70兆円)と10年ぶりに大幅赤字額になっています。

NY市場では株価が続落し、長期金利も低下しました。利益確定の売りもあったようですが、世界経済の鈍化予測を背景にややリスク回避が進んだ形です。OECD(経済協力開発機構)が6日発表した報告書では、世界経済は貿易摩擦と政治的不確実性から予想される以上に苦戦しており、特に欧州の見通しを曇らせていると指摘しています。OECDは「世界的な景気拡大は勢いを失い続けている」とし、「下振れリスクが現実に影響した場合、経済成長はさらに弱まりかねない」と分析しています。さらなる貿易障害や英国の合意なきEU離脱、債務増大による金融の脆弱性などのリスクが積み上がる中、状況はむしろ悪化する恐れがあるとし、イタリア経済は2013年以降で初めて通年で縮小する可能性もあると警告しています。(ブルームバーグ)

ただこれは昨秋口から始まったトランプ政権の保護貿易主義、自国主義の影響を考えれば、当然の帰結と言えます。ブルームバーグの分析によれば、貿易赤字額はトランプ大統領就任後の2年間で1000億ドル強拡大したことを意味し、さらにトランプ大統領自身の指標を使えば、米国の暮らし向きは政権発足直前の2016年末から20%悪化したことになると手厳しい評価を下しています。

ベージュブックでも米国内の景気に対する見方に下方修正がありました。前回のベージュブックでは、全12地区のうち8地区が「緩慢ないし緩やか」な景気拡大を報告していましたが今回は、10地区が「わずかないし緩やか」とし、残り2地区は「景気の拡大は横ばい」と報告されていました。もっとも、こちらもこれまでの経済指標や貿易戦争の影響を考えれば「想定内」と言えるのではないかと思います。

これらの報告に対して株式と債券市場は素直に反応しましたが、為替市場の動きは相変わらず鈍く、ドル円は長期金利の低下に売られましたが、111円62銭前後までで勢いはなかったようです。ドルが売られても、これまで上値抵抗線であった「120日移動平均線」が今度は下値支持線として機能しているようです。本日はECBの理事会とドラギ総裁の記者会見があります。ECBは域内の景気見通しを引き下げる公算が高いと見られています。ユーロドルの動きがドル円にも影響を与えることが予想されます。本日のレンジは111円30銭〜112円20銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
2/5 長井・元日銀国際局 「米中貿易摩擦や中国経済への懸念などから円相場が今年前半に1ドル=95円程度まで円高になる可能性があり、その時は安倍政権との関係からも、日銀が何もやらないというのはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/5 トランプ・米大統領 「私は中国の習近平国家主席に多大な敬意を抱いており、米政権は現在、中国との新たな通商合意に向けて作業をしている」「しかし、合意には不公正な貿易慣行を終わらせ、米国の恒常的赤字を減らし、米国民の雇用を守るように、本物の構造改革が盛り込まれる必要がある」一般教書演説で。 ドル円大幅に下落
2/6 イエレン前・FRB議長 「次の行動が利下げになる可能性は確かにあるが、利下げ・利上げ両方の可能性がある」CNBCとのインタビューで。 --------
2/13 ポステック・アトランタ連銀総裁 「全てが予想通りに展開すれば、私は2019年に1回の利上げを予想する」、「経済は2018年ほど力強くはならないが、長期の潜在成長率は上回るというのがわれわれの予想だ」ダブリンで開催されたフォーラムで。 --------
2/19 FOMC議事録 「ほぼ全ての参加者が、当局保有資産の縮小を年内に停止する計画をそう遠くない将来に発表するのが望ましいとの考えを示した」1月29−30日開催の議事録で。 米国株が上昇
2/26 パウエル・FRB議長 「この先、われわれの政策判断は引き続きデータ次第となり、経済情勢や見通しの展開に伴い、新たな情報を考慮する。海外の一部主要経済で成長が減速しており、中国と欧州で特に顕著だ」上院での議会証言で。 --------
2/27 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ECBの利上げ再開は2020年にずれ込むと投資家が予想するのは妥当だ」ドイツが「今年にかけて、下振れを経験しており、成長率は潜在成長率をかなり下回る可能性があるが、それでもまだプラス成長だ」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和