今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年3月20(水) 「FOMC待ちの姿勢強まる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は111円台で推移。米中協議に対する明るい見通しがやや後退したことで111円23銭まで売られる。
  • ユーロドルも動きが鈍い中、ややドル安ユーロ高方向に推移し、1.1361前後まで上昇。
  • 株式市場は強弱まちまち。ダウは3日ぶりに下落したが、ナスダックは続伸。
  • 債券相場は小幅に続落。長期金利は2.61%台へと小幅に上昇。
  • 金は反発し、原油は反落。
ドル/円 111.23 〜 111.47
ユーロ/ドル 1.1338 〜 1.1361
ユーロ/円 126.29 〜 126.61
NYダウ −26.72 → 25,887.38ドル
GOLD +5.00 → 1306.50ドル
WTI −0.06 → 59.03ドル
米10年国債 +0.009 → 2.612%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(1月22日、23日分)
  • 独 独2月生産者物価指数
  • 英 英2月消費者物価指数
  • 米 FOMC 政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見

引き続き市場の材料は「米中通商協議」と「英国のEU離脱」問題しかなく、昨日はその材料にも反応薄で、ドル円もユーロドルも、NY市場での値幅は23〜24ポイントでした。市場参加者のストレスも溜まる一方で、大きく動き出した時の反応が懸念されます。

米中通商協議に対する明るい見通しがやや後退してきました。ブルームバーグによると、中国の交渉担当者は知的財産権に関する政策の変更に同意しながらも、中国製品への関税を撤回するとの確約をトランプ政権から得られていないとみて、スタンスを変えていると、事情に詳しい関係者の話を紹介しています。中国はまた、医薬品のデータ保護を巡る当初の約束を後退させたほか、「パテントリンケージ」改善計画の詳細を示しておらず、データサービスに関する問題でも譲歩を拒否しているとし、中国側は、通商合意で規定されるルールは中国の法律に準拠する必要があるとの文言を盛り込もうとしていると報じています。このように、合意に向けた話し合いは進められてはいるものの、最後の微妙な部分ではお互いに譲れない「かけひき」があると見て取れます。

一方でトランプ大統領は19日も、「中国との交渉は極めて順調に進んでいる」と述べています。USTRのライトハイザー代表とムニューシン財務長官は合意をまとめるため、来週北京を訪れ、中国高官との協議に臨みます。また、さらにその翌週には劉鶴副首相がワシントンを訪問する予定であることも報じられており、トランプ氏は、このあたりの予定を評価しているようです。

もう一つの材料である「Brexit」もさらに先行きが不透明になってきました。昨日もこの欄で述べたように、英下院議長が、メイ首相の修正案の内容に大きな変化がない限り、「3回目の採決はない」と語ってことで、本日から2日間にわたって行われるEU首脳会議には、英議会の承認を得た修正案を提出すことは事実上不可能になっています。メイ首相は、来週にも修正案を議会に問い、自らの案を支持するのか、あるいはEU離脱を長期延期するのかの二者択一を迫る可能性があります。今朝の報道では、引き続き混乱は避けられず、結局延期は2年先までずれ込むといった観測も出て来たようです。

FOMC政策発表は日本時間の朝方3時です。金利は据え置きと見られますが、上述のように市場の動きが鈍く、材料に事欠いている状況が続いているだけに、市場関係者のFOMCにかける想いは強いと言えるかもしれません。景気認識、インフレ目標、あるいはバランスシートの縮小に関してどのような見方を示すのか注目されます。またパウエル議長は先日、ドットプロット(金利予測分布図)についてもその弊害を指摘しており、今後廃止し、それに変わる新たな手法を模索していることを示唆していました。この部分についても言及があるかもしれません。ドル円はそれでも動かないかもしれませんが、「大きく動く可能性がある」ことを意識して臨むことが重要です。予想レンジは110円80銭〜111円80銭程度を見込んでいます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
2/5 長井・元日銀国際局 「米中貿易摩擦や中国経済への懸念などから円相場が今年前半に1ドル=95円程度まで円高になる可能性があり、その時は安倍政権との関係からも、日銀が何もやらないというのはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/5 トランプ・米大統領 「私は中国の習近平国家主席に多大な敬意を抱いており、米政権は現在、中国との新たな通商合意に向けて作業をしている」「しかし、合意には不公正な貿易慣行を終わらせ、米国の恒常的赤字を減らし、米国民の雇用を守るように、本物の構造改革が盛り込まれる必要がある」一般教書演説で。 ドル円大幅に下落
2/6 イエレン前・FRB議長 「次の行動が利下げになる可能性は確かにあるが、利下げ・利上げ両方の可能性がある」CNBCとのインタビューで。 --------
2/13 ポステック・アトランタ連銀総裁 「全てが予想通りに展開すれば、私は2019年に1回の利上げを予想する」、「経済は2018年ほど力強くはならないが、長期の潜在成長率は上回るというのがわれわれの予想だ」ダブリンで開催されたフォーラムで。 --------
2/19 FOMC議事録 「ほぼ全ての参加者が、当局保有資産の縮小を年内に停止する計画をそう遠くない将来に発表するのが望ましいとの考えを示した」1月29−30日開催の議事録で。 米国株が上昇
2/26 パウエル・FRB議長 「この先、われわれの政策判断は引き続きデータ次第となり、経済情勢や見通しの展開に伴い、新たな情報を考慮する。海外の一部主要経済で成長が減速しており、中国と欧州で特に顕著だ」上院での議会証言で。 --------
2/27 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ECBの利上げ再開は2020年にずれ込むと投資家が予想するのは妥当だ」ドイツが「今年にかけて、下振れを経験しており、成長率は潜在成長率をかなり下回る可能性があるが、それでもまだプラス成長だ」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和