今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年4月8日(月) 「3月の雇用統計を受けドル堅調」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 3月の雇用統計が予想を上回る内容だったことで、発表直後にドル円は111円82銭まで上昇。その後は方向感もなく一進一退の展開に。
  • ユーロドルも動きが鈍く1.12台前半から半ばで推移。
  • 株式市場は続伸。良好な雇用統計を受け、米景気の先行きに対する不安が後退。ダウは40ドル上昇し、ナスダックは46ポイントの上昇で、約5カ月ぶりに高値を記録。
  • 債券相場は続伸。長期金利は小幅に低下し、再び2.5%を割り込む。
  • 金と原油はともに上昇。原油価格は引け値で63ドル台に乗せる。
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3月失業率        → 3.8%
3月非農業部門雇用者数  → 19.6万人
3月平均時給 (前月比) → 0.1%
3月平均時給 (前年比) → 3.2%
3月労働参加率      → 63.0%
2月消費者信用残高    → 151.9億ドル
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ドル/円 111.55 〜 111.82
ユーロ/ドル 1.1210 〜 1.1248
ユーロ/円 125.23 〜 125.51
NYダウ +40.36 → 26,424.99ドル
GOLD +1.30 → 1,295.60ドル
WTI +0.98 → 63.05ドル
米10年国債 −0.020 → 2.495%

本日の注目イベント

  • 日 2月国際収支
  • 日 3月景気ウオッチャー調査
  • 独 独2月貿易収支
  • 独 独2月経常収支
  • 加 カナダ3月住宅着工件数
  • 加 カナダ2月建設許可件数

3月の雇用統計では非農業部門雇用者数が注目されていましたが、結果は事前予想を大きく上回る19.6万人でした。2月分についても、2万人から3.3万人に上方修正され、これで米労働市場は依然として拡大基調にあることが確認されました。賃金の方ではやや上昇率が鈍化していたことで、むしろ景気は過熱しておらず、FRBの政策スタンスに影響を与えないとの見方が支配的となり株価は上昇。ナスダック指数は約5カ月ぶりの高値をつけています。ドル円は発表直後にはドル買いが先行したものの、112円を試す動きにはなっていません。経済指標を見るかぎり強弱まちまちで、米景気の後退を窺わせるものもありますが、労働市場の拡大が景気の底堅さを支える構図になっています。

ワシントンで行われていた米中通商協議では、「合意が近い」との見方に、うまくいけば米中首脳会議の日程発表にまで発展するのではないかとの観測もありましたが、制裁関税の部分では両国の溝が埋まらず、再び持久戦になる見込みです。トランプ大統領は4日、大統領執務室に劉鶴中国副首相を招いて個別に協議し、一時は「米中交渉は進展している。合意の可能性は高く、4週間以内にわかるだろう」と述べていましたが結局、制裁関税の完全撤廃を主張する中国側との溝は埋まらず、今月内に習近平主席と首脳会談を開いて最終合意に達するというシナリオも崩れたことになります。

3月の雇用統計を無事終えて聞こえてくるのは、「適温相場の再来」という言葉です。FRBは先月のFOMCで、利上げ路線を修正し、今後の経済データをより重視する姿勢を打ち出しました。市場の一部には「利下げ」もあり得るといった見方も出てきましたが、その背景になっているのが、米中通商協議の不透明さや、欧州の景気悪化といった外的要因です。ただ今回の雇用統計では、引き続き労働市場は好調で、賃金上昇もそれほど急激ではありません。また、インフレ率を見てもさらに加速する気配はなく、しばらくは政策金利を引き締めもしないし、緩和もしないスタンスが続く「適温相場」ということです。米株式市場が緩やかに上昇し、債券市場でも価格が緩やかに上昇、長期金利が低水準で安定している足元の動きがそれを物語っているようです。米中貿易問題が引き続き予断をゆるさない状況であることは事実ですが、いつ米国側が25%の 関税引き上げを決定するかわからいこの状況下では、困るのは中国です。さらに進んだ譲歩を見せていると予想しています。

ドル円は重要な「日足」の120日線や200日線を上回ってきました。ここまでくると、112円台に乗せる可能性が高まってきたと見られますが、どこまで上値を伸ばせるのか、注意したいところです。ゆっくりですが、予想以上にドルが底堅い動きを見せています。本日のレンジは111円40銭〜112円程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
2/5 長井・元日銀国際局 「米中貿易摩擦や中国経済への懸念などから円相場が今年前半に1ドル=95円程度まで円高になる可能性があり、その時は安倍政権との関係からも、日銀が何もやらないというのはないだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/5 トランプ・米大統領 「私は中国の習近平国家主席に多大な敬意を抱いており、米政権は現在、中国との新たな通商合意に向けて作業をしている」「しかし、合意には不公正な貿易慣行を終わらせ、米国の恒常的赤字を減らし、米国民の雇用を守るように、本物の構造改革が盛り込まれる必要がある」一般教書演説で。 ドル円大幅に下落
2/6 イエレン前・FRB議長 「次の行動が利下げになる可能性は確かにあるが、利下げ・利上げ両方の可能性がある」CNBCとのインタビューで。 --------
2/13 ポステック・アトランタ連銀総裁 「全てが予想通りに展開すれば、私は2019年に1回の利上げを予想する」、「経済は2018年ほど力強くはならないが、長期の潜在成長率は上回るというのがわれわれの予想だ」ダブリンで開催されたフォーラムで。 --------
2/19 FOMC議事録 「ほぼ全ての参加者が、当局保有資産の縮小を年内に停止する計画をそう遠くない将来に発表するのが望ましいとの考えを示した」1月29−30日開催の議事録で。 米国株が上昇
2/26 パウエル・FRB議長 「この先、われわれの政策判断は引き続きデータ次第となり、経済情勢や見通しの展開に伴い、新たな情報を考慮する。海外の一部主要経済で成長が減速しており、中国と欧州で特に顕著だ」上院での議会証言で。 --------
2/27 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ECBの利上げ再開は2020年にずれ込むと投資家が予想するのは妥当だ」ドイツが「今年にかけて、下振れを経験しており、成長率は潜在成長率をかなり下回る可能性があるが、それでもまだプラス成長だ」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和