今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年4月9日(火) 「WTI一段と上昇しドル下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は東京時間に株価の下落に伴い111円35銭近辺まで売られ、上値の重さを確認したが、NYでも同じような展開。111円29銭まで売られ、長期金利の上昇も材料とならず。
  • ユーロドルはドル高が進んだものの先週末の水準とほぼ変わらず。1.12台半ばを中心にもみ合う。
  • 株式市場は高安まちまちながら原油価格の上昇に、エネルギーセクターが買われる。ダウは83ドル下げたが、S&P500は小幅高で、8営業日続伸。
  • 債券相場は反落。長期金利は2.52%台に上昇。
  • 金は続伸し1300ドル台を回復。原油価格はリビア情勢の悪化を手掛かりに大きく買われ、64ドル台に。
ドル/円 111.29 〜 111.54
ユーロ/ドル 1.1244 〜 1.1275
ユーロ/円 125.31 〜 125.61
NYダウ −83.97 → 26,341.02ドル
GOLD +6.30 → 1,301.90ドル
WTI +1.32 → 64.40ドル
米10年国債 +0.027 → 2.522%

本日の注目イベント

  • 米 IMF、世界経済見通し発表
  • 米 クラリダ・FRB副議長講演

先週末には111円台後半まで続伸したドル円でしたが、昨日は終始上値が重く、NY市場では111円29銭までドルが売られ、先週前半の水準まで押し戻されています。もっとも売られたのはドル円だけではなく、ユーロドルでもドル安が進み、原油価格が大きく買われたことでドルが全般的に下落したようです。

リビア暫定政府は7日、ハフタル将軍に忠誠を誓う武装勢力「リビア国民軍」を掃討するため軍事作戦を開始することを明らかにしました。リビアは石油輸出機構(OPEC)の加盟国です。今回の衝突が同国の石油輸出に影響を及ぼす恐れがあることで、WTI原油価格は64ドル台半ばまで買われ、5カ月ぶりの高値を記録しました。

EUは明日臨時の首脳会議を開催します。イギリスのメイ首相はこの席で、今週末に迫っているEUからの離脱期限を「6月30日まで」延期するよう要請する予定です。ただEU側が求めていた英議会での承認はどうやら間に合いそうもなく、EUがメイ首相の要求を簡単に受け入れる可能性は低いと見られています。メイ首相が最大野党のコービン労働党党首に提案していた協議案もまとまってはおらず、コービン党首は「メイ首相はEU離脱を巡る新たな妥協案について労働党に書面で提案したが、労働党の主な要求の一つである関税同盟はそこに含まれていなかった」と述べており、与野党の隔たりは埋まっていません。(ブルームバーグ)イングランド銀行のカーニー総裁も、合意なき離脱のリスクが「驚くほど高い状況にある」と述べており、イギリスの混迷は深まる一方です。

雇用統計でも動きが限定的だったドル円は方向感もなく、1日の値幅も少なく、投資家の中には様子見を決め込む人も多いのではないかと思います。ドル円は年初の急落から値を戻してはいますが、目先の上値のメドは112円台というところが衆目の一致するところです。一方下値の方も、先月22日に110円を割り込み、ようやく値動きが活発になったかと思いきや、その後は緩やかな上昇軌道を辿っています。今週は110−112円のレンジかと思いますが、実際の値幅はもっと狭くなる可能性もあります。材料としては、引き続き「米中通商協議」と「Brexit」ですが、投資家はこれらの材料にも「そろそろアキがきた」といった印象です。ただいつものことですが、いつ動き出すのかわかりません。市場をチェックすることは怠らないようにしましょう。

本日も材料不足の中、上記EU首脳会議の動きということになります。ドル円レンジは111円10銭〜111円70銭といったところでしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和