2019年4月11日(木) 「円、対ドル、ユーロなどで上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 上値が重くなりつつあるドル円は再び111円を割り込み、110円85銭まで下落。FOMC議事録では思ったほどハト派の意見はなく、111円28銭までドル高が進んだものの、長期金利の低下にドル売りが優勢となる。
- ユーロドルはドラギECBの総裁の発言を受け、1.1230まで下落。ユーロ円の売りも誘い、ユーロは円に対しても下落。
- 株式市場は反発。好調な企業決算が相場のセンチメント改善につながり、ダウは小幅ながら3日ぶりに上昇。
- 債券相場は上昇。長期金利は2.46%台まで低下。
- 金は3日続伸。原油も反発し、引け値で64ドル台に。
| ドル/円 | 110.85 〜 111.28 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1230 〜 1.1288 |
| ユーロ/円 | 124.77 〜 125.45 |
| NYダウ | +6.58 → 26,157.16ドル |
| GOLD | +5.60 → 1,313.90ドル |
| WTI | +0.63 → 64.61ドル |
| 米10年国債 | −0.036 → 2.465% |
本日の注目イベント
- 中 中国3月消費者物価指数
- 中 中国3月生産者物価指数
- 独 独3月消費者物価指数(改定値)
- 米 3月生産者物価指数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 G20(ワシントン)
- 米 クラリダ・FRB副議長講演
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
東京時間では底堅い動きを見せていたドル円は、米長期金利の低下に再び111円を割り込み、110円85銭まで売られました。ドル安が進み、ユーロドルでもユーロが買われる場面もありましたが、ユーロ円の売りも出て、結局ユーロドルの水準はほぼ変わらず。ドル円が下げた分だけユーロ円も前日より水準を切り下げています。
ECBは理事会で政策金利を予想通り据え置きました。ドラギ総裁は会見で、ユーロ圏経済が今年さらに減速したことを認め、その弱さは「年内は続くだろう」と述べました。また現在行っているマイナス金利政策についても言及し、マイナス金利が銀行の収益性を損ない、企業や個人への融資を抑制するに至っているかを分析することが必要とも述べました。またドラギ総裁の声明によれば、政策委員会の景気判断は暗いもので、トランプ大統領の政策が貿易に及ぼす脅威や、イタリアの財政問題、英国のEU離脱を巡る不透明なリスクが山積していると指摘しています。(ブルームバーグ)
トランプ大統領は前日、EUへの報復関税に触れ、EU製品に110億ドル(約1兆2000億円)の関税を課すことを示唆しましたが、EU側もこれに負けてはいません。EUのマルムストローム通商担当委員は10日、「発動されれば同様の措置を講じる」と述べ、「報復措置を講じなければならない(対象品目の)リストは準備済みだ」と米国をけん制する発言を行っています。(日経新聞)米国の対EU貿易赤字額は対中国ほど大きくはなく、しかもその6割程度が対ドイツです。従って、米中貿易戦争のように激化することはないと予想していますが、トランプ大統領の貿易赤字解消に対する執拗な熱意がさらに高まると、来週15日から始まる日米物品貿易協議(TAG)に影響を与える可能性もあります。
FRBは3月10−11日に行われたFOMC議事録を公表しました。議事録では「フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した」とあり、FRBの現在の金利に対するスタンスが中立であることが確認された格好です。ただ一部の当局者は、経済成長率が長期的なトレンドを上回る状態が続いた場合、年内に利上げをすることが適切だとの見解も示したとしており、「ハト派色」はまったく見られませんでした。
ドル円はこの内容が公表されるとドル高に振れる場面もありましたが、米長期金利の低下がドルの上値を抑えていました。米長期金利は再び2.5%を割り込み、約1週間ぶりに2.46%台まで低下してきました。3月28日には2.33%台まで急低下しましたが、その後は底打ち感も出て、上昇傾向を見せていましたが、米国とEUあるいはメキシコとの貿易問題が激化するとの観測などから安全資産の債券に資金が流れているものと考えられます。今後さらに上記日米物品貿易協議で自動車への関税引き上げなどが議題になるようだと、さらに金利が低下し、ドル円も円高方向に振れる可能性がないとは言えません。
これまで何度か述べてきたように、動かないドル円ですが上値は限定的で、あるとすれば円高方向と記述してきました。ようやく111円を明確に割り込んできましたが、まだ勢いは感じられません。チャートでは「日足」の雲の上限に差し掛かろうとしているところです。従って、まだ円高方向にトレンドを切り始めたとも言えません。110−112円のレンジ内での一進一退が続くと見ています。本日のドル円は110円70銭〜111円30銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/2 | トランプ・米大統領 | 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 | -------- |
| 3/7 | ドラギ・ECB総裁 | 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 | ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。 |
| 3/10 | 易綱・中国人民銀行総裁 | 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 | -------- |
| 3/12 | メイ・英国首相 | 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 | -------- |
| 3/12 | ライトハイザー・USTR代表 | 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 | -------- |
| 3/21 | パウエル・FRB議長 | 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 | ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。 |
| 3/25 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 | -------- |
| 3/26 | クオールズ・FRB理事 | 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 | -------- |
| 3/28 | クラリダ・FRB副議長 | 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 | -------- |
| 4/5 | ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 | -------- |
| 4/9 | IMF・世界経済見通し | 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 | ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。 |
| 4/9 | ラガルド・IMF専務理事 | 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 | -------- |
| 4/10 | FOMC議事録 | フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 | 公表後、ややドルが上昇。 |



