今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年4月15日(月) 「ドル円5週間ぶりに112円台を回復」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は112円台を回復し、3月5日以来となる112円9銭までドル高が進む。株高、金利高がドルを押し上げ、ユーロ円の上昇も円売りにつながった。
  • ユーロドルは急反発。約2週間ぶりに1.1324までユーロ高が進行。ユーロ円も126円台後半まで買われる。
  • 株式市場は大幅に反発。ディズニーや金融株が上昇を牽引し、ダウは269ドル高。S&P500は2900台に乗せる。
  • 債券市場は反落。長期金利は2.56%台へと大幅に上昇。
  • 金と原油はともに上昇。
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3月輸入物価指数 → 0.6%
4月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 96.9
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ドル/円 111.86 〜 112.09
ユーロ/ドル 1.1293 〜 1.1324
ユーロ/円 126.48 〜 126.76
NYダウ +269.48 → 26,412.30ドル
GOLD +1.90 → 1,295.20ドル
WTI +0.31 → 63.89ドル
米10年国債 +0.068 → 2.565%

本日の注目イベント

  • 米 日米物品貿易協議(TAG)
  • 米 4月NY連銀製造業景況指数
  • 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
  • 米 企業決算 → シティーグループ、ゴールドマン

ドル円は先週末のNY市場で112円台を回復し、112円09銭までドル高が進みました。前日には111円割れもあり、上値は重いと見ていましたが、緩やかな動きが続いている中では、予想以上の上昇です。3月5日に記録した112円14銭が意識され、上昇は一旦止まりましたが、本日の展開次第では上記水準を上抜け、年初来高値をつける可能性も出て来ました。

ドル円上昇の背景は、株高と長期金利の上昇でした。ディズニー株が急上昇したことと、好決算を発表した銀行株が買われ、ダウ平均を押し上げましたが、その前に中国の貿易収支が発表され、輸出の伸びが市場予想を上回ったことで、世界経済への懸念が和らぎ、これが株価上昇の伏線になったと思われます。NY株式市場では、再び資金が流入しており、ダウは史上最高値に400ドルほどに迫っており、ナスダックもS&P500も同様な状況が続いています。また債券市場では、株高の割にはそれほど債券が売られておらず、株式と債券が揃って安定したな動きを見せる「適温相場」が続いており、ドル円で円売りが進む背景には、この辺りに原因があるのかもしれません。

先週15−16日にワシントンで行われた「G20」は特に材料にはなっていません。一部には「G20」の形骸化がさらに進み、単なる顔合わせに終わっているとの指摘もありました。「G20」終了後の記者会見で、黒田日銀総裁は「金融政策の余地がないと決め付けることはできない」と述べ、「わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」と語っています。また麻生財務大臣は、日米貿易交渉を米国が急いでいるとは認識していないと語っています。(ブルームバーグ)その日米物品貿易協議は本日から2日間の日程で行われますが、すでに米国からはけん制する発言が聞こえています。

ムニューシン財務長官は15日から始まる交渉を前に「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」と述べ、2国間の経済関係など幅広い案件を議論する意向を示しています。貿易不均衡を何としても解消したいトランプ大統領は、中国をはじめ、EU,カナダメキシコを相手に「関税引き上げ」を武器に貿易黒字の削減を求めています。日本といえども例外ではないと見られ、今回の協議で「為替条項」や「自動車の輸入制限」などが議題に挙げられる恐れがあります。特に「為替条項」が合意に盛り込まれるようだと、ドル売り円高が再燃するリスクがあり、協議の成り行きを注意深く見守る必要があります。

本日のドル円は堅調な動きが予想されます。NY市場でのドル高と株高から、日経平均株価も大幅な上昇が見込まれます。株高に伴いドル円も買われると思われ、上述の112円14銭が抜けるかどうかが、一つの焦点です。抜け切れば112円30銭程度までのドル高もないとはいえません。予想レンジは111円70銭〜112円40銭程度と見ます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和