今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年4月16日(火) 「ドル円112円を挟んで動かず」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は112円を挟み小動き。値幅は10銭程度に収まり、日米物品貿易協議を見極めたいとするも動かず。ドルの高値は東京時間とほぼ同じ112円07銭。
  • ユーロドルも前日と同じく1.13を挟み小動き。
  • 株式市場は3市場とも揃って反落。ゴールドマンの決算発表に失望し金融株が下げる。ダウは27ドル下落と小幅安。
  • 債券相場はやや買われ、長期金利は2.55%台へと若干低下。
  • 金と原油はともに反落。
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4月NY連銀製造業景況指数 → 10.1
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ドル/円 111.96 〜 112.07
ユーロ/ドル 1.1298 〜 1.1316
ユーロ/円 126.55 〜 126.79
NYダウ −27.50 → 26,384.77ドル
GOLD −3.90 → 1,291.30ドル
WTI −0.49 → 63.40ドル
米10年国債 −0.011 → 2.554%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA議事録
  • 独 独4月ZEW景況感指数
  • 英 英3月失業率
  • 米 3月鉱工業生産
  • 米 3月設備稼働率
  • 米 4月NAHB住宅市場指数
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 米 企業決算→IBM,ジョンソン&ジョンソン、ネットフリックス、バンクオブアメリカ、ブラックロック

昨日の東京時間では予想通り株価は大きく上昇したもののドル円の動きは鈍く、先週末のNY市場の高値を抜けず、上値の重さを見せられたと同時に下値の方も限定的で、株価に反応薄の1日でした。この流れはNY市場へも引き継がれ、NY時間では値幅もわずか11銭と、ほぼ動きは見られませんでした。

日米物品貿易協議(TAG)が始まり、市場はこの行方を見極めたいとのムードが支配的だったとはいえ、動きはなく「無風状態」でした。また、ムニューシン財務長官が「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」と先制口撃をしてきたにも関わらず、市場の反応は見られません。協議では最初から日米間で認識の違いが明らかになっています。日本側は自動車や農産物など、モノに限った物品貿易協定を求めているものの、米国側はサービスも含めた包括的な自由貿易協定(FTA)を想定しており、(日経新聞)交渉の範囲に認識の違いがあるようです。

米国の対日貿易赤字の大半は「自動車と自動車部品」によるものです。トランプ政権とすれば、この部分に規制をかければ貿易赤字が一気に減ることが分かっているため、日本からの自動車輸入に数量規制をかけてくる可能性も取り沙汰されています。一方で日本側としても、その事態は何としても避けたく、これまでに官民で手を打ってきました。政府が今年度米国からF35戦闘機105機を、1兆円を超える予算で購入することを決めたのもその一つです。トヨタ自動車が米国への投資を5年間で100億ドル(約1兆1200億円)コミットしていましたが、さらに30億ドル増やすことを決めたのも、トランプ政権へのアピールだと見られています。実際、トランプ大統領はこれらを評価する発言を行っていました。しかし、全て「ディ−ル」として捉えるトランプ氏は「それはそれ」と言い放ち、厳しい要求を突きつけてくる可能性があります。中国との貿易交渉では、中国からの大幅な譲歩を引き出すのに成功し、ほぼ合意に近いところまできました。これに味をしめて、EU,メキシコ、そして日本に対しても強硬姿勢を見せてくることも十分考えられます。

ハト派の代表格の一人であるシカゴ連銀のエバンス総裁は昨日、CNBCのインタビューに答えて、「フェデラルファンド(FF)金利は2020年秋まで据え置かれるとみている」と述べ、「それによりインフレ見通しを支え、2%ないしそれをやや上回る水準での持続を確実にできると私は考えている」と語っています。(ブルームバーグ)FRBは年内の利上げを断念しながらも、「今後の経済データ次第だ」という言い回しで、利上げの余地もわずかではありますが残していると理解しています。政策金利据え置きを今後1年半という明確な期間に言及したのは今回のエバンス総裁が初めてのことと思います。さすが「ハト派」の代表格と言われている人物です。もしこの見方が正解であれば、今後ドル円の上昇は極めて限定的になると言えます。

本日はワシントンから日米協議の内容が伝わらない限りドル円は動かないとみられます。レンジは、余程のインパクトのあるニュースがない限り、111円60銭〜112円20銭程度といった所でしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和