今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年4月17日(水) 「ドル円日米協議にも動かず」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は引き続き小動きで、値幅も前日とほぼ変わらず。日米物品貿易協議材料にドルが売られたものの111円90銭止まり。112円台ではドル売りも強く上値を伸ばせず。
  • ユーロドルも1.13を挟む展開が変わらず小動き。
  • 株式市場は3市場揃って反発。アップルなどIT株や金融株が買われ、ナスダックは8000ポイント台を回復。
  • 債券市場は続落し、長期金利は2.59%台まで上昇。
  • 金は大幅に売られ、1277ドル台に。一方原油価格は続伸し64ドル台に上昇。
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3月鉱工業生産      → −0.1%
3月設備稼働率      → 78.8%
4月NAHB住宅市場指数 → 63
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ドル/円 111.90 〜 112.04
ユーロ/ドル 1.1280 〜 1.1312
ユーロ/円 126.27 〜 126.64
NYダウ +67.89 → 26,452.66ドル
GOLD −14.10 → 1,277.20ドル
WTI +0.65 → 64.05ドル
米10年国債 +0.036 → 2.590%

本日の注目イベント

  • 日 3月貿易収支
  • 日 2月鉱工業生産(確定値)
  • 中 中国1−3月GDP
  • 中 中国3月小売売上高
  • 中 中国3月工業生産
  • 欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ユーロ圏2月貿易収支
  • 英 英3月消費者物価指数
  • 米 2月貿易収支
  • 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
  • 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
  • 米 企業決算 → モルガンスタンレー
  • 加 カナダ2月貿易収支

ドル円だけでなく、為替市場全体が膠着感を強めています。NY市場でのドル円は上下わずか14銭しか動かず、ユーロドルも32ポイントの値動きでした。主要通貨のドルに対する動きもまちまちでしたが、市場は「リスクオン」の動きがやや強かったようです。その証拠に金が大きく売られ、引け値では1277ドル台と、今年1月24日以来の安値を記録しました。

金は持っていても「利息」を生みません。そのため、金投資で利益をあげるためには「価格差」しかなく、「キャピタルゲイン」狙いということになります。世の中や市場が混乱すれば、その普遍性や換金性、あるいは流動性を基に金は買われます。反対に足元のように、為替や債券、株式市場のボラティリティが低く、投資家がリスクを取れるような状況では金の魅力が低下し、売られる傾向があります。今はまさにこのような状況かと思われます。

トランプ政権が仕掛けた「関税戦争」は、今がピークかもしれませんが、まだ収まる気配はありません。そんな中、日米物品貿易協議は2日目の会合を終えています。日米の間では交渉の範囲に認識の違いがあったものの、会合を終えた茂木経済再生担当大臣は記者団に「出来るだけ早期の合意を目指す」と語っています。会合では、昨年9月の日米共同声明に沿って進めることをライトハイザーUSTR代表と確認したとし、日本側としては物品貿易以外には想定していないと述べています。注目されていた「為替条項」について茂木大臣は、2017年2月の日米首脳会談で合意された通り、日米財務相間で議論されることになっていると述べています。また米国側は、交渉が続く限り「米通商拡大法232条」を発動しないと理解しているとも語っていました。(ブルームバーグ)来週にも再びライトハイザー代表と会い、議論を進めるとしていますが、結局今のところ、特筆すべき合意内容はないようです。協議の始まる前にムニューシン財務長官は、「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」と先制口撃を仕掛けていましたが、これもトランプ大統領流の「交渉術」を踏襲しただけのことだったのでしょうか。

中国との通商協議についてもクドロー国家経済会議(NEC)議長は昨日FOXテレビとのインタビューで、今週さらに協議が行われるが、執行の問題を含む複数の面で「非常に良い進展」があったとしながらも、「現状には満足しているが、私は予測を立てるつもりはない」(ブルームバーグ)と最終合意に至るかどうか明言を避けています。

連日小動きの続いているドル円ですが、当然のことながらボラティリティも急速に低下しています。足元では1カ月のボラは「4.78%」程度まで低下しており、2014年9月以来の低水準になっています。今年1月3日のドル急落時には「10%」まで上昇していたので、ここ3カ月で半分以下になったことになります。多くの市場参加者が当面ドル円は動かない、と考えていることが背景になっていますが、このボラティリティを基にオプション・プレミアムも算定されるため、輸出業者にとっては、為替の水準とともに「追い風」がふいていると言えます。因みに輸出企業の社内想定レートは日銀短観では「108円台後半」となっており、足元の水準から3円以上も有利になっています。プレミアムを払っても、少なくも今年上半期の為替ヘッジは十分採算が合うことになります。112円台では実需のドル売りが出やすいのも、こうしたことが要因になっているとも 考えられます。

本日のドル円も期待はできません。レンジは111円70銭〜112円30銭程度としますが、これでもワイドすぎるのかもしれませんが、いつものことですが、安心しきっていてはいけません。今日は午前11時に中国のGDPが発表されますが、影響力があるだけに注目です。市場予想は「6.3%」ですが、上振れる可能性があるかもしれません。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和