今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年4月18日(木) 「為替市場の膠着状態続く」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は昨日の朝方上値を切り上げ112円17銭まで上昇したがその後はもみ合い。NY市場でも112円を挟む展開が続く。
  • ユーロドルも1.13を挟む動きは変わらず、膠着感がさらに強まる。
  • 株式市場は揃って下落。3指数とも高値圏にあることから利益確定の売りも出やすく、ヘルスケアー関連を中心に下落。
  • 債券相場は横ばいながら金利が小幅に上昇。
  • 金は続落し、原油価格は反落。
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2月貿易収支 → −494億ドル
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ドル/円 111.93 〜 112.12
ユーロ/ドル 1.1291 〜 1.1306
ユーロ/円 126.38 〜 126.64
NYダウ −3.12 → 26,449.54ドル
GOLD −0.40 → 1,276.80ドル
WTI −0.29 → 63.76ドル
米10年国債 +0.004 → 2.594%

本日の注目イベント

  • 豪 豪3月雇用統計
  • 独 独3月生産者物価指数
  • 英 英3月小売売上高
  • 米 3月小売売上高
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 3月景気先行総合指数
  • 米 4月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 企業決算 → ブラックストーン、AMEX
  • 加 カナダ2月小売売上高

昨日の朝方9時過ぎにドル円はやや上昇傾向を強め、112円17銭まで買われ、先月記録した年初来高値をわずかですが「更新」しました。通常、直近の高値を抜くとさらに上昇が加速し、市場参加者も「もう一段の上昇」を期待し、ドル買いで追随することが多いのですが、昨日はその水準を頂点に再び112円割れまで押し戻されています。高値を抜いても勢いがつかないのが「今の相場の地合い」とでも言うのでしょうか、NYでもドル円は底堅い動きを見せながらも、この水準をクリアしていません。

昨日、注目されていた中国の第一四半期のGDPが発表されました。予想された通り、前年同期比で「6.4%」と、わずかですが上振れしました。一部のチャイナ・ウォッチャーが「中国景気は底を打った」と指摘しているように、このところの中国の経済指標は改善傾向を見せています。製造業PMIや非製造業PMIなどはいずれも1月分より3月分は改善していたことが確認できますが、これは中国政府が減税やインフラ投資、あるいは金融緩和など、積極的な「景気刺激策」を実施していることの効果が出てきたものとみられます。米国景気はまだら模様ながら底堅い強さを見せており、これに中国景気が底入れすれば、先週IMFが発表した世界景気の下振れが「杞憂」に終わる可能性もあります。ただ、まだ2019年の第一四半期を終えたばかりですので、今後の経済指標の推移を見極める必要があります。

先週9日にトランプ政権がEUに対して関税を引き上げる考えを示したことに関して、EUは報復関税の内容を公表しました。EUの行政執行機関である欧州委員会は、米国が実際に関税をかければ、米国の工業品や農業品など幅広い分野の米製品に、200億ドル(約2兆2000億円)相当の関税をかけることを発表しました。報復関税リストに載った品目は航空機やトラクターなどに、スーツケースやハンドバッグ、さらにはケチャップにまで及んでいます。ただ欧州委員会はそれほど強硬な姿勢を見せたわけではなく、通商担当のマルムストローム委員は声明文で、「対抗措置の準備を進める必要があるが、われわれは米国との対話にオープンだ」と表明しています。(日経新聞)それでもトランプ大統領がこれまでのような強硬姿勢を崩さないようだと、EUとの関税問題が激化し、世界景気の押し下げ要因になることは十分考えられます。2020年の大統領選に向けて成果をアピールしたいトランプ氏が、振り上げたこぶしを簡単に下ろすとも思えません。

われわれ日本の為替関係者にとって非常に注目されていた「日米物品貿易協議」は、結局大きな波乱もなく終わってしまいました。懸念された「為替条項」については、麻生財務大臣とムニューシン財務長官が26日に行われる日米首脳会談にあわせて直接協議することになった模様です。従って「為替条項」が合意文書に盛り込まれるのかどうかはまだ不明で、安倍−トランプ会談の内容にも影響を受ける可能性もありそうです。

ドル円は動きません。日本の大型連休まであと10日を切りました。このまま膠着状態が続くと、10連休中に大きく変動する可能性も高まってくるように思います。26日の日米首脳会談は日本時間では27日です。4月30日―5月1日にはFOMCが開催され、1日にはISM製造業景況指数とADP雇用者数が発表され、3日には4月の雇用統計と、重要イベントが目白押しです。通常でも相場が大きく動きやすい状況ですが、日本が連休のため参加者が少なく、流動性が低下することで相場が一方に振れやすくなることが予想されます。もちろん大きな動きにならないこともありますが、やはり用心するにこしたことはありません。

と言うことで、大きな値動きはお預けです。本日のレンジは111円85銭〜112円25銭程度といったところでしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和