今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年4月25日(木) 「ドル円4カ月ぶりの高値を記録」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 久しぶりに大きく動いたドル円。112円40銭まで買われたが、対ドルでユーロやカナダが売られたことによる「連れ安」の側面が強く、引けにかけは112円15−20銭まで売られる。
  • ユーロドルは急落。一時は1.1141まで売られ、2017年6月以来のユーロ安を記録。
  • 株式市場は揃って反落。主要指数が高値圏にあることもあり、利益確定の売りに押される。キャタピラーが好決算だったが、先行きに慎重な見方を示したことも材料視されダウは59ドル安。
  • 株安から債券は続伸。長期金利は2.51%台まで低下。
  • 金は7営業日ぶりに反発。原油価格も小幅に反落し66ドル台を割り込む。
ドル/円 111.68 〜 112.40
ユーロ/ドル 1.1141 〜 1.1211
ユーロ/円 124.80 〜 125.37
NYダウ −59.34 → 26,597.05ドル
GOLD +6.21 → 1,279.40ドル
WTI −0.41 → 65.89ドル
米10年国債 −0.047 → 2.518%

本日の注目イベント

  • 日   日銀金融政策決定会合
  • 日   黒田日銀総裁記者会見
  • トルコ トルコ中銀政策金利発表
  • 米   3月耐久財受注
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   3月製造業受注
  • 米   企業決算 → スターバックス、3M、アマゾン、インテル、UPS

「そろそろ動き出してもおかしくはない」といったコメントを書きましたが、昨日のNY市場でドル円は久しぶりに値幅を伴った動きを見せました。ドル全面高の展開から、ドル円は112円40銭まで買われ、昨年12月20日以来の水準を記録しました。ユーロやカナダ、豪ドルなどが対ドルで売られたことで、ドル円でも「円売り」が加速し、112円20−30銭にあったドル売り注文を飲み込んで上昇しました。

ユーロは4月のIFO景況感指数が「99.2」と、今年最も低水準だったことが材料となり、1.1141まで売られています。この水準は2017年6月以来となるユーロ安水準ですが、ここまで売られると焦点は、1.1を割り込むかどうかです。中国の景況感がやや底打ち傾向を見せる中、ユーロ圏の景気はドイツを中心に浮上のきっかけをつかめない状況が続いています。昨日はカナダドルも1.34台前半から80ポイントほど売られています。カナダ中銀の声明から利上げの文言が削除され、利上げ観測が急速に後退したことが背景でした。

昨日は米10年債も買われ、長期金利は2.51%台まで低下しましたが、それでも相対的な金利水準は高く、他に比べれば魅力的ということなのでしょうか。金利だけではなく、景気に対する見方も含めて、ドルに対する需要はさらに高まったと言えそうです。ただドル円は112円40銭をつけた後、112円06銭前後まで売られています。10連休を控え、輸出業者を中心に先物やオプションを使って5月から8月までの手当てをしておこうとするニーズはかなりあると予想されます。そのため、本日も東京時間での高値更新は難しいと思われます。昨日もユーロドルなどの動きに「連れ安」した側面が強かったこともあり、欧州時間からNYにかけてのユーロの動きに注意しながらの市場参加が賢明でしょう。

もし東京時間でドル円が大きく動くとしたら、材料は日銀の決定会合でしょう。金融政策に変更はないものと思われますが、今回は「展望レポート」も発表されます。焦点は、レポートで3年先の2%物価目標達成が示されるかどうか(ブルームバーグ)という点です。物価は上がりにくい状況が続いており、物価目標を下方修正する可能性を指摘する声もあります。また、マイナス金利をさらに深堀するのではとの見方もありますが、すでに金融機関への副作用も議論されており、さらにマイナス金利を拡大するようだと、地方銀行の経営に大きな影響が出てくる可能性もあり、これも簡単ではありません。相場がようやく動き始めたこともあり、3時半から始まる黒田総裁の会見が、これまでになく注目されそうです。

ドル円はこれまで112円を挟んで一進一退を続けており、111円50銭〜112円50銭の狭いレンジが予想されていましたが、昨日のドル急騰で、チャート的には上値を追う可能性が高まってきました。ただ上述のように、連休を前にして実需や思惑も入り乱れやすい状況です。個人的には上値の深追いは避けたいところと思っています。テクニカルでは依然としてドルの上昇を示唆していますが、仮に連休中に急変があるとすれば、やはり円高方向ではないかと予想しています。本日のドル円レンジは111円80銭〜112円50銭程度とみています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和