今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年5月1日(水) 「令和は111円台半ばで始まる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は金利低下を材料に111円台前半まで売られたが勢いはなく、111円45−50銭近辺で引ける。欧州経済指標が改善していたことでドルがやや軟調に推移。
  • ユーロドルは反発。ユーロ圏1−3月期のGDPが予想を上回ったことでユーロの買い戻しが進み、1.1229まで上昇。
  • 株式市場は売り買いまちまち。ダウは3日続伸したが、アルファベットの決算発表を受け、IT株が大きく売られた。ナスダックは66ポイント下落。
  • 債券は買われ価格は上昇。長期金利は2.50%台まで低下。
  • 金は反発し、原油価格は続伸。
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米 2月ケース・シラ−住宅価格指数 → 3.0%
米 4月シカゴ購買部協会景気指数  → 52.6
米 4月消費者信頼感指数      → 129.2
米 4月中古住宅販売件数成約指数  → 3.8%
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ドル/円 111.25 〜 111.48
ユーロ/ドル 1.1198 〜 1.1229
ユーロ/円 124.67 〜 125.09
NYダウ +38.52 → 26,592.91ドル
GOLD +4.20 → 1,285.70ドル
WTI +0.41 → 63.91ドル
米10年国債 −0.023 → 2.502%

本日の注目イベント

  • 英 英3月消費者信用残高
  • 英 英3月 マネーサプライ
  • 米 4月ADP雇用者数
  • 米 4月ISM製造業景況指数
  • 米 FOMC 政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見

本日から新しい元号「令和」が始まります。新しい時代の幕開けは、金融市場は特に大きな動きもなく静かなスタートを切りました。大型連休前半では、一部で予想されたような投機的な動きはなく、ドル円は終始111円台での推移でした。ユーロドルが先週末に売られ、1.1111までユーロ安が進みましたが、今回もまた1.10を割り込むことなく、昨日のユーロ圏GDPの改善に1.12台前半まで押し戻されています。節目の1.10は割り込みそうな気配ですが、粘り腰を見せています。

ユーロ圏の1−3月期GDPは「0.4%」と、市場予想の「0.3%」を上回り、前期の実績も上回りました。賃上げに伴い、消費が成長を支えている内容でした。ただ、今回のGDPだけでユーロ圏の景気の底入れを確認するのは時期尚早で、ドイツを中心に今後の経済指数を主意深く見る必要があります。関税問題で米国と対立しているEUは、今後の展開次第でさらに景気の悪化も予想され、予断を許しません。

先週末にホワイトハウスで日米首脳会談が行われました。貿易交渉では「早期の妥結を目指す」という点は一致を見ましたが、個別の内容では早くも日米で認識の違いを浮き彫りにしていました。農業関税についてトランプ大統領は撤廃を求めていましたが、日本側はTPPなどの水準が限度との姿勢を維持し、自動車問題では数量規制を避けたい日本ですが、米国側は対日貿易赤字削減に欠かせない自動車問題は放置できない姿勢を取っており、未解決です。また重要な「為替条項」では、ムニューシン財務長官が合意文書に盛り込むことに固執していると伝えられ、日本側は貿易交渉とは切り離して考えるべきだとの立場を取っています。

2020年の大統領選を巡っては、バイデン前副大統領が民主党大統領候補ヘ名乗りを上げ、これで、予備選に向けていよいよスタートを切ることになります。懸案の米中通商協議は合意に近いと言われていますが、いまだに最終合意には至っていません。また、対EU、カナダ、メキシコとも対立が続いており、再選を狙っているトランプ大統領とすれば、何としても予備選の始まる来年2月までには「目に見える成果」がほしいところです。一方安倍首相にとっても、7月と言われている参院選前に米国からの農産品の関税を下げることは避けたいとの意向があるようです。今月、来月と続けて来日するトランプ氏は、このチャンスに一気に畳み掛けたいと意気込んでいる可能性があります。

本日はFOMCの発表があります。政策金利は据え置きと思われますが、声明文と、その後のパウエル議長の会見内容が注目されます。このタイミングにトランプ氏は再び米金融当局に圧力をかけてきました。トランプ氏はツイッターで「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策を取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した。」と述べ、さらに「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」と主張しています。

本日の会合がこの圧力の影響を受けることはないと思われますが、パウエル議長の発言内容が「ハト派寄り」なのかどうかを見極める必要はあります。「アナリストレポート」は来週火曜日(7日)までありませんが、重要なイベントは連休後半により多く予定されています。これまでは大きな動きはなかったですが、引続き注意を怠らないようお願いします。本日のレンジは111円〜111円90銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/2 トランプ・米大統領 「私は強いドルを好むが、米国にすばらしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とのビジネスを行うことができなくなるほどの強すぎるドルは望んでいない。FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」メリーランド州の会合で。 --------
3/7 ドラギ・ECB総裁 「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ。ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」 理事会後の会見で。 ユーロドル1.13台〜1.1176まで下落。ユーロ円126円台〜124円台に。
3/10 易綱・中国人民銀行総裁 「中国は為替相場を競争、輸出拡大、貿易摩擦の手段に絶対使わない」記者会見で。 --------
3/12 メイ・英国首相 「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面している問題は解決しない。われわれが交渉した合意案が最善で、また唯一入手可能な合意案だと信じている」修正案が議会で否決された後に。 --------
3/12 ライトハイザー・USTR代表 「現在の関税が今後どうなるかにかかわらず、合意が破られた場合に関税を引き上げる権利を米国は維持しなければならない」 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「海外経済の減速が米景気の逆風になってきた」「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」FOMC後の記者会見で。 ドル円111円60銭前後から110円52銭まで下落。ユーロドル1.13台半ばから1.1448まで上昇。
3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 (利上げ見通しについて)「今は静止、停止して事態の推移を見守るのによい時期だ」、「FF金利が中立に近づいているのはほぼ確かだ」香港のイベントで。 --------
3/26 クオールズ・FRB理事 「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある。さらなる段階的な利上げが必要」 --------
3/28 クラリダ・FRB副議長 「インフレ圧力は抑制されているため、われわれは辛抱強く、かつデータ次第の姿勢を取る事が可能だ。米政策金利にどういった調整が必要になり得るのか、将来の会合で検証する」パリでの講演で。 --------
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
4/25 日銀金融政策決定会合 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 ドル円111円台後半から売られる。
4/30 トランプ・米大統領 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和